ウザいくらいに絡んでくる後輩が、少し抜けていて油断ならない

碧野TOMATO

エピソード1(脚本)

ウザいくらいに絡んでくる後輩が、少し抜けていて油断ならない

碧野TOMATO

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ウザいくらいに絡んでくる後輩が、少し抜けていて油断ならない
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〇名門校の校門(看板の文字無し)
  僕の人生で、モテた記憶は皆無に等しい
  見た目も性格も全てにおいて並の実力しか伴っていないので、誰が見ても清々しい程モブ人間だった
  自分の両親を見ていて、いた仕方ないと事実を受け入れ諦めているので、悲観的に思わないでもらいたい
  ───コイツが現れるまでは
小桜 那智(こざくら なち)「センパーイ、何をしてるんですかー?」
小桜 那智(こざくら なち)「こんな可愛い後輩が一緒に帰っているのに何もしないだなんて、やっぱり先輩って女慣れしてないんですねー」
  ニヤニヤと小悪魔のように笑ってからかってくる女子高校生、小桜那智。
  自分の一学年下の高校一年生だ
  委員会活動がきっかけで絡むようになった傍迷惑な存在で、放課後に至ってはクラスの前で待ち構えている始末だ
  そんな子が何故、僕のようなモブに絡んでくるのか理解出来ない
  きっと他の生徒も同じなのだろう。不審な視線が痛い程突き刺さる・・・
  それでもお構いなしに絡んでくるのが小桜だ。
  さっきからクルクルとフィギアスケーターのように回りながら視界に入り込んでくる
  正直に邪魔臭い
  歩幅の小さい彼女に合わせて歩かないといけないし
  転ばない様に広い道を選ばないといけないし
  何よりも、その無防備なスカート丈が気になって、気になって・・・ハッキリ言って目の毒だ
  ヒラり、ヒラりと一枚の布が無責任に空を舞う。まるで蝶の如く、こちらの苦悩も露知らずに
小桜 那智(こざくら なち)「もうセンパーイ、聞いてますー? 私、喉が乾いたからジュースが飲みたいんですけど?」
「飲めばいいじゃないか? 丁度そこに自動販売機もあるし」
  僕の返事に大変ご不満を感じた小桜は、頬を膨らませるとそっぽを向いて自動販売機へと歩き出した。
  やっと解放してくれたか
小桜 那智(こざくら なち)「何をしてるんですか? センパーイ、早く買って下さいよー、私はサイダーですよー」
  まさかコイツ、奢らせる気か?
  聞こえないふりをして帰路へと足を進めると、益々大きな声で喚き出した。
  回りの視線が痛いのでやめて下さい
  仕方ないので渋々と奢る羽目になったが、どうしても納得できない
小桜 那智(こざくら なち)「えへへー、センパイ、ゴチです!」
「何で僕が・・・」
小桜 那智(こざくら なち)「こんな可愛い後輩が一緒に帰ってあげてるんですよ? 安いもんじゃないですか?」
  小桜はベンチに座ると、そのまま体育座りのように足を曲げた
  僕は恐ろしくハッとした───・・・
  見えてしまうんじゃないだろうか、その体勢は・・・。
  無防備にも程があるぞ、小桜!
小桜 那智(こざくら なち)「何ですか? もしかして飲みたいんですか?」
「い、いや、そういうワケでは・・・」
小桜 那智(こざくら なち)「いいですよ、飲みたいなら飲んでも。 でもこれ私の飲みかけだから、間接キスになりますけどねー」
  か、間接キス───・・・!?
  そんなことをしたら、小桜を狙っている男子生徒から報復され兼ねない!
小桜 那智(こざくら なち)「えー、センパイ・・・もしかしてヤラしいこと考えてますー? エッチぃー」
小桜 那智(こざくら なち)「センパイがどうしてもって言うならー・・・上げないこともないですよ?」
「上げるも何も、それって僕のお金で買ったものだろう?」
  あちゃちゃっと、舌を出して恍ける小桜にこれ以上の追及は出来なかった
「まったく、何で僕の家と小桜の家が近所なんだろうな。おかげで下校時間を満喫することが出来なくなったじゃないか」
小桜 那智(こざくら なち)「そんなこと言ってー、本当は嬉しいくせに」
「そんなわけないだろ?こっちの気も知らないで・・・」
小桜 那智(こざくら なち)「もうセンパイってつれないなぁ。私は楽しいのに、センパイとこうして帰るの」
  小さな唇と尖らせて、分かりやすく拗ね出した。まるで幼稚園児が駄々を捏ねているようだ
  このまま愛想を尽かして僕から離れてくれればいいのだが、どうしてだろう・・・このまま彼女を帰らせたくない
「べ、別に楽しくないとは言ってないだろ? 僕だって小桜と一緒に帰るのは・・・」
  楽しい・・・?
  いや、楽しいよりもスリリング
  ハラハラドキドキとゲームをしているような感覚だ

〇一戸建て
小桜 那智(こざくら なち)「それじゃ、センパイ! ここでお別れです!」
小桜 那智(こざくら なち)「センパイ、実は転ばない様に守る様に歩いてくれたんですよね?」
「え?」
小桜 那智(こざくら なち)「そんな恍けなくてもいいですよー。気付いてましたから、私」
  いや、無防備な下半身を守ろうと奮闘はしていたが、そこまでの気は回っていなかった
  僕の不自然な動きは幸いにも彼女によってプラスな行動と変換されていた
小桜 那智(こざくら なち)「やっぱりセンパイって優しいんだから。 だから好きなんですよ・・・」
「え、何? 小さくて聞こえないんだけど」
小桜 那智(こざくら なち)「いいですよーだ、聞こえなくていいんです」
  彼女が二ッと笑った瞬間───・・・
  悪戯な突風が、彼女のスカートを大胆に吹き上げて去っていった
  バッチリと目に焼き付かれた純白の・・・
小桜 那智(こざくら なち)「せ、せ、センパイ・・・み、見ました?」
「ぼ、僕しか見てないから安心しろ! そしてすぐに忘れてやるから」
「ほ、ほら! また風が吹くといけないから、早く部屋の中に入るんだ!」
「・・・また明日な、これからは気を付けろよ」
小桜 那智(こざくら なち)「センパイ・・・、ふふっ、仕方ないなー! また一緒に帰ってあげますから! センパイも気を付けて帰って下さいね」
  可愛いくせに少し抜けている油断ならない後輩の小桜那智・・・
  これからも僕の日々は、彼女に振り回されそうだ

コメント

  • つくづく可愛いは正義なんだと思わせるストーリーでした。那智は男子高校生がお手上げになる小悪魔の要素を全部持ってる子ですね。タイトルに「少し抜けていて」とありますが、抜けているどころか全ての言動が計算づくであることに主人公が気づく日は来るんだろうか・・・。

  • すでに小桜ちゃんの虜になっている先輩の顔が目に浮かんできました・・こんな可愛いルックスと振る舞い、男子なら誰でもメロメロにされてしまいそう!

  • いけないです。これは先輩は有罪判決です。
    と、冗談はさておきニヤニヤしてしまいました!
    こんな青春、こんな状況、純白…本当に羨ましい…。

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