マオは魔王でも勇者が大好き(脚本)
〇城壁
魔王と勇者が何世代にもわたって争いを続けている世界。
私の将来の夢は、国1番の戦士・・・
勇者になることだった。
ユウ幼少期「マオくん、私必ず勇者になるよ」
マオ幼少期「ユウちゃんなら絶対になれるよ!僕応援する!」
ユウ幼少期「じゃあ大きくなったら一緒に冒険をしよう!」
マオ幼少期「うん、約束!絶対!」
〇黒
幼なじみと交わした約束を叶えるため、私は厳しい試練を乗りこえ勇者となった。
しかし約束は思わぬ形で破られることとなるのだ。
〇可愛らしいホテルの一室
マオ「ユウちゃん、僕と結婚しよう!」
ユウ「断る!」
マオ「そんなぁ!」
被り物の向こう側から幼なじみの悲痛な声が響く。
マオ「そんな・・・僕には地位も人望もあるし、城と広大な土地を所有してる」
マオ「資産もたくさんある!ひかえめに言って優良物件だと思いませんか!?」
ユウ「お前自分の立場わかっているのか!」
ユウ「お前は魔王!私は勇者!」
ユウ「お前と私は敵対関係にあるの!」
そう、なんと幼なじみのマオはあろうことか魔王になっていたのだ。
私が勇者に選ばれた時、家業を引き継ぐと言って村を出ていったマオ。
自分が勇者の敵になることを隠して私を応援し続けていたのだ。
マオ「だってだって魔王は世襲制だし、僕は長男だから引き継がないといけなかったんだもん」
マオ「しかたないことだったんだよホント! わざとじゃないから!」
そう言うマオは少しも悪びれた様子はない。
マオ「でもさ、こうして会えるんだから役得だよね」
ユウ「いやいや、直接勇者に会いに来る魔王は普通いないって」
ユウ「ここってはじまりの村の次の村だよ?せめて幹部あたりを派遣するものじゃないの?」
マオ「だってみんな血気盛んでさぁ。 危なくてユウちゃんに会わせられないよ」
マオ「あいつらどうかしてる」
ユウ「宿の個室に突然現れる魔王もどうかと思うけど・・・」
夕方頃、村に到着した私と仲間は
モンスターとの戦いの疲れを癒すため宿屋に来ていた。
女は私1人だったので、仲間と別の部屋を使わせてもらっていた。
そこに突然マオが現れたのだ。
着替え中じゃなくて本当によかった。
マオ「だってユウちゃんの味方も攻撃的じゃん! 魔王絶殺みたいな雰囲気出しちゃって!」
マオ「下手に会ったら戦争になっちゃいそうで 怖い怖い」
マオは大袈裟にため息をつく。
マオ「僕の望みは1つ。 ユウちゃんと結婚したい」
マオ「魔王と勇者の争いなんて結局は形式的なものだし、どうでもいいもーん」
ユウ「仮にも魔王なんだから威厳を持ってよ・・・」
〇荒廃した街
この大陸にはいくつか国があり、
昔から小さな争いをずっと繰り広げていた。
しかし魔王という共通の敵が現れたことで国同士協力するようになり、
結果同盟を結ぶほど仲良しとなった。
魔王とはいわゆる必要悪なのだ。
マオ「その通り!敬いたまえ〜!」
〇可愛らしいホテルの一室
ユウ「それでも国の平和は私とお前にかかっているんだ」
ユウ「私はお前と恋仲になる気は全くない!ありえない!」
マオ「う・・・うううう〜!」
マオ「フラれたぁ!!」
マオは膝から崩れ落ちた。
マオの告白を断ったのはこれで3回目だ。
マオ「でもツンデレなユウちゃんも好きー!」
バネがはじけるように立ち上がると
マオは私に抱きついてきた。
ユウ「ちょっと!離れてよ!」
マオ「えへへ、照れるユウちゃんも可愛い〜!」
小さい頃は当たり前のようにマオとハグをしていたけど・・・
今は立場的にも年齢的にも気軽にできるものじゃない!
ガタン、と扉が開く音がする。
ユウの仲間「おい、ユウ。騒がしいけどどうかしたか?」
ユウ「あ・・・・・・いや、その」
そこにマオの姿はない。
扉が開ききる前に魔法で瞬間移動したのだ。
ユウ「いやぁ、ちょっと格闘技の訓練をしてて」
ユウの仲間「おいおい、部屋の中ですることじゃないだろ」
ユウの仲間「夜も遅いんだ、ほどほどにしろよ」
ユウ「うん」
相手は特に疑うことなく去っていった。
部屋には私1人。
ユウ「はぁ〜・・・・・・」
長く長く息をつく。
ユウ「マオくん・・・今日もカッコよかったなぁ」
ユウ「しかも最後に抱きしめてくれた。 もうドキドキが止まらない!」
ユウ「だめだめ!この気持ちは隠し切らないと。だって私は勇者だもの」
マオくんは私のことが好き。
もちろん私もマオくんが大好きだ。
幼い頃の約束には続きがある。
〇城壁
ユウ幼少期「私、マオくんとずーっと一緒にいる!」
マオ幼少期「じゃあ僕もユウちゃんのそばにずっといる!」
マオ幼少期「ユウちゃんは、僕のお嫁さんになるの!」
ユウ幼少期「うん!それも約束!」
私とマオくんは結婚の約束をした。
マオくんはその約束を覚えていて、さらに実現しようとしているのだ。
〇可愛らしいホテルの一室
ユウ「だめだめだめだめ落ち着いて私」
ユウ「私は勇者。私は誇り高き勇者よ」
私は秘密にしなければならない。
この恋心を。
そして誰にも知られてはいけない。
マオくん本人にさえも。
ユウ「私、次会った時平然としてられないよぉ〜」
私の旅はまだ始まったばかりである。
両思いじゃないですか!笑
ツンツンしたユウちゃんが、一人になった途端デレデレになるところ、すごくかわいいです。
ワンコのようなマオくんもかわいいです。
勇者と魔王は敵対関係というストーリーが当たり前なのに、斬新なストーリーですね。子供の頃の約束を覚えていて、それをいつまでも思っている二人の将来が楽しみです。
幼いころの約束を、今も心に秘めている。だけど、口に出しては言えない関係。
いつか成就するのかな?恋の行方が気になるます。