セカイが始まるその瞬間(脚本)
〇葬儀場
・・・本当に運が悪かったわね
・・・えぇ本当に・・・
まだ中学生だったんでしょう・・・まだまだ生きれたのに・・・
・・・しょうがないわよ・・・交通事故だったんだから・・・
・・・でも一番かわいそうなのは・・・
残されちゃったお兄ちゃんよね・・・
お母さんは病気で、お父さんは過労死だたんでしょ?・・・本当に可愛そうね・・・
本当に妹ちゃん大切にしていたものね・・・
〇シンプルな一人暮らしの部屋
先日俺の妹が亡くなった
〇渋谷のスクランブル交差点
俺と一緒に帰ってた時に・・・
トラックに跳ねられて・・・
〇シンプルな一人暮らしの部屋
みんな俺は悪くないって言ってくれるけど
あれ・・・は・・・俺の・・・所為だ・・・
〇大樹の下
佐久麻 仁和「お兄ちゃん!」
佐久麻 仁和「私いつか大きなお城に住みたいな!」
佐久麻 仁和「そしてお兄ちゃんと沢山遊びたい!」
佐久麻 仁和「だからお互いバイト頑張ろうね!」
佐久麻 仁和「楽しみだな〜!」
〇シンプルな一人暮らしの部屋
佐久麻 透也「仁和!」
佐久麻 透也「あぁ・・・もう朝か・・・」
佐久麻 透也「仁和言ってたな・・・お城に住みたいって」
佐久麻 透也「・・・ごめんな・・・叶えてあげられなくて」
佐久麻 透也「・・・学校行かなきゃか」
佐久麻 透也「・・・行きたくないな」
佐久麻 透也「・・・そうだ」
〇大樹の下
秘密基地に行こう・・・
仁和とよく一緒に行った・・・
〇山道
佐久麻 透也「ここよく仁和と通ったな・・・」
佐久麻 透也「ホント・・・懐かしいな」
佐久麻 透也「あれ?」
〇ファンタジーの学園
佐久麻 透也「なんで山の中にこんな建物が・・・」
佐久麻 透也「前はこんなのなかったよな・・・」
佐久麻 透也「だ・・・誰か来た」
???「アハハハハ・・・やっと誰か来てくれた!」
佐久麻 透也「仁和!」
???「仁和?誰それ?まあいいや」
???「コホン」
ニーナ=フェクトル「私はフェクトル家長女にしてこの屋敷の7代目当主〈ニーナ=フェクトル〉よ!」
佐久麻 透也(ニーナ・・・本当に仁和とソックリだな・・・)
ニーナ=フェクトル「ほら自己紹介終わり! コレでお友達ね!」
佐久麻 透也「え!?」
ニーナ=フェクトル「ほら入って入って! 何して遊ぶ?」
佐久麻 透也「いや・・・ちょ・・・ま!」
〇貴族の応接間
それから
屋敷にとうされた俺は
半日間このニーナと言っている少女の遊び相手にされた・・・
〇貴族の応接間
佐久麻 透也「はぁ・・・はぁ・・・」
佐久麻 透也「疲れた・・・」
佐久麻 透也「どんだけ向こうは体力あるんだよ・・・」
佐久麻 透也「でも・・・もうそろそろ帰れるだろ」
ニーナ=フェクトル「な〜に言ってんの?」
ニーナ=フェクトル「まだ付き合ってもらうよ!」
佐久麻 透也「まだかよ・・・」
ニーナ=フェクトル「ほら行くよ〜」
〇大樹の下
佐久麻 透也「ここは・・・」
ニーナ=フェクトル「どう?気に入った?」
ニーナ=フェクトル「はいどうぞ!」
佐久麻 透也「え!」
ニーナ=フェクトル「私いつもここでおやつ食べるの」
佐久麻 透也「・・・いただきます」
佐久麻 透也「・・・」
ニーナ=フェクトル「・・・ねえ」
ニーナ=フェクトル「さっき言ってた仁和って誰?」
佐久麻 透也「・・・俺の妹だ」
佐久麻 透也「お前に・・・ソックリな」
佐久麻 透也「・・・もう死んじゃったけど」
ニーナ=フェクトル「・・・だから来た時から暗かったのね」
ニーナ=フェクトル「あんまり自分を責めちゃダメよ」
佐久麻 透也「ダメだ・・・」
佐久麻 透也「俺が・・・殺したんだから・・・せめて苦しまないと・・・」
〇渋谷のスクランブル交差点
事故当日
佐久麻 仁和「・・・それでね〜」
佐久麻 透也「・・・てくれ」
佐久麻 仁和「どうしたの?」
佐久麻 透也「静かにしてくれって言ってんだ!」
佐久麻 透也「頭痛いんだよ!」
佐久麻 仁和「ご・・・ごめん」
佐久麻 透也「もういい・・・一人で帰る」
佐久麻 仁和「ま・・・まって」
佐久麻 透也(・・・少し言い過ぎたかもな)
佐久麻 透也(やっぱり謝った方がいいか・・・)
佐久麻 透也「仁和・・・俺も悪かっt・・・」
佐久麻 仁和「え?」
〇黒背景
〇渋谷のスクランブル交差点
佐久麻 透也「仁和?」
佐久麻 透也「おい!仁和!返事しろ」
佐久麻 透也「死ぬな!絶対に死ぬな!」
佐久麻 透也「仁和!」
佐久麻 透也「仁和!・・・」
〇大樹の下
佐久麻 透也「俺が殺したんだ・・・」
佐久麻 透也「俺があそこで怒らなければ・・・」
ニーナ=フェクトル「・・・」
ニーナ=フェクトル「・・・名前を聴いてなかったわね」
佐久麻 透也「・・・佐久麻 透也です」
ニーナ=フェクトル「・・・そう」
ニーナ=フェクトル「・・・透也」
〇黒背景
〇大樹の下
ニーナ=フェクトル「・・・はい!コレで妹の恨みは無くなったわよ!」
佐久麻 透也「え?何して・・・」
ニーナ=フェクトル「透也、貴方妹に恨まれてると思ってるんでしょ?」
佐久麻 透也「!!」
ニーナ=フェクトル「だから貴方の妹に似てる私が叩いたからコレで恨みはチャラよ」
佐久麻 透也「・・・何言ってんだ」
ニーナ=フェクトル「貴方こそ何言ってんの?」
ニーナ=フェクトル「透也の妹は人を恨むような子なの?」
佐久麻 透也「そんなことないけど・・・」
ニーナ=フェクトル「大丈夫よきっと!」
〇黒背景
佐久麻 仁和「大丈夫だよ!」
〇大樹の下
佐久麻 透也「・・・仁和」
佐久麻 透也「・・・」
佐久麻 透也「なあニーナ」
佐久麻 透也「お前のこともっと教えてくれないか?」
ニーナ=フェクトル「・・・今はまだ無理かな」
佐久麻 透也「そうか・・・なら」
佐久麻 透也「これからも一緒にいてくれ」
佐久麻 透也「お前はニーナで仁和じゃない」
佐久麻 透也「だけど何故か色々なところが仁和と重なる」
佐久麻 透也「・・・俺は知りたい」
佐久麻 透也「・・・ニーナを知りたい」
ニーナ=フェクトル「・・・そう」
ニーナ=フェクトル「・・・それじゃあ」
ニーナ=フェクトル「私たちコレで本当にお友達ね!」
佐久麻 透也「・・・うん!」
〇空
きっと
ココから俺のセカイが
もう一度始まるんだ
愛していた故人とそっくりな人間との交流は諸刃の剣ですよね。上手くいけば過去の罪悪感を吹っ切れるけれど、そうでなければ傷が深くなることもあるでしょうし。透也本人が言うように、ニーナが過去との決別と新たな世界の始まりのきっかけになればいいなあ。
お兄ちゃんが入りこんだ世界は、果たして現実なのか幻想なのか、仁和とニーナの関係は、などと想像して楽しみたくなる読後感です。
死人に口なし、と言われるように、どう思われているかなんてわかりません。
恨まれてるかな、と心配になる気持ちは非常にわかりますが、新たな成長を仁和ちゃんも望んでいるんだろうなと!