隣の芝生は青い(脚本)
〇明るいリビング
欲野ノン「おはよう」
欲野エス「どう?キレイ?」
欲野ノン「ママはいつもキレイだよ」
欲野エス「でしょ?昨日エステに行ったの」
欲野エス「またSNSにアップしなきゃ」
欲野ノン「インフルエンサーって大変だね」
欲野エス「何言ってんの!」
欲野エス「これがママの生きがいよ」
欲野エス「ほら、これ見て!」
〇SNSの画面
相変わらず美しすぎ!
今日もキレイですね!
スタイルよくて羨ましい〜!
〇明るいリビング
欲野エス「あー!満たされるぅ〜!」
欲野エス「世間がママを求めているわ!」
欲野アペタ「おはよう」
欲野アペタ「もぐもぐ」
欲野ノン「朝からよく食べるね」
欲野エス「食欲はパパの魅力の一つですもの」
欲野アペタ「ママは今日も美しいね」
欲野エス「あーん!もっと褒めて!」
欲野アペタ「ママみたいなステキな女性と結婚できて幸せだよ」
欲野エス「パパも相変わらずセクシーな食べっぷりね」
欲野アペタ「さあ、朝食の時間だ」
欲野エス「早速SNSにアップしなきゃ!」
欲野ノン「この料理、パパが作ったやつじゃん」
欲野エス「いいのよ!」
欲野エス「そんなの言わなきゃわかんないんだから」
欲野エス「ほら!早速コメントが来てるわ」
欲野エス「「すごい品数」「キレイで料理も上手くて完璧すぎる」って!」
欲野エス「もっと褒めてちょうだい〜!」
欲野ノン「はあ・・・」
欲野ノン「そもそも、こんな食べれないよ」
欲野アペタ「しょうがないな」
欲野アペタ「じゃあ、こっちを食え」
欲野ノン「朝からすき焼きって・・・」
欲野アペタ「あー我慢できない!食うぞ!」
欲野アペタ「もぐもぐ・・・うまい!」
欲野アペタ「これも追加しちゃおう」
欲野ノン「うっ・・・」
欲野ノン「見てるだけでお腹いっぱい」
欲野エス「あら?マテリは?」
欲野ノン「さあ?寝てるんじゃない」
欲野エス「ちょっと起こしてきてちょうだい」
〇部屋の扉
欲野ノン「入るよ」
〇汚い一人部屋
欲野ノン「うわっ!」
欲野ノン「いてて・・・」
欲野ノン「ちょっと何これ!」
欲野マテリ「あー勝手に入るなよ!」
欲野ノン「またガラクタ買ったの?」
欲野マテリ「ガラクタじゃねーよ!」
欲野マテリ「欲しかった服が届いたんだ」
欲野ノン「またこんなにたくさん・・・」
欲野ノン「で、その格好は何?」
欲野マテリ「これいいだろ?レア品だぜ」
欲野ノン「この前も買ってなかった?」
欲野マテリ「あれはブラック。これは限定カラーだよ」
欲野マテリ「お!届いたか!」
欲野ノン「また何か注文したの?」
欲野マテリ「次から次へと欲しいものが出てくるからな」
欲野マテリ「買っても買っても足りないぜ!」
〇明るいリビング
欲野エス「ノンは何か欲しいものないの?」
欲野ノン「ない」
欲野エス「あなたの「欲」は、まだ目覚めてないみたいね」
欲野ノン「このまま目覚めなくていいよ」
欲野エス「あら、そんなこと言わないの」
欲野アペタ「うちは代々、特定の「欲」が強まる」
欲野アペタ「パパの場合は、食欲だった」
欲野エス「ママは、承認欲ね」
欲野アペタ「美しいママにぴったりだな」
欲野エス「ありがと」
欲野ノン「お兄ちゃんの物欲は、何とかした方がいいと思うけど」
欲野エス「あれも立派な個性よ」
欲野アペタ「ノンは何の「欲」が強まるかな」
欲野アペタ「楽しみだな」
欲野ノン「私は欲なんかいらない」
欲野ノン「普通に暮らしたいの!」
〇教室
欲野ノン「はあ・・・」
欲野ノン「普通の家族が羨ましい」
無良シンジ「欲野って、マテリ先輩の妹だったんだな」
欲野ノン「無良君!?」
欲野ノン「そ、そうだけど・・・」
無良シンジ「先輩にはいつもサッカー部で世話になってるんだ」
欲野ノン「そうなんだ・・・」
欲野ノン(いつもこっそり練習見てるから知ってるけど)
無良シンジ「先輩によろしく言っといて」
欲野ノン「うん・・・」
欲野ノン(無良君、今日もカッコいいな)
〇綺麗な一戸建て
欲野ノン「お兄ちゃんと・・・無良君!?」
欲野ノン「うちの前で何やってるの?」
欲野マテリ「これからうちで一緒にゲームすることになった」
欲野マテリ「無良の家、ゲームないって言うから」
欲野ノン「え!?」
欲野ノン「そんな、いきなり困るよ!」
無良シンジ「やっぱり俺、帰ります」
欲野マテリ「え?なんで?全然いいよ」
欲野マテリ「そもそも俺が誘ったんだし」
欲野ノン「ちょっとお兄ちゃん!何考えてるの!?」
欲野マテリ「なんで?別にいいだろ」
欲野ノン「よくない!」
欲野マテリ「なんで?」
欲野ノン「だって・・・ほら、家も散らかってるし」
欲野マテリ「そんなの気にすんなよ!」
欲野マテリ「さあ、入って」
欲野ノン「あ・・・クソ兄貴!」
欲野ノン「ヤバい・・・」
欲野ノン「何とかみんなの暴走を止めないと」
〇明るいリビング
欲野エス「いらっしゃい〜!」
無良シンジ「無良です。お邪魔します」
欲野エス「ゆっくりしていってね」
欲野エス「も〜!こんなイケメンの友達がいるなら、早く紹介しなさいよ」
欲野ノン「ちょっと!」
欲野エス「私、キレイでしょ?」
無良シンジ「え?」
欲野ノン「ママ!やめてよ・・・」
無良シンジ「はい、おキレイです」
欲野エス「ありがとう〜!」
欲野エス「この服は、どう思う?」
無良シンジ「とても似合ってます」
欲野エス「あー!満たされるぅ〜!」
無良シンジ「え?」
欲野ノン「気にしなくていいから」
欲野ノン「早くお兄ちゃんの部屋行こ」
〇汚い一人部屋
無良シンジ「うわあ・・・」
欲野ノン「汚いでしょ?」
無良シンジ「すげー!」
欲野ノン「え?」
無良シンジ「これ、秒で売り切れた幻のスニーカーですよね!?」
欲野マテリ「お!わかるか!?」
欲野マテリ「徹夜で並んで買ったんだよ!」
無良シンジ「これ、あのバンドが使ってるギターじゃないですか!」
欲野マテリ「そうなんだよ!」
欲野マテリ「無良、ギター弾けるの?」
無良シンジ「欲しいんですけど・・・」
無良シンジ「うちは親が厳しくて買ってもらえなくて・・・」
欲野マテリ「え!?」
欲野マテリ「そっか・・・」
欲野マテリ「じゃあほら!これ弾いてみろよ」
無良シンジ「いいんですか!?ありがとうございます!」
無良シンジ「この部屋、宝の山ですね!」
欲野マテリ「だろ!?ほら、これもすごいだろ?」
欲野ノン(あれ?なんか盛り上がってる・・・)
〇明るいリビング
欲野ノン「パパ、何やってるの?」
欲野ノン「今、仕事中でしょ?」
欲野アペタ「ノンの友達が来てるって聞いてな」
欲野アペタ「おもてなしの準備をしてたんだ」
欲野ノン「何もしなくていいから!」
欲野ノン「ほら!早く自分の部屋戻って・・・」
無良シンジ「こんにちは。お邪魔してます」
欲野ノン(あー最悪・・・)
欲野アペタ「ようこそ!我が家へ」
欲野アペタ「ノンの友達が家に来たのは初めてだよ」
欲野アペタ「さあ、どれでも好きなものを食べてくれ」
無良シンジ「こんなにたくさん!?」
欲野アペタ「スナック、チョコ、キャンディー、何でもあるぞ」
欲野アペタ「あ、ケーキがいいかな?」
欲野アペタ「あー、腹へった。俺も食べよう」
欲野アペタ「もぐもぐ」
欲野アペタ「うまい!」
無良シンジ「あ・・・えっと・・・」
欲野ノン(もう最悪だ・・・)
欲野ノン(無良君に嫌われる)
欲野ノン「ムリして食べなくていいからね」
無良シンジ「あはは!すごいや!」
欲野ノン「え?」
無良シンジ「うちは親が厳しくて、お菓子食べるの禁止されてて」
欲野アペタ「ええ!何だって!?」
無良シンジ「まあ、こっそり学校帰りとかに食ってますけどね」
無良シンジ「欲野さんは、毎日こんなお菓子を食べれて幸せだな」
欲野アペタ「ううっ・・・そっか・・・」
欲野アペタ「さあ、遠慮せずどんどん食ってくれ!」
無良シンジ「ありがとうございます!」
欲野アペタ「ほら!肉もサービスだ!」
無良シンジ「え!すごい!」
欲野ノン「いや、なんで肉・・・」
欲野ノン「せめてスイーツにしてよ」
欲野アペタ「ちなみに料理はすべて、私の手作りだよ」
無良シンジ「えー!すごいですね!」
無良シンジ「欲野さん家の食事は、毎日こんな豪華なんですか?」
欲野アペタ「私は食べることが好きでね」
欲野アペタ「好きなものを好きなだけ食べるのが幸せなんだ」
無良シンジ「いいですね!羨ましいです」
欲野アペタ「さあ、どんどん食ってくれ」
〇通学路
無良シンジ「今日はありがとな」
欲野ノン「なんか色々ごめんね」
無良シンジ「なんで?すげー楽しかったよ!」
欲野ノン「本当?よかった・・・」
無良シンジ「欲野の家族、いいな」
欲野ノン「え?どこが?」
欲野ノン「ママはあんなだし、パパはいつも食べてるし」
欲野ノン「お兄ちゃんは物を買いすぎだし」
無良シンジ「みんな自由で楽しそうだ」
欲野ノン「自由すぎるよ・・・」
無良シンジ「ちょっと羨ましい」
欲野ノン「無良君?」
無良シンジ「じゃあ、また明日」
〇デザイナーズマンション
〇おしゃれな玄関
無良シンジ「ただいま」
〇殺風景な部屋
無良アイ「おかえり」
無良シンジ「また捨てるの?」
無良アイ「だって、いらないでしょ?」
無良アイ「余計なものは手放さないと」
無良シンジ「でも・・・」
無良アイ「幸せは、ていねいな暮らしから生まれるの」
無良アイ「欲を手放せば、心穏やかでいられるのよ」
無良シンジ「・・・」
無良シンジ「あのさ・・・」
無良シンジ「欲しいギターがあるんだけど」
無良アイ「ダメよ。必要ないわ」
無良アイ「ねぇ、お父さん?」
無良タダシ「そうだ。欲は捨てろ」
無良タダシ「欲こそ人間の最大の敵」
無良タダシ「欲深い人間に、ろくなやつはいないぞ」
無良シンジ「はい・・・」
〇屋根の上
「はあ・・・」
「普通の家族が羨ましい」
対称的な二つの家族の日常、楽しませてもらいました! 双方極端ですが、どちらかといえば、無良家より欲野家に住みたいですね。笑
ノンが毎回様々な欲望に目覚める、なんて展開も面白そうだなと思いました^^
欲野家は見ていて楽しい家族ですねぇ!
自分の家族になったらなったで、色んな意味で大変そうだけど……それも含めて楽しめたら最高の家族なんだろうなって思います( ´ ▽ ` )
最後の両者の家族については、コメディながら考えさせられました。普通って何なんでしょうね……🤔
欲というのは醜くとらえられがちですが、人を動かす原動力でもありますね🤔
欲野家の方々は突き抜けてますけど😅
ノンちゃんが覚醒した時、実はとんでもない欲望を秘めていた…とか、いろいろ広がっていきそうですね😆