ギス♥️ギス

小潟 健 (こがた けん)

家族(脚本)

ギス♥️ギス

小潟 健 (こがた けん)

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〇川沿いの公園
老いた男「──無い」
老いた男「おかしい──確かにここなのに」
若い男「見付けたぞ!」
老いた男「うん?──なんだ貴様?」
若い男「こんな所まで来て、手間掛けさせやがって」
老いた男「私に──何か用か?」
若い男「爺さん、ここにアンタの探し物は無いぜ」
老いた男「貴様、もしやアレを隠したのか?」
若い男「その質問自体がナンセンスなんだよ」
老いた男「何をする!?離せ!」
若い男「うるせえ!暴れんな!」
老いた男「誰か、助けてくれ!襲われている!」
若い男「オイ、止めろ爺さん!」
警察官「何事ですか!?」
若い男「あ、お巡りさん、コレは──」
老いた男「助けてくれ!この暴漢に襲われている!」
警察官「何だと!」
若い男「待って、ごか──」
若い男「ぐああぁっ!?」
警察官「17時15分!現行犯で確保ぉ!!」

〇黒

〇警察署の入口
若い女「本当に、ご迷惑をお掛けしました!」
若い男「お騒がせして、すみませんでした」
警察官「いえ、私も早とちりをしてしまって」
警察官「本当に体は大丈夫ですか?」
若い男「ハハ、大丈夫です」
若い女「それでは、私達はこれで」
警察官「ハイ、お気を付けて」
「お世話になりました」

〇黒

〇車内
老いた男「──誰だ?貴様」
若い女「どっこいしょ」
老いた男「おぉ、桔梗(キキョウ)さん」
老いた男「コイツは誰だ?」
桔梗?「アタシは──母さんじゃないよ」
桔梗?「爺さん、義巣大治(ギスダイチ)の孫──」
タンポポ「蒲公英(タンポポ)だよ」
ダイチ「んぁ?──孫?」
タンポポ「今日は全然忘れている日だね」
タンポポ「そのデカいのは、弟の鼓巳(ツヅミ)だよ」
ツヅミ「爺さん、シートベルトを締めろよ、ホラ」
ダイチ「ん? あぁ──」
ダイチ「こんな孫が居たかぁ?」
タンポポ「そんじゃ、しゅっぱーつ」

〇車内
ツヅミ「オイ、姉ちゃんタバコは止めろって」
タンポポ「え?」
タンポポ「──あっ!? そうだった」
タンポポ「あはは、つい癖でさ」
ツヅミ「気を付けて──」
ツヅミ「──ごめん」
ツヅミ「──やっぱ、俺が言える事じゃあ」
タンポポ「いや、助かったよ」
ツヅミ「そ、そう?」
タンポポ「うん──ありがとう」
ダイチ「すぱー」
ツヅミ「オイ!爺さん!?」
ダイチ「何だ?──あー、孫?よ」
ツヅミ「タバコ、タバコを吸うな!」
ダイチ「何でだ?」
ツヅミ「えッ?」
ツヅミ「あ、えっと──それ、は」
タンポポ「──車を売る時に、タバコの臭いがすると安くなっちまうんだよ」
ダイチ「あー、そうだったかな?」
タンポポ「そうそう」

〇高級一戸建て

〇シックな玄関

〇おしゃれなリビングダイニング
タンポポ「ただいま~」
老いた女「あら、お帰りなさいタンポポちゃん」
ツヅミ「ただいま、お婆さん、向日葵(ヒマワリ)」
ヒマワリ「おかえりなさ~い」
老いた女「ツヅミさんもご苦労様です」
老いた女「────」
老いた女「──ハァ」
ダイチ「輪(リン)、飯はまだか?」
リン「なんだ、帰ってきたの」
リン「アナタはもう食べたんじゃないかしら?」
ダイチ「うん?そうだったか?」
タンポポ「爺さん、晩飯はまだだから座って待ってな」
ダイチ「ああ」
ダイチ「油っぽいのは出すなよ」
リン「──フン」
タンポポ「今日はアタシが作るからさ」
リン「──そう」
リン「悪いけどお願いね、タンポポちゃん」
タンポポ「やれやれだ」
ツヅミ「手伝うよ、姉ちゃん」
タンポポ「ん、頼んだ」

〇おしゃれなキッチン
タンポポ「ウッ──うぅ」
タンポポ「タマネギが目に効くなぁ~」
ツヅミ「お父さん、定時で帰るってメールが来た」
タンポポ「そう」
タンポポ「会社サボっていたクセに」
タンポポ「定時に合わせて帰るなんて小賢しい」
ツヅミ「あ──」
ツヅミ「母さんも今日は家で食べるってさ」
タンポポ「じゃあ──全員が揃うね」
ツヅミ「そうだね」
タンポポ「・・・・・・」
タンポポ「全員が揃ったら、アタシ──言うから」
ツヅミ「言うって?」
ツヅミ「──まさか」
タンポポ「大丈夫──アンタは心配しなくても大丈夫」
ツヅミ「で、でも──俺」
タンポポ「大丈夫──お姉ちゃんは大丈夫だから」
タンポポ「ほら──」
タンポポ「残りのタマネギは任せたぞ」

〇おしゃれなキッチン

〇おしゃれなリビングダイニング
壮年の男「ただいま」
タンポポ「オ──」
リン「お帰りなさい、樹(イツキ)ちゃん」
壮年の男「ただいま」
イツキ「オヤジ、また一人で抜け出したんだって?」
リン「そのまま何処かに行ってしまえば──」
イツキ「それ以上言わないでくれよ」
イツキ「ツヅミが見付けてくれたんだって?」
ツヅミ「ハイ、お父さん」
ツヅミ「また旧店の跡地にまで行ってました」
イツキ「新店の方に行ってくれれば──」
イツキ「瞑李(ツムリ)達が回収するのにな」
ツヅミ「社員の人達なら皆知っていますからね」
ツヅミ「あ、母さんお帰り」
ツムリ「ただいま、ツヅミ」
イツキ「今日は早いね」
ツムリ「アナタ」
ツムリ「また会社をサ──」
タンポポ「きょ、今日はカレーだよ!」
タンポポ「オヤジもお母さんも冷めないうちに食いな」
イツキ「そうしようか」
ツムリ「タンポポさん、ありがとうね」
タンポポ「やれやれだよ」

〇おしゃれなリビングダイニング
タンポポ「────あ、あの」
イツキ「ツヅミ、学校の勉強はどうだ?」
ツヅミ「え?──あー、──モグ」
ツヅミ「順調です、来月の模試も問題無いハズです」
イツキ「そうか、それは良い事だ」
ツヅミ「ありがとうございます」
イツキ「しかし──もしかしたらツヅミは勉強のしすぎで、運動不足かもしれないなぁ」
ツヅミ「え?──はぁ」
イツキ「俺と同じくらい身長も有るし、ダンスなんかすれば見栄えも良いだろう、こんど──」
タンポポ「オイ、オヤジ!」
タンポポ「受験生を変な趣味に引きずり込もうとするんじゃあ無いよ!」
イツキ「オイオイ──変な趣味とは失礼な」
タンポポ「今日だって、爺さんが家出た時も──」
リン「まぁまぁ──タンポポちゃん、そのぐらいにしてあげなさいな」
タンポポ「でも──」
ツムリ「タンポポさんの言うとおりじゃあ無い?」
タンポポ「あ──お母さん」
リン「どういう事かしら?」
ツムリ「受験直前のツヅミを変な趣味に引きずり込むなんて──どうかと思うわ」
リン「あのね、ツムリさん、イツキちゃんには深い考えがあっての──」
ツムリ「仕事をサボってアイドルの追っかけをする人が、そんな考えしているワケ無いわよ!」

〇ライブハウスのステージ

〇おしゃれなリビングダイニング
リン「グゥッ!?そ、ソレは──」
イツキ「おい、ツムリ──やはり君とは一度」
イツキ「じっくりと話し合う必要があるらしいな!」
ツムリ「開き直るな! この糞ドルオタがッッ!!」
イツキ「糞ドル──だと?」
イツキ「ミナたんを馬鹿にするなど、許さんぞ!!」
ツムリ「馬鹿はアンタ一人なのよドルオタが!」
ツムリ「そんなだから前の奥さんも出て行くし、お義父様もアンタに会社を継がせないのよ!」
イツキ「君だってバツイチだろうが!」
ダイチ「のぅ──イツキ」
イツキ「うっ、オヤジ──なんだよ?」
ダイチ「────」
「────」
ダイチ「──うん?」
ダイチ「何だお前ら、人の顔をジロジロと」
ダイチ「おい、リン、福神漬けを寄越せ」

〇おしゃれなリビングダイニング
タンポポ「ホラ、爺さん、福神漬け」
ダイチ「ん?──おぉ」
タンポポ「ねぇ、みんな、ちょっと──」
リン「ねぇ、ツムリさん、貴女まだイツキちゃんに謝っていませんよね?」
ツムリ「あら?何か謝る事でもありましたか?」
リン「イツキちゃんの趣味を悪く言いますが──」
リン「貴女のエステ狂いに比べれば大分マシよ!」

〇美容院

〇病院の診察室

〇おしゃれなリビングダイニング
リン「稼ぎの半分以上も使うなんておかしいわよ」
リン「イツキちゃんは貴女ほどの浪費をしません」
ツムリ「そう言うお義母様こそご自分で稼がず──」
ツムリ「ゴルフや外食三昧じゃないですか!」

〇大樹の下

〇テーブル席

〇おしゃれなリビングダイニング
ツムリ「人の稼いだ金で遊ぶのは楽しい様ですね」
ダイチ「ふん──ツムリさん、アンタの稼ぎだって」
ダイチ「私の会社を継いだからだろう?」
リン「あ、貴方──」
ダイチ「あんまり調子にのって大きな口を──」
ツムリ「その大赤字の会社を誰が立て直したか──」
ツムリ「まさか忘れたとは言わねえだろうな?」
ダイチ「────」
ダイチ「──おい、私の分のカレーはまだか?」
ツムリ「ボケたフリすんなよジジイ!!」

〇おしゃれなリビングダイニング
タンポポ「──ハァ」
ツヅミ「ね、姉ちゃん──」
ヒマワリ「デザートある?」
タンポポ「────」
ツヅミ「れ、冷蔵庫にアイスがあるぞ」
ヒマワリ「やったー♪」
タンポポ「──うちの家族は、どいつもコイツも」
ツヅミ「ね、姉ちゃん?」
タンポポ「アタシも含めて──」
タンポポ「うがーーーーっ!!!!」
ツムリ「タンポポ、さん?」
イツキ「な、なんだ、いきなり!?」
リン「ど、どうしたのよ!?」
ダイチ「女が暴れるとは何事だ!!」
タンポポ「──アタシ」
タンポポ「──妊娠したから」
タンポポ「産むつもりなんで、みんな、よろしく」
タンポポ「そんじゃ、ごちそうさまでした」
ツムリ「へ?あ?──おめ、でと、う?」
リン「あら~、そう──そう?──あら?」
ダイチ「待て、おい! 相手は?父親は誰だ!?」
イツキ「──そ、そうだ!?タンポポ待ちなさい!!」

〇部屋の前
イツキ「タンポポ、開けなさい!返事をしなさい!」
ツムリ「タンポポさん、病院は行ったの?」
リン「タンポポちゃん、具合が悪いの!?」
ダイチ「──うん?」
ダイチ「何だ?廊下で騒々しい」

〇おしゃれなリビングダイニング
ツヅミ「────」
ヒマワリ「みんな行っちゃったね~」
ツヅミ「え?──うん」
ヒマワリ「お姉ちゃんの赤ちゃんってコトは──」
ヒマワリ「アタシってお姉ちゃんになるの?」
ヒマワリ「それともオバさんになるの?」
ツヅミ「えっと──お姉ちゃんで、良いのかな?」
ヒマワリ「ふーん」
ヒマワリ「じゃあさ」
ヒマワリ「お兄ちゃんは何になるの?」
ツヅミ「え?」
ツヅミ「えっと、俺は、お──」
ヒマワリ「お兄ちゃんかな?」
ヒマワリ「それとも──」
ヒマワリ「パパかな?」
ツヅミ「────」
ツヅミ「────え?」
ヒマワリ「やっぱり、お兄ちゃんは、赤ちゃんの──」
ヒマワリ「お兄ちゃんになるつもりなんだ?」
ツヅミ「ひ、ヒマワリ?」
ツヅミ「何を」
ヒマワリ「きょうだいは結婚できないもんね」
ツヅミ「ヒマワリ、おまえ──」
ヒマワリ「ねぇお兄ちゃん、だまっててあげようか?」
ツヅミ「──え?」
ヒマワリ「ヒマの言うこときいてくれたら──」
ヒマワリ「ナイショにしてあげる」
ツヅミ「お、俺は──」

〇黒
  俺は
  俺、は
  オレ、は

〇おしゃれなリビングダイニング
ツヅミ「俺は──」
ヒマワリ「フフッ」
ヒマワリ「それじゃあ、お兄ちゃん」
ヒマワリ「取り引きの代金として毎月のおこづか──」
ツヅミ「俺、パパになるぞ!!!!」
ヒマワリ「半分を──」
ヒマワリ「アレ?」
ツヅミ「うおおおおっ!!!!」
「父親は、俺だーーーーっ!!!!」
ヒマワリ「あ、行っちゃった」
ヒマワリ「そんな──」
ヒマワリ「お兄ちゃん──」
ヒマワリ「行かないで」
ヒマワリ「ヒマの──ヒマワリの」
ヒマワリ「お兄ちゃん銀行計画がーーっ!?」
ヒマワリ「うおおーーーーんッ!!」
  どうなるギス家?
  修羅場はこれからだ!!

コメント

  • いきなり修羅場過ぎます笑
    今作はギャグ的要素のないシリアスな展開だと思いましたが…まあシリアスな展開なんですけどね。
    何とも言えない微妙なギスギス感が絶妙です。カオスなギスギス感とでも言うか…
    どんな展開にも転びそうな面白そうな作品です。

  • おボケになられたご老人に振り回される家族かぁ…と思いつつ読み進めると…あらあら全員ヤヴァイじゃあないですか♥️これでギスらなかったら逆に不自然!自然体が一番!
    誰かがボコられても、次の回では別の誰かをボコってそうなバランスがいいですね👍姉弟は血が繋がってなかったのか…よりマズい方へマズい方へと考えちゃってたのでちょっと安心しましたw
    ヒマワリちゃんは北欧神話のロキのような活躍が期待できますね😉

  • 1話から最高潮にギスッてて、いい意味で先が思いやられる一家ですねw
    末っ子ちゃん、恐るべし😂

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