〇川沿いの公園
ヒロキ「お兄さん！　オレ、どうしてもお兄さんの事を好きなんだ！」
サトル「駄目だよヒロキ君、それは許されない事だ」
ヒロキ「な、なんで!?」
ヒロキ「あ、そうか・・・」
ヒロキ「オレが子供でお兄さんが大人だからか」
ヒロキ「それならもう少ししたら誕生日も迎えるし問題なんて──」
サトル「違うんだよヒロキ君・・・」
ヒロキ「じゃ、じゃあオレが男だからか!?」
ヒロキ「だったらオレ、性転換手術して女になるよ！」
ヒロキ「それでお兄さん好みの女になって──」
サトル「ヒロキ君！」
サトル「僕はどうしても君を受け入れられない」
サトル「何故なら君は今思春期なんだ」
サトル「だから君が今僕に抱いている感情はもしかすれば勘違いかもしれない」
サトル「君ぐらいの年齢だとよくある」
サトル「だからこそもう一度よく考えてみて欲しい」
ヒロキ「なんだよ、それ・・・」
ヒロキ「だったらあの時オレに優しくするんじゃねえよ！」
ヒロキ「惚れさせてんじゃねえよバカ!!」
サトル「あっ、待つんだヒロキ君!!」

〇開けた交差点
ヒロキ（お兄さんのバカ野郎・・・）
サトル「ハァハァ・・・待ってくれ、ヒロキ君──」
サトル「あっ──」
運転手「うわああああ！　人が突然飛び出して来た！」
運転手「ブレーキが間に合わねぇ！」
ヒロキ「え、嘘だろ・・・」
ヒロキ「お兄さあああああん!!」
　　続く

〇本棚のある部屋
　　ヒロキ『お兄さあああああん!!』
　　続く。
　　漫画タイトル『ヒロキ』作：Lisa
内藤要(ないとうかなめ)「・・・」
　　こっそりと妻が描いた漫画の原稿をみて、僕はとてつもない衝撃を受けた
内藤要(ないとうかなめ)（朝からどえらい物を読んでしまったよ）
内藤理沙(ないとうりさ)「ムニャムニャ・・・」
内藤要(ないとうかなめ)（リサちゃん、とりあえずお疲れ様）
内藤要(ないとうかなめ)（今度こそコンテスト通過する事を信じてるよ）
内藤要(ないとうかなめ)（声はかけない方がいいよね）
内藤要(ないとうかなめ)（行ってきます）
内藤理沙(ないとうりさ)「ムニャ・・・？」
内藤理沙(ないとうりさ)「カナメっち？」

〇電車の中
内藤要(ないとうかなめ)「・・・」
内藤要(ないとうかなめ)（ムフフフ）

〇アパートの玄関前
武雄（タケオ）「カナメ、気をつけて仕事に行って来いよ、それと早く帰って来るんだぞ」
内藤要(ないとうかなめ)「うん、勿論そうするよ」
武雄（タケオ）「あ、それと・・・チュ♡」
内藤要(ないとうかなめ)「行って来まーす！」

〇アパートのダイニング
武雄（タケオ）（カナメのやつ、早く帰って来ねえかな）
内藤要(ないとうかなめ)「ハァハァ、ただいま！」
武雄（タケオ）「おかえりカナメ、今日も早く帰って来てくれたんだな」
内藤要(ないとうかなめ)「勿論だよ」
内藤要(ないとうかなめ)「あのアホ上司が残業しろとかほざいてだけど」
内藤要(ないとうかなめ)「タケオに会いたいからガツンと言って断って帰って来たよ」
武雄（タケオ）「そうか、嬉しいぜ」
武雄（タケオ）「ところで〜これからどうする〜？」
武雄（タケオ）「ご飯？　お風呂？」
武雄（タケオ）「それともオレにする〜？」
内藤要(ないとうかなめ)「ば、バカ、まだ明るいだろ。なに言ってんだよタケオは」
武雄（タケオ）「ハハッ、冗談だって」
武雄（タケオ）「もう少しで夕飯ができるから先にお風呂に入って来いよ」
内藤要(ないとうかなめ)「う、うん」

〇アパートのダイニング
内藤要(ないとうかなめ)「──それでさ、部長のやつがさぁ──」
武雄（タケオ）「ハハッ、面白いな」
　　どこにでもある、夫婦の日常会話
　　たのしい一時
内藤要(ないとうかなめ)（タケオが僕の妻で幸せだな～）
　　はっ？

〇アパートのダイニング
内藤理沙(ないとうりさ)「オドレの妻は私じゃろがあああ!!　カナメっちいいい!!」
内藤理沙(ないとうりさ)「覚悟しろこの浮気者ぉっ!!」
内藤要(ないとうかなめ)「うわああああ!!」

〇電車の中
内藤要(ないとうかなめ)「うわっ!?」
（ヤバっ、さっきから何なんだこの人）
　　昨晩みた夢の中のタケオを思い出していた。
内藤要(ないとうかなめ)（心臓の鼓動が止まらないし、罪悪感で締め付けられそうだ）