生徒会秘書の近藤さん

YO-SUKE

第三話「君にバトンを渡したい」(脚本)

生徒会秘書の近藤さん

YO-SUKE

今すぐ読む

生徒会秘書の近藤さん
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇教室
佐々木隼人「はあ? お前がリレー選手?」
山中裕司「うん。来週の体育祭。 目玉競技のリレーで、紅組代表に 立候補してみないかと言われたんだ」
佐々木隼人「あの近藤さんが・・・お前に?」
山中裕司「さっきからそう言ってるじゃん」
佐々木隼人「だからなんでお前なんだよ? なんか理由なきゃおかしいだろ?」
山中裕司「もしかしたら、僕がカッコよく走る姿を 見たいのかもしれない。 僕、走りにはそこそこ自信があるから」
佐々木隼人「いやいやいや。自惚れすぎだから」
山中裕司「もしリレーで目立って、 白組に勝つことができたら・・・ こ、告白しようと思ってるんだ」
佐々木隼人「本気かよ? 自滅するつもりか?」
山中裕司「近藤さん・・・待ってて!」
佐々木隼人「人の話を聞け!」
  近藤アズキがリレーを持ち掛けた
  本当の理由も知らずに、
  裕司は舞い上がるのであった

〇グラウンドのトラック
  地獄谷山高校の体育祭では、
  全学年が紅組と白組に分かれて競い合う
  今日は裕司が参加する
  紅組のリレー練習だった
  生徒A・Bと裕司が、
  準備運動をしている。
山中裕司「リレーは四人だったはず・・・ 最後の一人は──」
花巻大五郎「俺だ」
  裕司が振り向くと大五郎が立っている。
山中裕司「せ、せ、生徒会長!?」

〇グラウンドのトラック
  裕司と生徒A・Bが震えながら
  大五郎の話を聞いている。
花巻大五郎 「リレーは走る順番が大事な戦略になる。 まずは誰がアンカーをやるか、だな」
山中裕司「まさか生徒会長と 同じチームになるなんて──」
花巻大五郎 「誰かやりたい人はいないか?」
山中裕司「はっ・・・! まさかレース中の事故に 見せかけて僕を殺す気なんじゃないか」
生徒A「あ、あの! やはりアンカーは生徒会長がやるべきかと」
生徒B「そ、そうだな!」
花巻大五郎 「アンカーは、お前がいいだろう」
  大五郎は裕司を指さす。
山中裕司「僕!?」
花巻大五郎 「不服か?」
山中裕司「ふ、ふ、不服だなんて!」
花巻大五郎 「1番手と2番手はお前たちがやれ。 俺は3番手をやる」
山中裕司「いっ・・・! てことは、 僕はこの人からバトンを受け取ることに」
山中裕司「あ、あの! 僕は一年生ですし、 さすがにアンカーというのは・・・」
山中裕司「それにその生徒会長から バトンをもらうのは(怖い)──」
花巻大五郎 「まさか、俺からバトンを受け取るのは 嫌だと言うのか?」
山中裕司「あ、ありがたく務めさせて頂きます!」

〇生徒会室
近藤アズキ「うまく行きましたね。 名付けてリレーで仲良く作戦」
花巻大五郎 「で、でも! 本当に裕司くんに バトン渡すことになっちゃったよ! どうしよう~!」
近藤アズキ「自信を持ってください。 仲良くなるチャンスじゃないですか」
花巻大五郎 「う、うん・・・」
近藤アズキ「もし白組に勝つことが出来たら、 その勢いで告白するのもいいかと」
花巻大五郎 「こ、こ、こく・・・!」
近藤アズキ「生徒会長ならできますよ。 前向きにご検討ください」
花巻大五郎 「う、うん・・・」

〇グラウンドのトラック
  そして大会当日。
  白組と紅組は拮抗したまま争い、
  最終局面を迎えようとしていた
  スコアボードを渋い顔で
  見つめる裕司と隼人。
佐々木隼人「紅組272点、白組268点・・・ 拮抗してるな・・・」
山中裕司「ううっ。最後のリレーに勝敗が かかっていると思うと胃が痛い・・・」
山中裕司「もし僕のせいで負けたりしたら、 あの生徒会長に何をされるか」
佐々木隼人「そういえば、白組のアンカーは インターハイに出場経験もある 全国一位の実力者らしぞ」
山中裕司「そんなの聞いてない!」
近藤アズキ「いよいよ本番間近ね」
山中裕司「近藤さん・・・!?」
近藤アズキ「生徒会長は必ず一位で走ってくるはず。 あなたは生徒会長の(愛の)バトンを しっかり受け止めなさい」
山中裕司「そ、それは──」
アナウンス「リレーに出場する選手は、 正門付近のテントにお集まりください」
山中裕司「ううっ・・・呼ばれた。僕には無理だよ」
近藤アズキ「でも(生徒会長は) あなたじゃなきゃダメなのよ」
山中裕司「え・・・?」

〇グラウンドのトラック
  裕司が胃痛と戦いながら、
  レーンを見つめている。
山中裕司「くっ・・・! 今は二位か。 このままだと逆転は難しい──」
  その時、ひと際大きな歓声が上がる。
  バトンを受け取った大五郎が猛然と迫り、
  前の走者を追い抜こうとする。
花巻大五郎 「うおおおおおおお! (裕司くーん! 待ってて~!)」
山中裕司「ま、まるで鬼のような顔じゃないか! こ、殺される・・・!」
  お腹を押さえて尻込みする裕司。

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第四話「大五郎の漢気」

成分キーワード

ページTOPへ