生徒会秘書の近藤さん

YO-SUKE

第二話「心のキレイな男の子」(脚本)

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〇ビルの裏
  これは今から約半年前。
  裕司が地獄谷山高校に
  入学する前の出来事である
山中裕司「や、やめてくれよ!」
不良「うるせえ! おらっ!」
花巻大五郎 「ふんっ・・・よくあるカツアゲ風景か。 やる連中も、やられっぱなしの男も 低能でしかないな」
  裕司を散々痛めつけて、
  満足そうに立ち去っていく不良たち。
花巻大五郎 「無様だな・・・。 あの程度の者たちにいいようにやられて」
  大五郎が立ち去ろうとすると、
  子犬が現れて、裕司の元に駆け寄る。
山中裕司「あ、こらっ! 舐めないでよ」
花巻大五郎 「子犬・・・!?」
  裕司の後方には、小さな犬小屋がある。
花巻大五郎 「も、もしかして・・・! その身を呈して子犬を守るために──」
  実際は、ただカツアゲに遭っていた
  裕司のところに、たまたま子犬が
  駆け付けただけだったが・・・
  とにもかくにも、この日、
  大五郎は恋に落ちたのである

〇教室
佐々木隼人「お前、すごい噂になってるぞ」
山中裕司「やっぱり昨日のこと・・・?」
佐々木隼人「当たり前だろ。あの近藤アズキが 一年男子に猛烈アプローチって」
山中裕司「実感ない・・・一晩冷静に考えてみると、 全部夢だったんじゃないかって」
佐々木隼人「夢なもんか。もはや校長先生の耳にまで 入っていると思ったほうがいい」
山中裕司「ううっ・・・ 近藤さんとは仲良くなりたいけど、 学校で目立つのはちょっと・・・」
  二人のやり取りを、男子生徒A・Bが
  廊下から見つめている。
生徒A「あいつ・・・! 調子に乗りやがって」

〇屋上の入口
  放課後
山中裕司「まさか・・・ 近藤さんから屋上に呼ばれるなんて」
山中裕司「もしかして告白的な──」

〇学校の屋上
  後ろでドアが閉まると、
  男子生徒A・Bが怖い顔で睨んでいる。
山中裕司「何か用ですか?」
生徒B「近藤さんに気に入られて いい気になってんじゃねーぞ!」
山中裕司「えっ! あ、あの! 僕、約束があって。 さっき机に書き置きが──」
生徒A「近藤さんがお前に 用なんてあるわけないだろ!」
生徒A「あれは俺たちが書いたんだ!」
山中裕司「ええっ!?」
  生徒A・Bが腕まくりをすると、
  『アズキ・命』のタトゥー
生徒B「校則を破ってまでこのタトゥーを 入れるほど、俺たちは近藤さんの ファンだったんだ!」
生徒A「それなのにお前ごときの量産型モブ生徒が 手作りお弁当だと・・・!」
山中裕司「ちょっと待って! 僕だってなんで近藤さん に好かれているのかわからないんだ!」
生徒A「好かれてるとか言うなーーー!」
  怖い顔で裕司に迫る男子生徒A・B。
山中裕司「近藤さん!?」
近藤アズキ「・・・・・・」
生徒B「あ、あの近藤さん! これには深いわけがあって──」
近藤アズキ「喧嘩するならご自由に」
山中裕司「え・・・?」
生徒A「へへへ。聞いたか。 近藤さんのお墨付きを頂いたぞ」
山中裕司「そ、そんな! ちょっと待って──」

〇学校の屋上
  ボコボコにやられて空を見上げる裕司。
  アズキが手当てしている。
近藤アズキ「動かないで。 今腫れているところ冷やしてあげるから」
山中裕司「な、なんで・・・? いま手当てしてくれるなら、 さっき助けてくれても良かったのに」
近藤アズキ「あれくらいの困難を一人で解決できるようにならないと(会長の)恋人にはなれない」
山中裕司「こ、恋人・・・!?」
山中裕司「ぼ、ぼ、僕と近藤さんが恋人? 自分に釣り合う人になれってことなのか。 僕は今、試されているのか」
近藤アズキ「これでよし・・・と。 軽傷で済んで良かった」
山中裕司「あ、ありがとうございます・・・! 僕、 必ず強くて頼りがいのある男になります!」

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