サボりまくりサボリーマン

ふみ

サボりまくりサボリーマン(脚本)

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〇本棚のある部屋
  ぼわん!
マジメ(来るぞ・・・)
サボ天「おはようマジメくん 今日のサボり指令、略してサボ令は・・・」
サボ天「競馬場でレースを観て勝つこと、だ」
マジメ「!!」
マジメ(なんでこんなことに・・・)
  しがないサラリーマンのぼくは今、、、
  サボるように脅されている。

〇本棚のある部屋
  1か月前
  家でいつも通りリモートワークをしている時だった。
マジメ「はぁ、やっと仕事の時間が終わる・・・」
  ぼわん!
  煙幕!?と思ったら、その中から可愛い女性が出てきた。
サボ天「・・・君はなぜ時間を無駄にする?」
サボ天「・・・そんな意味のない仕事をダラダラと1日8時間も続けて、どれだけ自分そして世界にプラスになる?」
サボ天「明日からサボり指令を出すので、それを仕事中に実行するように」
  訳分からず、なぜかカッコつけながら返すマジメ。
マジメ「ふっ、何言ってるんだ、そんな指令やらないよ」
サボ天「指令をこなさないと、殺す」
マジメ「ぇ?」
サボ天「殺すといっても身体的にではなく、社会的に抹消する方の意味だ」
サボ天「君が登録する全てのネットサービスのIDとパスワードを公開し拡散する」
  ・・・
マジメ「はいはい、おもしろい嘘をありがとう」
サボ天「信じないか。それならサンプルを見せよう」
  意地悪な笑みを浮かべると、タブレットを取り出し、某ゲーム小説投稿サイトのページを見せてきた。
  そしてぼくのIDとパスワードを空で読みながら入力しログインした。
  間違いなくぼくのものだ。
マジメ「なんてこった・・・」
  こんな怖い脅迫をぼくは聞いたことがなかった。
  匿名アカウントがバレるリスクはもちろんのこと、写真アプリはクラウド保存なので全て中身が見られてしまう。
  メモアプリにも結構ヤバめの日記や雑記が散見される。
  オンラインバンクの情報も筒抜けで口座から抜かれてしまうだろう。
  あぁなるほどこういう時のために1日の上限金額があるのね、と妙に納得する。
  色々やばい。
サボ天「想像力を働かせたようだな」
マジメ「うぅ・・・」
  可愛い見た目と言っていることのギャップが激しい。
  次の日からサボ天使ことサボ天によるサボり指令をこなす日々が始まった。

〇本棚のある部屋
  最初の方はいたって簡単な指令だった。
  わざわざ着替えて1時間昼寝をする・・・

〇カフェのレジ
  隣町のケーキ屋さんまで歩いていき、おやつを買ってくる、、、

〇映画館の座席
  しかし徐々にレベルアップしているようだ。
  この前は映画館で映画を観る、だった。
  某英国スパイ映画を仕事時間中に観て、違う緊張感も持ちながら堪能した。

〇本棚のある部屋
  そして今日のサボり指令は・・・競馬場でレースを観て勝つこと。
マジメ「・・・」
サボ天「このレースは大一番だから絶対観に行った方が良いぞ!」
  サボ天の口調はいつになく熱がこもる
  不思議に思いながらも競馬場の場所を調べてみる。
  どうやら自宅から片道1時間半はかかる。つまり往復3時間は確定だ。
  今日のサボり指令は今までで一番リスクがあるようだ。
  ちなみに、ぼくの仕事はコロナの影響から、完全リモートワークだ。
  都内の某IT企業で働く4年目だが、仕事内容もデータの分析整理や会議がある程度。
  ネックなのは、週によって土日勤務があり、会社支給のデスクトップPCの利用が義務な点だろうか。
  外出時は携帯できないため、サボっているときに上司からPCの方に連絡があると返事ができないのが痛い。

〇競馬場の座席
  競馬場に着いた。
マジメ「おぉ広いな」
  競馬場は久しぶりだ。広々していて気持ちが良い。
マジメ「サボ天は来たことある?」
サボ天「当たり前だろう、競馬は命だ」
マジメ(あ、ガチの人だった)
サボ天「よし馬券を買いに行け!私の馬は〇〇のxxと△△の□□だ!マジメも自分で決めて買え!」
マジメ「はい」

〇競馬場の払い戻し機
  競馬はあまり詳しくないので、人気の馬の中から馬名の面白さで買った。

〇競馬場の座席
マジメ「買ってきました」
サボ天「うむ」
  馬券をもらったサボ天は楽しそうだ。
  そろそろレースが始まりそうだ。
マジメ「サボ天、どこで観る?」
サボ天「ゴール前のとこに行こう!」
  ゴール前のスペースには、今か今かと待っているファンが大勢いた。
  しばらくすると、ファンファーレが鳴り響き、レースが始まった!
  ゴール前からスタート地点は見えないので、まずはスクリーンで観戦だ。
  自分の買った馬は良い位置に付けていそうだ。
マジメ「よしよしいいぞ!」
  サボ天をちらっと見ると、ベテラン勝負師の域に達しているのか、目を閉じて音でレースを感じているようだ。
サボ天「・・・」
  レースも終盤、残り400m。
  自分の馬は先頭集団についている。
マジメ「いいぞいいぞいけー!」
  徐々に観客の目が、スクリーンから馬たちが走って来る方向へ移る。
  ぼくの目にもスピード感溢れる馬たちが飛び込んできた。
  多くの人の歓声が体中を駆け巡り、興奮が最高位に達する。
  仕事時間中であることの記憶はおろか感覚も一切合切消えている。
マジメ「いけーー!!」
サボ天「差せーーーーーー!!!!!!」
  凛とした通る声でサボ天が叫んだ。
  1着でゴールしたのは、、、
  ぼくの馬だった!
マジメ「やったーー!!」
  興奮がまだ冷めやらない。
  サボ天はと見てみたら、顔面はいつにも増して白く、生気が失われていた。
マジメ「サボ天・・・?」
サボ天「・・・さて、帰ろうか」

〇電車の座席
  帰りの電車の中ではお互い一言も話さず、家路についた。
  ・・・
  一体次は何をしてサボるのか、サボ天以外知る由もない。
サボ天「次は渋谷スクランブルのライブカメラ前でブレイクダンスとかどうだろう・・・」

コメント

  • 誰しもサボりたい気持ちは持っていて、でもサボっても仕事は消化出来ないからなぁ…とか思いながらやってるんじゃないでしょうか。
    強制的にサボらされるのはおもしろいですね!

  • 誰しもサボりたいと思った事はあると思いますが強制されるとサボりもあまり嬉しくないのかもって思ってしまいました。笑程よい背徳感ぐらいが丁度良いのかも笑

  • この物語の主人公のようにテレワークで自由気ままに遊びまわる人も多いみたいですね。
    でもテレワークだからというより、日本人にはそういう遊びが足りてないのだと思います。
    堂々とみんながサボれる時がくるまで作品を更新し続けてくださることを望みます。

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