実況の合間に恋愛を

陽菜

実況者集合(脚本)

実況の合間に恋愛を

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〇寂れた一室
  そうして、恭介に集められた実況者たちの顔合わせの日・・・
大橋 小陽「かいさんってどんな人だろうねー!」
高城 誠「男の人かな・・・?」
大橋 小陽「私、かいさんの小説のファンだから本当に楽しみなんですよねー!」
赤月 恭介「ホント!」
赤月 恭介「まさかコラボしてくれるなんて思ってなかったっすから!」
  皆でワイワイと話していると、女性の声が聞こえてきた。
「あ、これでいいのかな・・・?」
  ・・・女性?
立花 湊「遅れてすみません。 「かな&かいの実況」のかいです」
赤月 恭介「え、かいさんって、女の人だったんすか・・・・・・?」
  画面越しに現れたのは、本当に綺麗な若い女性だった。
立花 湊「あ、はい・・・一応、女です」
立花 湊「はじめまして。 立花 湊と言います」
  意外過ぎる展開にキョトンとしている俺達に、かいさんこと湊さんは困ったように笑った。
立花 湊「あはは・・・驚きますよね」
高城 誠「あ、いや、まぁそうですね・・・」
成田 恵茉「結構な美人さん・・・」
遠藤 一月「え、えっと・・・失礼ながら、おいくつですか・・・?」
立花 湊「あ、一応、二十歳です・・・」
立花 湊「普段は障害者就労支援のB型の職員をしています・・・」
横山 碧「あ、そうなんですね。 作家と動画制作だけじゃないんだ」
立花 湊「はい。今の職場にかなりお世話になってましたから」
  かなり穏やかな人だなぁ・・・と思った。
  同時に、どこか寂しげな雰囲気も宿している気がした。

〇おしゃれなリビングダイニング
  皆で話していると、私のスマホに着信が来た。
立花 湊「あ、すみません・・・少し出ますね・・・」
杉山 修斗「気にしなくていいですよ」
  その好意に甘え、私はそれに出る。
立花 湊(本当は出たくないんだけどな・・・)
立花 湊「もしもし、お母さん?どうしたの?」
湊の母「あ、湊。 ごめんなさいね、急に」
立花 湊「ううん、大丈夫。 何があったの?」
湊の母「実は、またお父さんの借金が見つかったみたいで・・・」
立花 湊「またか・・・」
  私の父は小学生の時に亡くなっている。
  その時かなりの借金をしていたみたいで、母と兄達が必死に働いていたんだけど・・・
立花 湊「分かった、私の方でその分は仕送りするよ」
立花 湊「お母さん、病気持っているんだからあんまり無理したらダメだからね」
  数年前、母は過労で倒れてしまったため、あまり無理をさせるわけにはいかない。
  私の家族は一番上が姉で、二番目、三番目が兄、そして私に弟だ。
  姉はすでに家を出ていて、すぐ上の兄は内部障害で難聴もある。そのため、私ともう一人の兄で支えている状態だ。
湊の母「ごめんなさいね、あなたも自分の生活があるでしょうし・・・」
立花 湊「大丈夫だよ。今のところ、一番稼いでるの私なんだし」
立花 湊「それに一人暮らしだしね」
立花 湊「むしろ任せきりで兄さん夫婦に申し訳ないよ」
湊の母「そう? ・・・無理はしなくていいのよ?」
立花 湊「無理なんてしてないよぉ」
  そう、実際に無理はしていないのだ。
  お金なんてあっても、一人ではあまり使わないのだから。
  問題なのは・・・
湊の母「あ、それから・・・」
  母からそれを聞いた途端、呆れてものが言えなかった

〇寂れた一室
  しばらくして、湊さんが戻ってきた。
立花 湊「すみません、家族からでした」
高城 誠「いえ、大丈夫ですよ」
佐々木 渉「そうですよ、湊さんもお忙しいでしょうから」
立花 湊「ありがとうございます・・・」
  ・・・やっぱり、少し寂しげなのがきになる・・・
大橋 小陽「あの、湊さんはどこ住みなんですか?」
立花 湊「都内ですよ。えっと・・・」
  最寄駅を聞くと、意外と近くであることが分かった
高城 誠「あ、近くなんですね」
立花 湊「そうなんですか?」
川口 莉子「あの、家にいってもいいですか?」
  いやいや、さすがにそれは・・・と思ったけど、まさかのオッケーが出た
高城 誠「いいんですか!?」
立花 湊「一人暮らしですし、構いませんよ」
  もちろん、うれしくないわけはない。
  でも、さすがに迷惑ではないのか。
立花 湊「気にしなくていいですよ」
高城 誠「それなら、いいんですけど・・・」
  本当にいいのかな、なんて思いながら俺達は来る日を湊さんに伝えて解散した。

次のエピソード:湊の過去

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