童話シリーズ

鍵谷端哉

私の名前はシンデレラ 後編(脚本)

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〇王妃謁見の間
  昔々、あるところにシンデレラというとてもとても美しい少女がおりました。シンデレラは家の家事に追われる毎日を過ごしています
  ですが、あるとき、転機が訪れます。それはお城で舞踏会が開かれ、そこで王子が嫁をとるというものでした
  魔女の力を借りたシンデレラはお城へと向かい、ついに王子と対面し、踊ることとなったのです
  シンデレラと王子が踊っている。
カーラ「うわー、すごーい」
シーラ「・・・あれ、踊ってるというより、王子がシンデレラに振り回されてるわね」
カーラ「王子もシンデレラも楽しそう」
シーラ「・・・ 王子はすごい、幸せそうな顔してるわね」
カーラ「あっ!」
シンデレラ「しまった!汗で滑った!」
王子「うわあああああ!」
王子「おふっ!」
シーラ「振り回す勢いがあった分、飛んでいくスピードも半端じゃなかったわね」
カーラ「すごい勢いで壁に激突したけど・・・ 王子、生きてるかな?」
シンデレラ「おい!しっかりしろ!生きてるか!?」
  そこに兵士たちが現れ、シンデレラを囲む。
カーラ「やっば!シンデレラ、お城の兵士たちに囲まれちゃったわ」
シーラ「・・・ まあ、あんな風に王子を扱ったんだから当然っちゃ当然なんだけど・・・」
カーラ「そんなこと言ってないで、助けにいくわよ」
シーラ「そんな必要はないと思うけど」
爺「ええい!重ね重ね、無礼者が!討ち取ってくれるわ!かかれ!」
「うおおお!」
カーラ「まずいわ!さすがのシンデレラもあの人数で一斉に襲い掛かれたら・・・」
「ぐお・・・」
シンデレラ「おいおい。歯ごたえねえな」
爺「ば、馬鹿な・・・。我が国最強の近衛兵たちが・・・」
シンデレラ「それより、王子!大丈夫か?」
王子「・・・ ・・・」
シンデレラ「ふう、気絶してるだけか」
爺「ええい!この化け物女め!王子から離れるんじゃ!」
シンデレラ「おい、王子、起きろって」
  シンデレラが王子の頬をペチペチと叩く。
爺「きー!この無礼者が!王子に触るなと言っておろうが!」
シンデレラ「うるせーなあ」
爺「はうっ!」
シンデレラ「お前は寝てろ」
爺「無念・・・」
シンデレラ「で、お前は起きろ」
  シンデレラが王子の頬をペチペチと叩く。
シンデレラ「起きろ」
王子「・・・ ・・・」
シンデレラ「起きろって、言ってんだろ!」
王子「はうっ!」
シーラ「・・・ 止め刺しちゃったんじゃない?」
カーラ「一瞬、首が変な方向に曲がってたような・・・」
シーラ「ううん、見てない見てない。私は見てないからね」
王子「はっ!今の物凄い衝撃は?」
シンデレラ「起きたな、王子」
王子「おお!姫!」
シンデレラ「早速だが、俺・・・ 私はもういかなきゃならねえ」
王子「そんなっ!」
シンデレラ「悪いな、もう行かねーとならねーんだ。12時で魔法は解けちまうんでな」
カーラ「・・・ 今、10時だっていうのは、スルーした方がいいのよね?」
シーラ「そうね」
シンデレラ「じゃあな、王子」
王子「ま、待ってくれ!」
シンデレラ「おっと、忘れるところだった」
  シンデレラが立ち止まり、靴を脱ぎ始める
シンデレラ「靴、靴っと・・・ あっ!」
シンデレラ「やっべ!割っちまった。もう片方はそっと置いておいてっと・・・」
シーラ「・・・ シンデレラ、何してるのかしら?」
カーラ「なんで、わざわざガラスの靴を脱いで、床に置いたんだろうね」
シンデレラ「じゃあな、王子!」
王子「素敵な、お方だった・・・」

〇西洋風の部屋
ミンシア「みんな聞いて!王子が、ガラスの靴を持って、街に来ているわ!」
ミンシア「そして、もうすぐ、うちにも来るわよ!」
シンデレラ「よしっ!」
シーラ「ねえ、お母さん。どうしてあんな回りくどいことしたの?」
カーラ「そうよ。あのまま結婚までもっていけばよかったのに」
ミンシア「甘いわね、二人とも。こういうのはドラマティックさが必要なの」
ミンシア「ちゃんと王子が探し当てるっていうプロセスが大事なのよ」
シーラ「たしかに、あのままだとシンデレラが王子を脅して、無理やり結婚に持ち込んだように見えるものね」
爺「・・・ たのもう。城の者だが、開けてもらえぬか。王子、自らのご訪問である」
ミンシア「はいはーい!」
王子「急に、すまぬな。実はこのガラスの靴の持ち主を探している」
王子「その方ら、履いてみてもらえぬだろうか?」
シーラ「わかりました・・・ 。うーん、入らないー」
カーラ「私も~」
王子「・・・ ダメか」
爺「王子、もう諦めましょう。というか、諦め てください。お願いいたします」
シンデレラ「ふっふっふ。満を持して、俺の出番だな」
王子「うむ。履いてみてくれ」
シンデレラ「いくぞ!おらあー!」
王子「ああっ!ガラスの靴がっ!」
ミンシア「シンデレラ!なにやってるのよ!」
シンデレラ「しまった!粉々になっちまった!」
爺「その手があったか!」
爺「さあさあ、王子、帰りましょう!もう、あの化け物女を探すことは無理ですぞ」
シンデレラ「わ、私の名前はシンデレラ!王子、貴方が探していたのは、この私だ!」
シーラ「・・・ いや、このタイミングで言う台詞じゃないでしょ」
王子「しかし、靴が割れた今、証明する方法が」
シンデレラ「いやいやいや。よく見ろよ。俺だって、俺!俺俺!」
カーラ「サギっぽいわよ、シンデレラ」
王子「すまぬ。実は顔は覚えていないのだ。私は彼女の心・・・中身を愛したのだ」
ミンシア「そんな・・・ 。ここまできて」
爺「わっはっは!さあ、王子!帰りましょう、帰りましょう!さっさと帰りましょう」
王子「・・・ そうだな」
シンデレラ「俺の・・・世界中の強者と戦う夢が ・・・。くそー、ふざけんなっ!」
王子「ほぶえっ!」
爺「王子ー!」
シーラ「シンデレラ、何してるの!」
シンデレラ「はっ!しまった、つい!」
爺「この化け物女め!死刑だ!死刑だ!」
王子「待て、爺。・・・この衝撃だ」
爺「は?」
王子「この全身に走る、痺れるような衝撃。間違いない!この娘こそ、昨日のあの方だ!」
爺「そ、そんな・・・」
王子「シンデレラ!僕と結婚してください」
シンデレラ「おう!いいぜ!」
ミンシア「やったわ、シンデレラ!」
カーラ「・・・ ガラスの靴、意味ないわね」

〇王妃謁見の間
  こうして、シンデレラは王子と結婚し、月に一度、城で盛大な武道大会を開き、幸せに暮らしましたとさ
  めでたしめでたし
  終わり。

次のエピソード:ロミオvsジュリエット

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