童話シリーズ

鍵谷端哉

ロミオvsジュリエット(脚本)

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〇荒地
ジュリエット「おお、ロミオ!どうしてあなたはロミオなの?」
ロミオ「ジュリエット・・・ 。どうして君はジュリエットなんだい?」
ジュリエット「ロミオ・・・」
ロミオ「ジュリエット・・・」
「ああ、狂おしいほど、戦い合いたい!」

〇基地の広場(瓦礫あり)
ロミオ「みんな、俺に続くなよ!一人で突っ込むから、邪魔をするな。うおおおお!」
隊長「い、いけません、ロミオ様― ― !」

〇基地の広場(瓦礫あり)
ジュリエット「ここは私一人で行きます。みんなは後でゆっくり来てください」
侍女「い、いけません、姫様――― !」

〇謁見の間
王様「・・・ ・・・」
隊長「王、大変です!」
王様「どうした?敵の援軍が来たのか?どのくらい来た?一万か?二万か?」
隊長「それが・・・」
王様「・・・ ・・・」
隊長「壊滅状態です」
王様「・・・ 念のために聞くが、味方じゃないよな?」
隊長「はい。敵が、です」
王様「そうか・・・ 。一週間ももたんかったか。で、王子は・・・ロミオはどうしてる?」
隊長「不完全燃焼とのことで、部屋で落ち込ま れております」
王様「・・・ どこかの国から、援軍が出ている気配はないのか?」
隊長「・・・ もう一つ、悪い知らせがあり・・・ 先ほど、敵国が降伏を申し出てきました」
王様「くそっ!あの大国でもダメか!」
隊長「数年はもつと思ったのですが・・・」
王様「他に戦争ができそうな国はあるか?」
隊長「・・・ 残念ながら。大陸のほとんどの国は同盟国となっております」
王様「むう・・・早く、何か手を考えねばな。このままでは国内の名のある者を襲いかねん。・・・ で、ジュリエットの方はどうしてる?」
隊長「どうやら、ロミオ様と同じ状態とのこと で・・・」
王様「いっそのこと、戦争でも仕掛けるか?」
隊長「・・・ ロミオ様の為に王家を巻き込むわけにはいきません」
王様「うむ・・・。わかっておる、冗談だ」
隊長「ロミオ様・・・」

〇荒地
ジュリエット「ロミオ!」
ロミオ「ジュリエット!」
ジュリエット「はああああ!」
ロミオ「うおおおおおお!」
隊長「ロミオ様、いけません!」
侍女「姫様、おやめください!」
ロミオ「冗談さ、なあ、ジュリエット」
ジュリエット「ええ、そうですわ。単なる挨拶です」
侍女「もし、姫様に何かあれば、私は・・・」
隊長「私もロミオ様に何かあれば、斬首刑にされます」
ロミオ「悪かった」
ジュリエット「申し訳ありません」
隊長「では、お二人のことを信じて、我々は席を外させていただきます」
侍女「私も」
ロミオ「二人とも・・・。感謝する」

〇海辺
ロミオ「昔はここで、よく二人で試合をしたな」
ジュリエット「ええ。あの頃はとても幸せでした」
ロミオ「ああ、俺もだ」
ジュリエット「何も考えず、全ての力をぶつけられる相手がいる、自分の全てを受け止めてくれる相手が目の前にいる、今思うと、幸せの絶頂でした」
ロミオ「父上に、ジュリエットとの試合を禁止されてから5年か・・・」
ジュリエット「あれから、色々な戦場を回りましたが、ロミオに匹敵する者は皆無でしたわ」
ロミオ「少しでも気を抜けば、即死。そんな中で命を削りながら斬り結ぶ」
ロミオ「背筋が寒くなるに比例して、全身の血が沸騰していく感覚・・・」
ジュリエット「止まった時の中にいるような、濃厚な時間」
ジュリエット「それでいて、何日も斬り結んでいるような感覚は、極限状態ではないと経験できませんわ」
ロミオ「ジュリエット・・・ 。君が隣にいるだけで、俺の血は沸騰するほど熱くなる」
ジュリエット「ロミオ・・・ 。あなたが隣にいるだけで、私の心臓は張り裂けそうになるほど高鳴っていきます」
ロミオ「互いの家が争っていれば・・・ 敵国同士であれば・・・」
ジュリエット「心置きなく、斬り結べますのに・・・」
ロミオ「どうして、同じ王家に生まれ落ちてしまったんだ」
ジュリエット「家の為に二人の想いは切り裂かれる。こんなに不幸なことはありませんわ」
ロミオ「おお・・・ジュリエット、どうして君はジュリエットなんだい?」
ジュリエット「ロミオ。どうしてあなたはロミオなの?」
隊長「うう・・・おいたわしや、ロミオ様。こうなったら、私が ・・・」

〇上官の部屋
隊長「ロミオ様!ジュリエット様が!」
ロミオ「・・・ なんだと?」

〇貴族の部屋
侍女「うう・・・姫様、姫様」
ロミオ「ジュリエット!なっ!嘘だろ?どうして ・・・ ?」
侍女「どうやら、敵国によって毒を盛られたようで・・・」
ロミオ「嘘だ!ジュリエット・・・ 。嘘だと言ってくれ。俺を置いていかないでくれ。お前を倒すのは俺だって、信じていたのに・・・」
隊長「ロミオ様・・・」
王様「ジュリエットが毒を盛られたというのは本当か!」
侍女「はい・・・。私が見つけた時には手遅れで」
王様「なんたることだ!すぐに犯人を見つけろ!・・・ん?ロミオ、何をしておる?」
ロミオ「・・・ ジュリエットがいない、この世界など、生きている意味はない」
王様「止めろ!早まるでない!」
ロミオ「・・・ うっ!」
王様「ロミオ!医者だ!医者を呼べ!」
隊長「・・・ 王様。手遅れでございます。ロミオ様の心臓は・・・止まっております」
王様「おお、なんたることだ。我が家が仲がいいばかりに・・・ 。我が家が仲違い、戦争をしていれば、こんなことには・・・。うおお!」

〇上官の部屋
  むくりと起き上がるロミオ。

〇海辺
ロミオ「ジュリエット、待たせたな」
ジュリエット「ロミオ」
ロミオ「これで心置きなく・・・」
ジュリエット「戦い合いができますわ!」
ロミオ「うおおおおおお!」
ジュリエット「はああああああ!」
  終わり。

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