童話シリーズ

鍵谷端哉

私の名前はシンデレラ 中編(脚本)

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〇西洋風の部屋
  昔々、あるところにシンデレラという、とてもとても綺麗な娘がおりました
  シンデレラは家事に追われる毎日を過ごしていたのです
  ですが、そんなシンデレラにチャンスが訪れました
  王子様が開く舞踏会。そこに参加すれば、王子様と結婚できるかもしれないのです
ミンシア「おのれ、シンデレラ。あなたを絶対に舞踏会に参加させてやるんだから」
シーラ「ねえ、お母さん。別にそこまでしなくてもいいんじゃないの?」
カーラ「そうよ。本人だって行きたくないって言ってるんだし」
ミンシア「何言ってるのよ!この機会を逃しても、あの子が結婚できると思ってるの?」
シーラ「いや、できるんじゃない?あの子、美人だし」
カーラ「そうそう。いつかはあの子だって、恋愛に目覚めると思うわ」
ミンシア「それじゃ遅いのよ・・・」
シーラ「そうかなぁ?まだ17なんだし、もう少し見守っててもよくない?」
ミンシア「ダメよ!絶対にダメ!」
カーラ「どうして、そんなに今回のことにこだわるの?」
ミンシア「だって、王子様よ!つまり、あの子と結婚ってことになったら、あの子は次期、王妃様になるってことなの」
シーラ「まあ、そうなるわね」
ミンシア「そして、あの子の母親である私や、あなたたちだって、お城に住めるはずよ!」
シーラ「・・・ うーん。結構、個人的な理由だったのね」
ミンシア「少しくらい贅沢したっていいじゃない!だって、人間だもの!」
カーラ「いっそ清々しいわ」
ミンシア「うう・・・。あの人が死んでから、我が家の家計は火の車・・・」
ミンシア「あの人を慕っていた人が未だに援助してくれてるからやってこれているけど、それが無くなったら、どうなることか・・・」
シーラ「だから、私たちが働くってば」
カーラ「そうよ。それにシンデレラだって、時々、イノシシとか熊とか獲ってくるから、食べ物には困らないわ」
ミンシア「私たち、一応は下級とは言え、貴族じゃない?それってどうかと思うの」
シーラ「そんなことも言ってられないんじゃないの?」
ミンシア「わかってるわ!でもね、せっかくのチャンスなんだから、それに賭けてみたいのよ!」
ミンシア「もし、やるだけやってダメだったら諦めもつくわ」
カーラ「うーん・・・」
ミンシア「お願い、シーラ、カーラ。お母さんに協力して!」
シーラ「わかったわ。でも、無理強いしたり、懇願したりするのは反対だからね」
シーラ「あの子、ああ見えても、結構、気が利く子だから、望んでなくても進んで犠牲になりかねないわ」
ミンシア「わかってるわ。私だって、シンデレラには幸せになって欲しいんだから」
ミンシア「・・・よーし、あの子自身に、行くって言わせてみせるんだから」

〇西洋風の部屋
ミンシア「シーラ、カーラ、準備は出来た?そろそろ出ないと、舞踏会に遅れるわ」
シーラ「ええ、ばっちり」
カーラ「私も」
ミンシア「うん。二人ともいいわね。これなら、王子も目に止めてくれるわ」
シンデレラ「いってらっしゃい。気を付けて行けよ」
ミンシア「・・・ シンデレラ。念のため、もう一回聞くけど、本当にお留守番でいいの?」
シンデレラ「何度も良いって言ってるだろ」
ミンシア「そう・・・。わかったわ。行くわよ、シーラ、カーラ」
  三人がドアを開けて家を出て行く。
シンデレラ「さてと、掃除でもすっかな」
  桶でぞうきんを洗う、シンデレラ。
シンデレラ「ふう、思ったより早く家事が終わっちまったな」
シンデレラ「ん?誰だ?はーい!」
ミンシア「こんばんは。私は魔女よ」
シンデレラ「あれ?母さん、どうしたんだ、そんな格好して。舞踏会に行ったんじゃなかったのか?」
ミンシア「私は、魔、女、よ!」
シンデレラ「ああ、ごめん。今回はそんな設定なんだ?で?魔女が俺になんの用だ?」
ミンシア「あなたを舞踏会に参加させてあげるわ」
シンデレラ「また、その話か。別にいいって」
ミンシア「どうして、そんなに嫌がるんだい?」
シンデレラ「今の俺に必要なのは、旦那じゃなく、強者だ」
ミンシア「なら、尚更、舞踏会に行かないと」
シンデレラ「どういうことだ?」
ミンシア「もし、王子をたらし込めれば、あんたは王女になれるんだよ」
シンデレラ「それがどうしたってんだよ?」
ミンシア「王女になれば、国中、いや世界中から強者を呼ぶ御触れを出し放題だよ」
シンデレラ「なっ!そんな手があったのか!」
ミンシア「どうだい?行く気になったかい?」
シンデレラ「もちろんだ!」
シンデレラ「あ・・・けど、やっぱダメだ。俺、ドレスなんかもってねえし」
ミンシア「そういうと思ってね。これを着ておゆき」
シンデレラ「これって・・・母さんが結婚式に着た、大切なドレスじゃねーか・・・」
ミンシア「ふふふ。あんたに着てもらえるなら、本望さ」
ミンシア「さてと、ここにお座り。ちゃんとメイクもしなくちゃね」
ミンシア「うん、完璧!」
シンデレラ「母さん・・・ ・・・ じゃなかった、魔女、ありがとうな。行ってくる!」
ミンシア「待ちなさい。あんたが行けば、勝ち確だろうけど、策を授けるわ」
シンデレラ「策・・・?」

〇王妃謁見の間
  お城の舞踏会。
  音楽が流れ、人々が踊っている。
シンデレラ「たのもう!」
  音楽がピタリと止まり、部屋が騒めき始め
  る。
貴族1「うわ、すごい美人だぞ」
貴族2「どこの家の者だ?」
シーラ「・・・ あ、シンデレラ」
カーラ「すごーい!別人みたい」
シーラ「本当に来た・・・。お母さん、どんな魔法使ったんだろ」
  シンデレラがカツカツと歩いて、王子が座る玉座の前に立つ。
シンデレラ「よう王子。俺・・・ じゃなかった、私と一曲踊れや」
爺「な、なんと無礼な!王子の前で!」
王子「よい、爺。ふふっ、僕にそんな口をきいたのは君が初めてだ。随分と、面白い子だね」
シンデレラ「ちっ!さっさと立てよ!こっちは時間ねーんだからよぉ!」
王子「なっ!」
爺「かー!なんたる無礼、無礼、無礼!死刑じゃー!」
王子「下がれ、爺!ああ・・・ 今、僕は全身が痺れたようなショックを受けた」
王子「頼む、僕を罵倒するような言葉を言ってみてくれないか?」
シーラ「うわぁ・・・。王子ってドMだったんだ」
カーラ「意外と、シンデレラと相性いいかもね」
シンデレラ「んな、こたどうでもいいんだよ。ほら、さっさと立て!」
  シンデレラが腕を引っ張り、王子を立たせ
  て抱きしめる。
王子「女性にこんなに強く抱きしめられたのは初めてだ。肋骨がミシミシいっている」
シンデレラ「おら、踊るぞ。おい!曲!」
  音楽が流れ始める。
  シンデレラと王子が踊り始める。
  周りが騒めき始める。
シーラ「あれって、踊ってるというより、王子を振り回してるだけよね」
カーラ「でも、振り回されている本人は喜んでるみたいよ」
カーラ「見て、王子、うっとりとした顔をしてるわ」
王子「・・・ ああ、いい!いいよ、君!言葉で攻められるのもいいけど、こうして体に受ける苦痛もまた、僕の心を高めてくれる!」
  シンデレラが振り回すのを止めて、王子を
  抱きしめる。
シンデレラ「いいか。俺・・・私を嫁に選べ。じゃないと、お前をぶっ殺す」
王子「ああー、いい!君以外には考えられない!でも、君に殺されるのもいい!」
シンデレラ「ふふっ!今は束の間の時間を楽しもうぜ」
  再び、シンデレラと王子が踊り始めるのだ
  った。
  中編 終わり。

次のエピソード:私の名前はシンデレラ 後編

コメント

  • シーラ、なにげに聡明そうで好きです。
    もちろん、王子の性癖にもビックリでした。

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