二階堂紅緒の命令は絶対(脚本)
〇おしゃれな教室
わたしの命令は絶対である
二階堂 紅緒「科学の宿題を明日までにやっておきなさい」
女子生徒「はい!二階堂様!」
二階堂 紅緒「私の代わりに体育の授業を受けなさい」
男子生徒「はい・・・!喜んで!」
決められたことの繰り返し
つまらない毎日
二階堂 紅緒(なにか面白いことはないかしら・・・)
二階堂 紅緒「そうだわ!」
二階堂 紅緒「磯田!」
磯田「はい!」
二階堂 紅緒「中嶋!」
中嶋「はい!」
二階堂 紅緒「二人ともわたしの前でキスしなさい!」
「えーっ!」
〇黒
〇おしゃれな教室
そんな私の日常に予想外の男が現れた
三好 藍「海星高校から転校してた三好 藍(みよし あい)です。宜しく」
二階堂 紅緒(一年の秋に転校生?珍しいわね)
二階堂 紅緒(軽薄そうだけど、イケメンじゃない!)
二階堂 紅緒「先生、彼をわたしの隣の席に!」
三好 藍「えっ?」
私の隣に机が用意された
二階堂 紅緒「二階堂紅緒よ。よろしくね」
三好 藍「・・・どうも」
二階堂 紅緒「三好さん、大切なことを教えてあげる。 ここでは私の命令は絶対よ」
三好 藍「はっ?」
二階堂 紅緒「わたしは二階堂財閥の娘。 このクラスいえ、この学園で一番偉いの。 おわかり?」
二階堂 紅緒「だからわたしの命令には従ってもらうわ」
三好 藍「・・・」
三好 藍「バカじゃねぇの?」
二階堂 紅緒「えっ・・・?」
三好 藍「俺に命令すんな」
二階堂 紅緒「なんですって?」
三好 藍「なんで俺がお前に従わないといけないわけ?」
三好 藍「そりゃお前の両親は有名かもしれねぇけど関係ないだろ?」
二階堂 紅緒「わたしに歯向かうの?」
二階堂 紅緒「絶対にこの男を従わせてやる!」
〇高い屋上
1ヶ月後──
二階堂 紅緒「三好、なんで任せた宿題を提出してないのよ!」
三好 藍「宿題くらい自分でやれよ・・・!」
二階堂 紅緒「勉強なんて、しても無意味だわ・・・」
三好 藍「はっ?」
二階堂 紅緒「私の人生なんてもう決まってるんですもの」
二階堂 紅緒「これ以上良くも悪くもならない」
三好 藍「・・・」
三好 藍「そうか人生どうでもいいんだ・・・」
三好 藍「なら、俺と悪いことしてみない?」
二階堂 紅緒「えっ!」
二階堂 紅緒「ちょっと!悪いことってなによ!」
三好 藍「ついてきてからのお楽しみ」
三好 藍「行こうぜ、二階堂」
二階堂 紅緒「ええっ!待ちなさいよ!」
〇バッティングセンター
三好 藍「イェーイ!ホームラン!」
二階堂 紅緒「・・・なんでバッティングセンターなのよ?」
三好 藍「学校の近くにバッティングセンターあるって聞いて俺ずっと来たかったんだよね」
三好 藍「深夜まで好き放題やるのって、悪いことじゃん?」
二階堂 紅緒(バッティングセンターが悪いこと? 意味がわからないわ!)
二階堂 紅緒(ドキドキして損した!)
三好 藍「いてっ!」
二階堂 紅緒「どうしたの?」
三好 藍「バット持つの久しぶりで腕つった・・・」
二階堂 紅緒「もう!準備体操をしないからよ!」
二階堂 紅緒「まずは深呼吸よ!」
三好 藍「えっ?」
二階堂 紅緒「あとは肩甲骨を回すようにストレッチして」
二階堂 紅緒「それと水分とミネラルが足りてないんだわ。自販機でスポーツドリンク売っていたわよ」
三好 藍「二階堂、なんでそんなこと詳しいんだ?」
二階堂 紅緒「医者になるために、医療の学校に行きたいって思って勉強してたから・・・」
二階堂 紅緒「軽い怪我の応急処置なら出来るわ」
二階堂 紅緒「でも、もうやめたわ・・・」
三好 藍「なんで?」
二階堂 紅緒「どうせ無駄なんだもの・・・」
三好 藍「え?」
〇商店街
三好 藍「なんで医者になる夢を諦めたの?」
二階堂 紅緒「前に、パパとママに医者になりたいって話をしたの・・・」
二階堂 紅緒「そうしたら、あなたは頑張らなくていいって。 そこそこの大学に行って結婚相手を見つければ構わないって・・・」
二階堂 紅緒「女だから・・・」
二階堂 紅緒「二階堂家の娘だからって」
三好 藍「そんなのおかしいじゃん」
三好 藍「二階堂は二階堂の夢があるんだろ?」
三好 藍「・・・それに夢を諦めるのは辛いだろ」
二階堂 紅緒「もしかして三好も・・・」
二階堂 紅緒「な、なに・・・?」
三好 藍「大通りの方だ・・・!」
〇郊外の道路
大通りに出ると、ボンネットがへこんだ車と倒れる男性の姿が目に飛び込んできた
事故の音を聞き付けたのか人が集まってくる
女性「わ、わたしが運転していたら男性が飛び出してきて・・・」
三好 藍「・・・救急車は呼んだのか?」
女性「わ、わ、わたしはなにもしてないの! この人がかか勝手に・・・!!」
三好 藍(ダメだ・・・パニックになってる)
三好 藍「おい、二階堂! お前なら応急手当ての方法を・・・」
二階堂 紅緒「・・・だめ・・・私には無理」
三好 藍「おい!しっかりしろよ!」
三好 藍「いまこいつを助けられるのはお前だけだ!」
二階堂 紅緒「わ、わたしが?」
三好 藍「怖いんだったら俺がやる! 俺に命令しろ!」
二階堂 紅緒「う・・・うん!」
三好 藍「心臓マッサージすればいいのか?」
二階堂 紅緒「心臓マッサージは待って! 意識と呼吸の確認してからじゃないとだめ!」
三好に男性の脈拍の確認と呼吸の確認させた
三好 藍「嘘だろ・・・脈も呼吸もねぇぞ・・・」
三好 藍「大丈夫なのか・・・」
二階堂 紅緒「三好、落ち着いて!」
二階堂 紅緒「絶対にこの人を助けるわ!」
二階堂 紅緒「人工呼吸と心臓マッサージするわよ!」
三好 藍「わかった・・・!」
私たちはそのあと必死に人工呼吸と心臓マッサージを行った
誰かが呼んでくれたの救急車がやってきた
〇広い公園
二階堂 紅緒「朝帰りなんて、きっとパパとママに怒られちゃう・・・」
三好 藍「怒られないだろ。人の命を救ったんだから」
三好 藍「救急隊員の人も俺たちのこと褒めてくれたじゃん」
三好 藍「表彰されてもおかしくないって!」
三好 藍「けど、まさか俺のファーストキスがおっさんになるとはなぁ・・・」
二階堂 紅緒「なにか言った?」
三好 藍「いいや、なにも」
二階堂 紅緒「三好、ありがとう。私を信じてくれて」
二階堂 紅緒「わたし医者を目指そうと思う」
二階堂 紅緒「あなたのおかげで勇気が持てた」
三好 藍「別におれはなんもしてねぇよ」
二階堂 紅緒「顔が赤くない?風邪でもひいた?」
三好 藍「ちげぇよ、バカ」
三好 藍「俺も野球をもう一度始めようと思う・・・」
三好 藍「親父が怒るかもしれないけど・・・」
三好 藍「それが俺のやりたいことだし」
二階堂 紅緒「やるなら一番を目指しなさい!」
三好 藍「それも二階堂紅緒の命令か?」
二階堂 紅緒「決まってるじゃない!」
紅緒が最後に心を入れ替えた瞬間に王冠が取れた演出がよかったです。人命を助ける時とか夢を諦めないようにとか、紅緒は三好に素敵な命令をしましたね。それに比べて、シルエットだけの出演でキスさせられた磯田と中嶋は不憫だったなあ。
タイトルがなかなか強烈なので読んでみましたが、とても心温まるストーリーでした。映画とかにしたくなる設定ですよね。
真のお嬢様が変わっていく様はなんだかニヤついてしまいました。
自分の夢はもういつ諦めたのか覚えていません。
でも諦めるのも目指すのも、最後に決めるのは自分ですよね。