第十九話 ハリボテ(脚本)
〇一戸建て
「いっただきまーす!」
〇おしゃれなリビングダイニング
栄田 智「むしゃむしゃむしゃ!」
栄田 美雪「はむはむはむ!」
栄田 駿「が、がっつくね」
栄田 智「何言ってるの、お父さん! 今日はハンバーグなんだよ!?」
栄田 美雪「ハンバーグを笑うものは ハンバーグに泣く」
栄田 美雪「ぼーっとしてるとお父さんのハンバーグも 食べちゃうからね!」
栄田 美雪「お母さん、お代わり!」
栄田 智「ズルいぞ、美雪! 僕も!」
栄田 栞里「二人とも、お腹壊さないようにね」
栄田 駿「あれ? 僕かな」
栄田 駿「はい、栄田です・・・はい、はい」
栄田 駿「ごめん、仕事の電話っぽい すぐ済むから食べてて」
栄田 栞里「うん、わかった」
栄田 駿「ごめんね」
栄田 駿「はい、はい。その件につきましては・・・」
栄田 栞里「はい、お代わりもってきたわよ」
栄田 智「よっしゃ!」
栄田 美雪「はむはむはむ・・・」
栄田 智「むしゃむしゃっ!」
栄田 駿「電話終わった・・・って美雪! ハンバーグ食べたな?」
栄田 美雪「食べてないもーん」
栄田 駿「じゃあ、智か?」
栄田 智「お母さんだよ、きっと」
栄田 栞里「ちょっと、二人とも! 聞いてるわよ!」
〇一戸建て
〇家の廊下
栄田 栞里「智ー、美雪ー、明日も学校なんだから 早く寝るのよー」
栄田 智「ふあぁい・・・」
栄田 智「言われなくてももう眠いよ」
栄田 美雪「みゆきも・・・もうにゃむい」
栄田 美雪「ハンバーグ・・・」
栄田 栞里「駿ー、先に寝てていいよ。 私、少しだけ明日の準備してるからー」
栄田 駿「ああ、わかった。 本でも読んでるよ」
〇豪華なベッドルーム
栄田 駿「・・・」
栄田 駿(ま・・・ずい。これは!)
栄田 駿「睡眠導入剤か・・・鎮静剤の類」
栄田 駿(まさか、『また』なのか?)
〇地下の部屋
栄田 駿(また・・・あの時と同じ!)
〇豪華なベッドルーム
栄田 駿(栞里・・・これは)
栄田 駿(君が僕を雄輔だと思っての行動なのか)
栄田 駿(それとも別の理由が・・・)
栄田 駿「駄目だ、頭が回らない」
栄田 駿「はあ、はあ、はあ」
栄田 駿「頼む、栞里。 子どもたちだけは・・・」
栄田 駿「智・・・み・・・ゆき・・・っ! 逃げ・・・ろ・・・」
〇家の廊下
栄田 栞里「おはよーごさいまーす 寝起きドッキリの時間でーす」
栄田 栞里「見つからないように そおっとそおっと・・・」
栄田 栞里「って、起きるわけないんだけどね」
栄田 栞里「智ー、美雪ー、駿ー! 明日起きたら死んでるわよー!」
栄田 栞里「・・・」
栄田 栞里「あっはっはっはっは!」
〇家の廊下
栄田 栞里「お父さん、お母さん。 じゃあ、行ってくるねー!」
赤坂 浩基「いってらっしゃい、栞里」
赤坂 千草「ぬかりなく、しっかりね!」
栄田 栞里「任せてよ!」
〇黒
栄田 栞里(駄目・・・駄目・・・!)
栄田 栞里(やめてやめてやめて!)
〇家の廊下
「智! 起きて、起きなさい!」
???「いつもお寝坊の智くんでーす」
???「お寝坊さんの智くんには 強い目覚ましが必要だよね」
「何言ってるのよ! 止めて!」
「智! 起きて! 逃げて!」
〇白
栄田 栞里「えっ!?」
〇おしゃれなリビングダイニング
栄田 智「お母さん! 見て見て!」
栄田 栞里「なに? 智」
栄田 智「ジャーン」
栄田 栞里「どうしたの、それ・・・え? 大賞!?」
栄田 智「この間提出した自由研究が、 小学生コンテストで大賞とったんだよ!」
栄田 栞里「あの昆虫の迷路のやつ? すごいじゃない!」
栄田 智「へへへ」
栄田 智「お母さん。 僕、大きくなったら昆虫博士になるんだ!」
栄田 智「誰も知らない昆虫を、 アマゾンで見つけるんだよ!」
栄田 栞里「智ならできるよ! お母さん、応援してるね!」
栄田 智「うん!」
〇黒
???「はい、智くんの思い出でした。 楽しかった?」
???「あなたが苦しむようにちゃんと いい思い出を用意してあげたのよ」
栄田 栞里「誰なの、あなた・・・?」
???「誰、ですって? 決まってるじゃない」
栄田 栞里「私はあなた。憎しみを忘れないまま、 10年待たされた本物の私よ」
栄田 栞里「本物の私・・・?」
栄田 栞里「そうよ。私はあなたの中で ずっと眠らされていた」
栄田 栞里「でも、意識はずっとあなたと共にあった」
〇田舎の病院の病室
栄田 栞里「あなたときたら私が憎しみを持つ相手と 楽しそうに家庭を築いていくじゃない」
栄田 栞里「怒りを通り越して笑うしかなかったわ」
〇黒
栄田 栞里「私は決めてたんだ。 『外』に出たら──」
栄田 栞里「大黒運送の血を引く家族全員と 何よりそんな奴と家族を作った私自身に──」
栄田 栞里「復讐してやるんだ、ってね」
栄田 栞里「そ、そんな・・・」
栄田 栞里「はい、時間切れ。 一人目、行くわね」
栄田 栞里「ちょっ、待っ・・・」
〇家の廊下
栄田 栞里「昆虫博士になりたかった 智くんでしたー」
栄田 栞里「せーのっ」
「やめて! お願い!」
栄田 栞里「トドメっと」
「さとしーーーー!」
「いやああああああああ!」
栄田 栞里「ははははっ。まだ始まったばかりよ、私 楽しんでいきましょうよ」
栄田 栞里「ふふ、ふふふふ・・・」
〇家の廊下
栄田 栞里「あっはっはっはっは!」
〇川に架かる橋の下
〇車内
堀田 晴臣「ロンくん、もっとスピード出ないのか」
初刷 論(はつずり さとし)「目一杯やってますよ!」
初刷 論(はつずり さとし)「捕まって、そもそも目的地に着かなきゃ 元も子もないでしょう!」
浜 伊織「ロンがまともな意見を・・・! 流石、免停直前の男は違うわね」
初刷 論(はつずり さとし)「褒めてんのか貶してんのか どっちなんだ?」
浜 伊織「もちろん後者に決まってるでしょ」
浜 伊織「ところで所長、隣の方は?」
堀田 晴臣「ああ、栄田栞里の主治医だよ 精神科のね」
奥平 庸子「奥平です。初めまして」
堀田 晴臣「先生には鎮静剤とか 一式持ってきてもらった」
堀田 晴臣「錯乱している人間の力は、女性だとしても 時にそれは男性を凌ぐことがあるからね」
奥平 庸子「いざという時は薬で鎮静します」
堀田 晴臣「助かります、先生」
奥平 庸子「いえ、元はといえば 私の責任でもありますから」
〇車内
堀田 晴臣(頼む、間に合ってくれよ!)
〇一戸建て
〇家の廊下
佐伯 栞里「次は甘えん坊の美雪ちゃんでーす」
「お願い・・・やめて・・・止めて下さい」
栄田 栞里「あっけないわね・・・ あ、思い出出すの忘れてた」
〇白
栄田 栞里「張り切ってどうぞー」
〇桜並木(提灯あり)
栄田 美雪「わあー、きれい! 私、桜大好き!」
栄田 栞里「満開だねー」
栄田 美雪「いいな、来年も見たいなあ!」
栄田 栞里「来年も見れるわよ。 だって桜はちゃんと来年も咲くんだから」
栄田 美雪「来年も、再来年も、ずっと見たいね!」
栄田 美雪「来年また来ようね、お母さん!」
栄田 美雪「約束だよ!」
〇家の廊下
「みゆきーー! うわああああん!」
「何よ、あなた何がしたいのよ!」
栄田 栞里「あなた、私なのにそんなことも わからないの?」
栄田 栞里「私は10年間の過ちを正してるだけ」
栄田 栞里「記憶のない私が知らずに作ってしまった 大黒運送の血を引く過ちをね」
栄田 栞里「じゃあ、大本命、行くよ」
〇豪華なベッドルーム
栄田 栞里「駿は・・・いえ、雄輔は電気をつけたまま 眠ってます」
栄田 栞里「こいつの思い出は・・・いっか。 だってもう、我慢・・・できないから!」
栄田 栞里「あはははっ、あははっ! たの、楽しいなあ!」
〇豪華なベッドルーム
???「そこまでです、栄田さん!」
栄田 栞里「誰?」
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「あ、思い出、出し忘れちゃった(笑)」のセンスがたまりません。
台詞回しなんかももちろんリアリティあって素敵なのですが、立ち絵もキャラに合っているのがこれまたセンスいいなと思っています(栞里さんの顔がサイコパスにビッタリで(笑))。
ホッター所長!!
お願い、何とかして!!(TДT
いやいやいやちょっと待ってお願い嘘でしょー😭😭😭
となっていたところでホッター!?なんかやってくれるの!?次行ってきます!