さまよえる青白い鈍刀(5)(脚本)
〇黒
〇荒廃した街
『臣民の皆様こんばんは。帝都放送局からの速報をお伝え致します』
『本日十一月一日午後八時三十五分。帝都第六河川地区鮫皮街において、暴力的活動家による大規模な反乱が勃発しました』
『兇徒化した活動家の一群は火炎瓶を手に地区内の憲兵隊分駐所を占拠』
『天粕戒厳司令は暴動鎮圧の為新たに設立した特務部隊、戒厳機動兵の出動を許可』
『活動家の大半は速やかに逮捕され、暴動は過去例を見ないほどの迅速さで鎮圧されました』
天粕「貧民窟鮫皮街、で勃発した大規模な暴動は十時すぎに戒厳司令部直属の特務部隊戒厳機動兵、によって鎮圧致しました」
天粕「臣民の皆様におかれましてはどうかご安心下さるようお伝え致します」
天粕「一部、戒厳兵の職務が行き過ぎであるとの批判もありますが全ては帝都復興が滞りなく行われる為の治安維持活動」
天粕「帝都臣民の皆様が安心安全に暮らせる為の臨時的強権、とご理解頂きたく存じます」
〇田舎の一人部屋
『重ねて皆様の治安維持活動、への協力を戒厳司令部よりお願い申し上げます』
『不審な人物談合等、を見かけられた際はお近くの警察交番憲兵隊分駐所等に御通報頂きたくお願い申し上げます』
最上「天粕・・・そこまでやるか」
最上「・・・」
〇祭祀場
戒厳機動兵「予定通り、主だった活動家は捕らえること無く泳がせております」
戒厳機動兵「逮捕した者は皆、浮かれ騒ぐ末端ばかり」
天粕「それでいい」
天粕「引き続き帝都内の貧民窟を締め上げ暴動を誘発しろ」
天粕「そして筋金入り、は逃がせ。奴らはいずれ一点に集まり大きな反乱を起こす」
天粕「『この国を不安に陥れる自由』を手にした『この国の敵』として」
戒厳機動兵「蓬莱街」
天粕「そして自由の女神」
天粕「美しきけものを根絶やしにする時、臣民は一つとなり『国』は『国家』になるだろう」
天粕「自由な貧民という敵の、屍の上に」
〇廃倉庫
ヒナ「ああもう・・・いってえな畜生」
ヒナ「よっ!」
ヒナ「よっしゃ!回れた!」
ヒナ「次は二回転だ!」
「その辺にしておけ」
ヒナ「ふん。何しに来やがった」
ヒナ「ヒモのクルちゃん。だっけ?」
「否」
義孝「川辺のバロン。である」
つづく