学年一のギャル子が急に推理小説を読み出した理由を推理してみた

gaia

陰キャ女子✖️ギャル女子(脚本)

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〇路面電車の車内
  驚いた。
  初めてだ、彼女がこの電車に乗るのを見るのも。
  そして、推理小説を読むのを見るのも。
きりか(あ、目があった)
きりか(見てるのバレた? こういう時どういう顔したらいいか......)
きりか(まぁ、相手はクラスで人気者で気さくな赤坂あかねさんだ)
きりか(見てたとしても気にしないだろう)
きりか(あれ、なんか困ってる?)
きりか(目が泳ぎまくってるし、なんか顔も赤い気がする)
きりか(本で顔を隠してしまった......)
きりか(なんであかねさん、今日だけこの電車に乗ったんだろう)
きりか(それに、本なんて読まないって言ってたのになんで今日は、推理小説読んでるんだろう)
きりか(それに最近私と目があった時あからさまに目を逸らされる気がする)
きりか(私なんかしたかな、ここ1週間を思い出してあかねさんに謝ろう......)

〇教室の教壇
  青川さんって、暗いし何考えてるかわからないよね。
  青川さんって誰?
  ほら、いつもクラスの一番後ろの席で一人で本読んでる......
  青川きりかだよ。
女友達「ねー、あかねもそー思うでしょ?」
あかね「んえ?あたし?」
女友達「そーそー、青川さん暗くない?ってゆー」
女友達「一人で大丈夫ですって感じ出してるタイプ」
女友達「ウケる、それそれ!」
あかね「なんで?」
あかね「青川さんめっちゃ可愛くない? それに本読んでて頭良さそー、あたし本とか絶対読まないからさ」
あかね「すごいそんけーするわ」
女友達「あー、あかねはいい子だよね」

〇教室の教壇
きりか(......)

〇路面電車の車内
きりか(あの時私が聞いていたのがバレた......?)
きりか(いや、でもその時話しかけられなかったし......特に交流もなかった)
きりか(交流があったといえば、その後から)
きりか(あれは、家庭科の授業の後だった......)

〇まっすぐの廊下
あかね「ぶー」
女友達「あははは! あかね下手すぎでしょ料理!」
女友達「クッキーだか炭だかわからないよね」
あかね「これからもっと上手くなるんだもん!」
女友達「あ、うちら掃除当番だよ!」
女友達「忘れてた! あかね、先行くよ!」
あかね「うん!いってら!」

〇教室
あかね「この黒焦げどーしよ」
あかね「さっき食べたけど不味すぎて、まぁ捨てるしかないか......」
きりか「あ、赤坂さん」
あかね「わ、青川さん!?」
きりか「私の席の後ろのゴミ箱の前でウロウロしてたから気になったの」
きりか「なんでクッキー隠すの?」
あかね「やー、あはは、いやー、あんまり上手くできなくてさ」
あかね「うちらのチーム皆でクッキー交換したのにさ、あたしのだけ余っちゃった......」
あかね「そりゃそうだよね......こんな黒焦げの炭みたいなクッキー......」
あかね「捨てようかと思ってたとこ、あはは」
あかね「あは......」
あかね「え?」
きりか「いらないならちょうだい」
あかね「ちょちょ、なんでクッキー取り上げるの?」
あかね「あ、あ!食べちゃダメ〜!!!」
きりか「むしゃむしゃむしゃぼりぼりぼりしゃむしゃむばきばきぼりぼりぼりぼりむしゃ」
あかね「あわ、あわわわ」
あかね「青川さんが私の黒焦げクッキーを......!」
きりか「......」
あかね「うえーん!だから言ったのに!」
きりか「美味しかった」
きりか「お腹空いてたから助かったよ」
きりか「ありがとね、赤坂さん」

〇まっすぐの廊下
きりか「......」
きりか「......」

〇路面電車の車内
きりか(あれだ......あれだ完全に)
きりか(私の印象が悪くなったというか、キモかったかな、私キモかったよね、私あれはキモかった)
きりか「あ、待てよあっちか.......?」

〇階段の踊り場
  「赤坂あかねって、隣のクラスのギャル?」
  「中学女子校でレズ疑惑出て避けられてた子だよね」
  「高校も女子校で見た目まんまビッチギャルじゃん」
  「男ウケ狙ってれば過去の噂が消えると思ってるのかな」

〇階段の踊り場
きりか「階段で座らないでくれます?」
  「は?」
きりか「邪魔なんですけど」
きりか「あと、赤坂さんはそんな人じゃないので」

〇階段の踊り場
あかね「あ、青川さん、こ、怖い顔してどしたの?」
きりか「別に、なんでもない」

〇路面電車の車内
きりか(あれだ!!確実に)
きりか(態度悪すぎた!!あれで余計に変なやつと思われたんだ!)
きりか(でも、なんで【あかねさん】が本を読んでるんだろ)

〇図書館
きりか「これにしよう」
あかね「あ、青川さんじゃん」
きりか「......!」
きりか「図書館で出会うの珍しいね」
あかね「あ、あはは、そうだね」
あかね「あ、あのさ、青川さんってよく本読んでるじゃん」
きりか「う、うん」
あかね「あた......妹が読書に凝っててさ、おすすめの本教えてほしいな〜」
あかね「なんて......忙しい?」
きりか「いいよ」
あかね「ほんと!?助かる〜!あ、あとさ下の名前で呼んでいい?」
きりか「い......いいよ」
あかね「やったー!あ、あたしもあかねでいーよ!」
きりか「あ、あかねさん」
きりか「の妹さんって本とか結構読むタイプ?どういうジャンルが好きなの?」
あかね「あー、えっとね......本とか全然読まなくて、恋愛とか、多分好きかな〜読みやすいやつで」
あかね「き、きりかちゃんが好きなやつがいいかな」
きりか「恋愛もので......あんまり本を読まないなら、これとか?」
あかね「わー!嬉しー!絶対読むよ〜!」
あかね「じゃなくて、妹が!」
きりか「うん、妹さんによろしく」
あかね「ち、ちなみにきりかちゃんはさ好きな小説とかそういうの?」
きりか「まぁ、最近は推理小説にハマってるって感じかな」

〇駅のホーム
  結局、何で怒ってるのか色々ありすぎたな

〇駅のホーム
「待って!!」
あかね「あ、あの、きりかちゃん!」
きりか「あ、あかねさん......」
あかね「きりかちゃんさ」
あかね「恋人とかいる?」
きりか「......」
きりか「......あ、え、い、いないけど......」
あかね「そ、そっか......あの、さ、じゃあさ」
あかね「好きな人のタイプは......?」
きりか「......」
きりか「あかねさんみたいな人」
きりか「かな」
あかね「......」
あかね「あっ......」
あかね「あ、じゃあまた明日......」
きりか「うん、ま、また明日」

〇駅前ロータリー

〇街中の道路

〇綺麗な一戸建て

〇綺麗な一人部屋
きりか「絶対キモかったよね......」

コメント

  • 側から見れば両思いなのに本人たちはモタモタオタオタしてる感じが可愛らしいなあ。きりかが「あかねに嫌われた理由」として回想するエピソードが、全てそのまま「あかねがきりかを好きになった理由」のエピソードであるところが凝った構成で面白かったです。

  • 確実に異性なら落ちてる…ってどっちにしろ落ちてた!笑
    でもカッコいいですねえ。しかも意図していない感じがまたたまらなく。でもキモいと勘違いしてる天然っぷりは可愛い笑

  • 好きなタイプを聞いた答えが「あかね」と言われて「お 、おう…また明日…」って感じの流れが、なんだかムズムズして好きです🥴

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