宇宙人との邂逅(脚本)
〇空
ん・・・?
何だろう、あれ・・・
え!?
うわあ!
〇駅前広場
こ、これ・・・
???「いたたたた・・・」
???「あっちゃー」
???「うーん」
???「大佐にも連絡がつかない・・・」
あの、大丈夫?
???「え!?」
???「あなた、もしかして地球人!?」
あなたは・・・
???「ちょ、ちょっとこっち来て!」
〇ビルの裏通り
???「ここまで来れば大丈夫かな」
???「ねえ、あなた地球人でしょ?」
ソラ「私はソラ」
ソラ「これが本物の地球人かあ・・・!」
あ、あの
ソラ「わあ! ご、ごめんね」
ソラ「生で地球人を見るのは初めてで、ちょっと興奮しちゃった」
あなたは、一体・・・
ソラ「私はね、他の星から来た宇宙人なの」
宇宙人・・・
ソラ「そう」
ソラ「地球には、観光のために来たの」
ソラ「本当は、山の方に宇宙船を止めて、地球人に紛れて観光するつもりだったんだけど」
ソラ「操作を間違えて墜落しちゃって・・・」
そ、そうなんだ
ソラ「ねえ、あなた名前は?」
えっと、私はサヤ
ソラ「ねえサヤ、お願いがあるの」
な、なに・・・?
ソラ「私に、地球を案内してくれない?」
ソラ「本当は、大佐・・・」
ソラ「あ、えっと、上司と一緒にいる予定だったの」
ソラ「でも、アンテナが壊れたみたいで連絡がつかなくて・・・」
ソラ「ひとりでいるのはちょっと不安」
ソラ「だから、サヤがガイドになってくれない?」
・・・・・・
わかった、いいよ
ソラ「本当!?」
ソラ「嬉しい」
ソラ「あ、私が宇宙人だってことは誰にも言わないでね」
ソラ「宇宙船も隠しておくから」
わかった
私が地球を案内してあげる
〇渋谷のスクランブル交差点
ソラ「わあ・・・」
ソラ「ここが、街の中心地?」
まあ、そうかな
ソラ「高いビルがいっぱい・・・」
ソラ「でも、人はあまりいないね」
・・・そうだね
時間帯のせいかも
ソラ「そっか」
ソラ「あ、そういえば、そろそろお昼の時間じゃない?」
ソラ「地球の食べ物、見てみたいな」
じゃあ、何か食べれるところ、行こうか
ソラ「いいの!? やったあ」
〇荒廃した街
ねえ
ソラ「なに?」
ソラちゃんは、頭に付いてるアンテナで連絡ができるの?
ソラ「そうだよー」
ソラ「・・・今は壊れちゃってて使えないけど」
ソラ「でも、自然に回復するから、しばらくすれば使えるようになると思う」
そっか
さあ、目的地まではもうすぐだよ
〇寂れた雑居ビル
着いたよ
ソラ「ここで、地球の食事が食べれるの?」
うん
買ってくるから、ここで待ってて
ソラ「わかった!」
買ってきたよー
ソラ「待ってました!」
ソラ「こ、これは・・・」
ソラ「サヤは、いつもこれを食べてるの?」
まあ、いつもってほどじゃないけど・・・
宇宙人の口には合わないかな?
ソラ「ど、どうだろう・・・」
ソラ「食べてみるね」
ソラ「う~ん」
ソラ「あれ、意外といけるかも」
でしょでしょ?
ソラ「地球人はこういうものも食べるんだね・・・」
ソラ「勉強になるよ」
次は、どうする?
ソラ「うーん・・・」
ソラ「普段サヤがよく行くところに行きたいかな」
なるほど・・・
わかった、考えてみるね
〇コンビニの店内
ソラ「これが地球の”コンビニ”ってやつ?」
そうだね
ソラ「色んなものがあるね・・・」
好きなの持って行っていいよ
お金は私が払っておくから
ソラ「本当!?」
ソラ「わあ、サヤは優しいんだね・・・」
〇ハチ公前
ソラ「この犬って、有名なのかな?」
さあ・・・
でも、像になってるってことは有名なんじゃない?
ソラ「なるほど・・・」
どうかした?
ソラ「私も手柄を立てれば像を立ててもらえるのかな・・・?」
さ、さあ・・・
〇クリスマスツリーのある広場
ソラ「これ、何?」
えっと・・・
なんていうんだろう、説明が難しいな
ソラ「・・・もしかしてミサイルだったりしないよね?」
あはは、確かに形は似てるかも
でも、違うと思うよ
ソラ「そっか」
綺麗だよね
ソラ「うん!」
〇川沿いの公園
ソラ「今日はありがとう」
ソラ「・・・楽しかった」
・・・もう帰っちゃうの?
ソラ「うん」
ソラ「でも、その前にやることをやっておかなくちゃ」
やること?
ソラ「・・・・・・」
ソラちゃん・・・?
なにそれ、おもちゃ?
ソラ「動かないで」
・・・どういうこと?
ソラ「・・・ごめん、騙してて」
ソラ「私、本当は観光に来たわけじゃないの」
ソラ「私たちの本当の目的は、地球を侵略して移住先にすること」
ソラ「私は事前調査をするために送り込まれた、軍のエージェントってわけ」
そんな・・・
ソラ「宇宙船が墜落したのは失敗だった」
ソラ「だけど、そのおかげで地球人と接触して、調査をより楽に進められた」
私と一緒にいたとき笑ってたのも、嘘だったの・・・?
ソラ「・・・サヤには感謝してるよ」
ソラ「けど、私のことを知る地球人を生かしておくわけにはいかないんだ」
ソラ「・・・ごめん」
・・・・・・
ソラ「・・・外しちゃった」
ソラ「やっぱり、撃てないや」
ソラ「サヤとの時間は、本当に楽しかったもの」
ソラちゃん・・・
ソラ「・・・侵略を中止するよう、大佐に頼んでみるよ」
ソラ「地球人は、私の思っていたのとは随分違うみたい」
そうなの?
ソラ「うん」
ソラ「私が貰ったデータには、地球人は野蛮で、ずる賢いって書いてあった」
あはは、なにそれ
ソラ「それに、虫を食べたりしないし・・・」
ソラ「耳も、そんなに大きくないって」
あはは
ソラ「あ」
おい、聞こえるか?
ソラ「大佐!」
良かった、無事なんだな
どこにいる? 今すぐ迎えに行く
いいか、その場を動くなよ
ソラ「大佐、侵略の件でお話が・・・」
侵略は中止だ。一歩遅かった
ソラ「・・・中止?」
ソラ「どういうことですか。一体何が・・・」
そこに地球人はもういない
ソラ「え?」
ソラ「そんなわけないじゃないですか」
ソラ「現に今、私と一緒に・・・」
〇川沿いの公園
サヤ「・・・・・・」
・・・・・・!!
おい、今すぐ逃げろ! そいつは地球人じゃない!
ソラ「・・・どういうことですか?」
地球は、私たちが来る前に
他の宇宙生物によってすでに侵略されていたんだ
すべての地球人は、そいつらに食われ・・・
〇黒
・・・そう、やっぱり軍の関係者だったー
近くを飛んでる宇宙船も・・・
・・・あ、もう撃ち落とした?
りょうかーい。 じゃまたー
ほのぼのと進むお話、誰もいない渋谷や昆虫食であれ?と思っていたら……😱😱😱
ソラちゃん、いい子だったのに。最初の宇宙船の墜落やアンテナ故障も彼女の仕業だったのですね。面白かったです!
スクランブル交差点のど真ん中なのに人間がいない……次に映るのは崩れかけた道路……と、違和感と不穏感が増していく感じが絶妙でした!😆
サヤちゃん人間じゃない…?と思ってからの、じゃあ何なんだろう…が見事に意表をつかれ、世界が逆転する感じが楽しかったです!
可愛いソラちゃんの末路はショックですが…😂 笑
ガイドしている地球人の姿がいっこうに出てこない中、淡々と話が進むので、恐怖感が増していく感じがありました。
ラストは可愛いビジュアルなのが余計にインパクトを与えたと思います。