サンタ狩り

尾長イルカ

第二話 妖怪屋敷(脚本)

サンタ狩り

尾長イルカ

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〇黒
  子供たちは逃げ出していた

〇中規模マンション
  次の獲物を探す子どもたち
  その時、声をかけられる
ミユキ「君たち、私の子供にならない?」
海翔(うみと)「ええ? なんで?」
空蘭(そらん)「誘拐かも!? 危ないよ!!」
陸翔(りくと)「なんだオバさん ワケでもあるのか?」
ミユキ「作戦があるの」

〇黒
  見知らぬ女性は
  作戦を耳打ちした

〇中規模マンション
  このマンションで
  女性の彼氏が浮気していた
  他の女を作っていたのだ

〇マンションの共用廊下
若い女「これから、他の女のところ? エロサンタ!」
浮気男「参っちゃうなぁ 君以外に女はいないよ~」
若い女「そんなことばっか言ってぇ」
浮気男「クリスチャンじゃないけど、神に誓う! 僕は君のサンタ 永遠に君のサンタだよ~!」
ミユキ「へえ~、もう我が家には来ないの? サンタクロース!」
浮気男「ミユキ!!」
若い女「え? 知り合い?」
浮気男「し、し、親戚の叔母さんだ」
ミユキ「年下の私が、何であんたの叔母さんなのよ」
ミユキ「そんなことより 今日は認知してもらいますからね!!」
浮気男「認知って?」
ミユキ「ふざけないで あんたと私の間にできた子供のことよ!!」
若い女「子供がいるの? そんなの聞いてない!?」
浮気男「アイ・ドン・ノー」
ミユキ「海翔ちゃん、挨拶しなさい」
海翔(うみと)「こ、こ、こんばんは・・・」
浮気男「なななな、なんじゃこりゃ!!」
空蘭(そらん)「こんばんは、空蘭です」
浮気男「ふぁふぁ、ファンタスティック!!」
陸翔(りくと)「責任とれよ、エロじじい」
空蘭(そらん)「三人揃って、認知してねパパ!!」
若い女「調子いい人だって思ってたけど・・・ まさか三人も子供がいるなんて!!」
浮気男「NONO!! イッツ・クレイジー!!」
若い女「クレイジーはあんたよ、バカ!!」
若い女「こんなのいらない 持って返れ!!」
  ドアを閉め、部屋に戻る若い女性
ミユキ「アハハハハ!! おかしい! 涙が出るほど・・・ 最近、全然笑うこと無かったから」
ミユキ「あんたに泣かされてばかりだったからね!」
浮気男「なんだこのガキ達は、どこで拾ってきた!?」
ミユキ「あんたに関係ないでしょ」
海翔(うみと)「ケンカはいけないよ、仲良くしないと 園長さんに怒られるよ」
浮気男「ふざけるなクソガキ!!」
  海翔を突きとばそうとする浮気男
陸翔(りくと)「海翔に触るな!!」
  すばやく、男を突き飛ばす陸翔
浮気男「何をする!?」
  虫取り網で男を捕まえる陸翔
海翔(うみと)「カブトムシみたい! アハハハハ!!」
ミユキ「坊やたち、バカはほっといて行きましょう」

〇ラーメン屋のカウンター
ミユキ「どんどん食べてね」
ミユキ「さっき、アイツが忘れて行ったの・・・ あんた達にあげる」
陸翔(りくと)「こんなのいらないよ」
海翔(うみと)「空蘭にあげるよ」
空蘭(そらん)「子供の持ち物じゃない」
陸翔(りくと)「オバさんにやるよ」
空蘭(そらん)「オバさんじゃなくて、お姉さん! デリカシーないのね」
陸翔(りくと)「デリ? 何だそれうまいのか?」
空蘭(そらん)「ホント、陸翔ってサイアク!」
ミユキ「フフフ、仲の良い兄妹ね」
陸翔(りくと)「兄弟じゃないよ、みんなバラバラだよ」
ミユキ「え? 陸翔くん海翔くんでしょ?」
陸翔(りくと)「捨て子だからな 本当の名前なんて、わかんないから 園長が適当につけたんだよ」
陸翔(りくと)「俺たちみんな、孤児なんだ」
ミユキ「そう・・・ごめんなさい」
  お腹が膨れて、ウトウトしだす海翔
ミユキ「おいで」
  ミユキの胸元に、顔をうずめて眠る海翔
陸翔(りくと)(いいなぁ、海翔)

〇二階建てアパート
  眠った海翔を背負い
  子供たちを、自宅に招くミユキ
ミユキ「今日は、家に泊まってね お願い」
陸翔(りくと)「しゃーねーなー サンタ狩らなきゃ、いけねーんだけど・・・」
空蘭(そらん)「嬉しいくせに! 素直じゃないのね」
陸翔(りくと)「うるせーよ!」
  アパートの前に浮気男が立っていた
ミユキ「!!」
浮気男「・・・・・・」
  海翔を下ろして、拳を握りしめるミユキ
陸翔(りくと)「バカだなアイツ、殴られるゾ」
  しかし、男に抱きついて泣き崩れるミユキ
浮気男「ごめんよミユキ・・・本当に・・・ アイムソーリ~!!」
ミユキ「バカバカバカ、許さない許さない!! 絶対、許さない!!」
  許さないと言いながら
  いつまでも抱き合っていた
  あっけにとられる、子どもたち
海翔(うみと)「(起きて)う~ん、なに? どうしたの?」
空蘭(そらん)「行こう、海翔」
海翔(うみと)「お泊まりは? 泊めてくれるって言ってたよね? お姉さん・・・」
陸翔(りくと)「それは、なくなった」
海翔(うみと)「なんでなんで??」
陸翔(りくと)「言っただろ・・・大人はインチキってことさ」
  キスしてる大人を残し
  子供たちは、立ち去った
  雪降る街に

〇川沿いの道
  雪がまた強くなってきた
海翔(うみと)「お姉さん・・・ ママになってくれると思ったのになぁ」
陸翔(りくと)「お前、おっぱいが恋しいんだろ?」
陸翔(りくと)「そんなに、母ちゃんのおっぱい恋しいなら 俺が吸わしてやるぞ」
  服をまくって、胸を出す陸翔
陸翔(りくと)「ホラ、おっぱい吸え! おっぱい吸え!」
海翔(うみと)「うるさいうるさいうるさい!!」
空蘭(そらん)「ホント下品!! 陸翔サイテー!!」
陸翔(りくと)「ガキのくせに、お兄ちゃんに説教すんな」
空蘭(そらん)「お兄ちゃんなもんか! あんたが、一番ガキじゃない!!」
陸翔(りくと)「まて、静かにしろ!!」
海翔(うみと)「どうしたの?」
陸翔(りくと)「あの赤いやつ!」
空蘭(そらん)「え? まさか? ホントに??」
陸翔(りくと)「クリスマスに全身赤いヤツ 他にいないだろ!!」
海翔(うみと)「でも袋は? プレゼントもってないよ?」
  それは、脱走犯の後ろ姿だった
陸翔(りくと)「よし! 襲うぞ!!」
  虫取り網を構える陸翔
  後ろから、そっと近づく
  その時
海翔(うみと)「陸翔・・・おしっこ」
陸翔(りくと)「あとにしろ、バカ!」
海翔(うみと)「ガマンできない~!」
陸翔(りくと)「空蘭、頼む」
空蘭(そらん)「ヤダ! この間、おしっこかけられたもん ヤダヤダ、絶対イヤダ!!」
海翔(うみと)「おしっこ漏れちゃう、ワーン!!」
陸翔(りくと)「シー!! 大声出すなって!!」
  虫取り網を放り投げる陸翔
陸翔(りくと)「さっさと済まして、サンタを追うゾ!」
  河原に連れて、おしっこさせる
  戻ると、サンタは消えている
陸翔(りくと)「チクショウ・・・」

〇住宅街
  脱走犯の捜索に、大量の警官が動員された
海翔(うみと)「おまわりさん、いっぱいだね」
陸翔(りくと)「(舌打ち)サンタ狩りがバレたか!」
陸翔(りくと)「きっと誰かが、チクりやがったんだ!」
陸翔(りくと)「空蘭、お前だろう!!」
空蘭(そらん)「なんで私なの?」
陸翔(りくと)「いつも俺たちのイタズラを 園長の婆ァにチクってんじゃねーか!」
海翔(うみと)「俺たちじゃないよ 陸翔だけだよ、僕はやってないもん」
空蘭(そらん)「ずっと一緒にいたじゃない! いつ、そんなことできるのよ!!」
陸翔(りくと)「ラーメン屋でトイレ お前長かったな? あの時こっそり・・・」
空蘭(そらん)「イジワルイジワル ひどいひどいひどい!!」
空蘭(そらん)「陸翔なんか、大っ嫌い!!」
陸翔(りくと)「な、泣いたって・・・ダメだからな・・・」
  返事をせず、泣きじゃくる空蘭
海翔(うみと)「空蘭、僕がいるよ 空蘭はイイ子だよ!」
空蘭(そらん)「海翔、大好き!! 陸翔、大嫌い!!」
  最年少でも、男前な海翔だった
陸翔(りくと)「とにかく、おまわりに見つかる前に サンタを狩らないとな・・・」
  最年長でも、モテない陸翔だった

〇お化け屋敷
陸翔(りくと)「ここが怪しいな」
空蘭(そらん)「こんな、ぶきみな家 サンタさん来るかしら?」
陸翔(りくと)「デカい家なら、きっと来る! 金持ちの家ばっかり行くんだアイツ!!」
陸翔(りくと)「エコヒイキ爺め 絶対、プレゼントを奪うんだ!!」
  激しく咳き込む空蘭
  吸入器で一旦収まるが・・・
  意識を失う
陸翔(りくと)「すごい熱だ! 空蘭、空蘭!!」
海翔(うみと)「陸翔、コッチコッチ!」
海翔(うみと)「小さなドア見つけたよ!」
  飼い犬が出入りするペットドアだった
陸翔(りくと)「犬用だ、入れないよ」
海翔(うみと)「ボクなら入れるよ!」
陸翔(りくと)「よし海翔 お前入って、中からドアを開けてくれ 空蘭を寝かさないと、熱あるんだ!」
  こうして子供たちは屋敷に侵入した

〇洋館の一室
陸翔(りくと)「お前、ちょっとここで休んでろ」
  空蘭を残して、二人で屋敷を物色する

〇貴族の部屋
  二階の寝室に忍び込んだ
陸翔(りくと)「子供が寝てるぞ? ぜいたくなベッドで寝やがって 脅かしてやろう」
海翔(うみと)「やめなよ!!」
陸翔(りくと)「ウルセー! のんきに寝やがって、ムカつく!!」
  ベッドを覗き込んで、腰をぬかす陸翔
海翔(うみと)「どうしたの?」
陸翔(りくと)「そ、空蘭!!」
海翔(うみと)「え?」
陸翔(りくと)「空蘭、なんでここに!?」
  そこに寝ているのは
  下の階にいるはずの空蘭だった
  その時、陸翔の肩を誰かが掴む
神楽坂(かぐらざか)「死体に何の用だ?」
陸翔(りくと)「死体?」
神楽坂(かぐらざか)「その子は、ワシが殺した」
陸翔(りくと)「!!」
海翔(うみと)「ぬ、ぬらりひょんだ!!」
陸翔(りくと)「アア!! 妖怪図鑑で見た・・・ ぬらりひょん!!!!」
  妖怪?? に捕まった二人!!
  次回をお楽しみに!!!

次のエピソード:第三話 22年の待ちぼうけ

コメント

  • 三者三様の子供達の聖夜の大冒険、ワクワクする設定のはずが、出会うオトナたちが……ラストが特に💦
    毒あり下ネタ(子供ver.)ありと、この展開は楽しすぎますね!

  • 子供3人認知のところで飲んでたコーヒー吹きそうになりました

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