ぴえんとババァがGoToHEAVEN!

アマリモノ

エピソード(脚本)

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〇黒背景

〇ネオン街
トジコ(今から顔出すね♡)
トジコ「と」

〇SNSの画面
  ヨミ「待ってる」

〇ネオン街
トジコ(お仕事頑張ったから)
トジコ(たくさん甘えたいなあ)

〇SNSの画面

〇ネオン街
トジコ「既読つかない」
トジコ「忙しいのかな」
  そう自分を誤魔化すけど
  最近の彼は明らかに塩対応だった

〇黒背景
  きっとアイツのせいだ

〇クラブ
  ホストクラブ「ヘヴン」

〇ホストクラブの待機スペース

〇ホストクラブのVIPルーム
  シャンパンコ〜ル!
主任「姫からの一言を」
アキコ「頼みすぎて飽きちゃったわ」
アキコ「特に何もないわね」
ナンバー30「ひゅー♪」
ナンバー20「さすが♪」

〇ホストクラブの待機スペース

〇ホストクラブのVIPルーム
主任「ヨミからも愛のメッセージを」
ヨミ「姫は格が違うね」
ヨミ「俺を「漢」にしてくれた」
ヨミ「少しでも釣り合えるようになります」
アキコ「月末には空まで届くタワーをお願いするから」
アキコ「待っててちょうだい」
ヨミ「楽しみにしてるよ」
ナンバー8「こりゃ主任の売上も抜かれたか」
主任「今期のヨミは手強いなあ」

〇ホストクラブの待機スペース
トジコ「ヨミくんたら媚び売っちゃって」
トジコ(でも)
トジコ(あんなの見せつけられたら)
トジコ(モエロゼ頼むだけなんて惨めぢゃん)
トジコ「ぴえん」

〇SNSの画面
  某掲示板
  ヨミ介護してて草
  ババア金使い荒すぎ
  何者なん
  金持ちの嫁とかじゃない
トジコ「恵まれてんネ」

〇黒背景
  翌日

〇ラブホテル

〇ラブホテルの部屋
トジコ(旦那さんいるのかな)
おじさん「君さぁ」
おじさん「高い金払ってんだから」
おじさん「ちゃんとサービスしてくれよ」
トジコ「ごめんなさーい♡」

〇黒背景

〇ネオン街

〇クラブ
トジコ(〆日のためにお金貯めないとだから)
トジコ(今夜は行けないや)
トジコ(ごめん)
トジコ(もっと頑張るからね)
トジコ(でも)

〇黒背景
ヨミ「あいつの稼ぎ少ないからなあ」

〇クラブ
トジコ(とか思われてるのかなァ)
トジコ(私、いらない子?)
トジコ「やっべ」

〇屋上の端(看板無し)
  死にたくなってきた

〇クラブ
トジコ「今日も来てたんだ」
トジコ「そうだ」

〇ネオン街
トジコ(どこに住んでるかつきとめて)

〇渋谷のスクランブル交差点
トジコ(家族にホスト通いをバラしてやる)

〇街中の道路
トジコ「そしたらあの人」
トジコ「もう店に来れなくなるかも」

〇開けた交差点
トジコ「あ、あれ」
トジコ「見失っちゃった」
アキコ「あなた」
トジコ「わっ!」
アキコ「さっきから私の後をつけてたでしょ」
アキコ「なんのつもり?」
トジコ「あ・・・え、と」
トジコ(ば、バレてた!?)

〇黒背景

〇中規模マンション

〇ダイニング(食事なし)
アキコ「なるほど」
アキコ「ヨミくんの姫だったのね」
トジコ「・・・」
トジコ(思ったより地味な部屋だな)
アキコ「そう睨まないで」
アキコ「同じホストを指名する仲じゃないの」
トジコ「私は推し被りが許せないタチなんだよ」
トジコ「それにアンタがいる限り」
トジコ「ヨミくんの1番になれないもん」
アキコ「1番ねえ」
アキコ「ま、心配しなさんな」
アキコ「私のホスト通いはもうおしまいだから」
トジコ「えぇ!?」
トジコ「な、なんで!?」
アキコ「お金がなくなるのさ」
アキコ「今月の最終営業日」
アキコ「私は残りの全財産をヨミくんに貢いで」
アキコ「1文無しのすかんぴんになるから」
トジコ「マジ?」
アキコ「決まってるでしょ」
トジコ「だ、旦那さんはそれ知ってるの?」
アキコ「・・・私は独り身だよ」
トジコ「じゃああの大金はどこから」
アキコ「貯金や家財を崩したのさ」
トジコ「・・・」
トジコ「そんな」
アキコ「ど、どうした?」
トジコ「すごい!」
トジコ「全てを投げ捨てて何もかも捧げるなんて!」
トジコ「感動しちゃった!」
アキコ「そ、そう?」
トジコ「私、おばあちゃんとなら」
トジコ「はじめての推し仲間になれるかも!」
トジコ(今月限りだけど♡)
アキコ「ふふふ」
アキコ「嬉しいわ」
トジコ「私も頑張るから!」
トジコ「絶対にヨミくんをNo.1にしてあげようね!」

〇黒背景

〇クラブ
  そして
  11月最終営業日

〇ホストクラブの待機スペース
ヨミ「顔見てホっとしたよ」
トジコ「えっ」
ヨミ「最近ずっと君の優しさに甘えすぎてたから」
ヨミ「愛想尽かされてないか心配だった」
トジコ「そんなわけない!」
トジコ「ヨミくんは一生私の推しだから!」
ヨミ「ずっと一緒にいような、トジコ」
トジコ(しゅき・・・天使・・・)
トジコ「そういえばあのおばあちゃんは」
ヨミ「あ、あぁ、あの人ね」
ヨミ「実は少し前から連絡がつかなくて」
ヨミ「どうしちゃったんだろうって心配してるんだ」
ヨミ「ごめん 他の姫の話なんて聞きたくないよな」
トジコ「私が聞いたんだよ」
トジコ(やっぱ優しいよぉ)
トジコ(それに比べてなにやってんのババァ!)
トジコ(ヨミくんに天下取らせるって誓ったぢゃん!)
トジコ「私」
トジコ「ちょっと見てこよかな」
トジコ「今は仲間だし」

〇黒背景

〇中規模マンション

〇マンションの共用廊下
トジコ「な、なんでおじさんがここに」
おじさん「き、君こそ何故」
トジコ「私はここに住んでるアキコに用が」
おじさん「アキコは私の母だが」
トジコ「えー!?」

〇ダイニング(食事なし)

〇部屋のベッド
アキコ「風呂場で転んじゃってね」
アキコ「先週からずっと寝たきりさ」
トジコ「息子いたんぢゃん」
トジコ「独身は嘘だったんだ」
アキコ「本当よ」

〇雑踏
  旦那は半年前に亡くなった
  交通事故で突然ね

〇部屋のベッド

〇山並み
  それからはどこに行っても

〇海水浴場
  何をしても虚しかった
  つまらなかった

〇部屋のベッド
トジコ「だから」
トジコ「ホストに通った」
アキコ「よく分かったね」
トジコ「私も同じ」
トジコ「生きてても面白いことないけど」

〇ホストクラブの待機スペース
  あそこで騒いでる間だけは
  寂しくないから

〇部屋のベッド
アキコ「まだ若いじゃない」
アキコ「頑張りなよ」
トジコ「だりぃな」
トジコ「若いって、先が長くて」
トジコ「しんどい」
アキコ「余計なこと言ったわね」
アキコ「ごめんなさい」
トジコ「いいよ」
トジコ「全く動けないの」
アキコ「アレがあればなんとか」
トジコ「じゃあ行こうよ」
トジコ「「ヘヴン」へ」
トジコ「ヨミくん1番にしなきゃ」
  やめろ!
おじさん「母さん」
おじさん「いい年して何がホストだ!」
おじさん「いい加減にしろ!」
トジコ「自分だって私と」
おじさん「わ!」
おじさん「い、いやそれは」
おじさん「と、とにかく許さないぞ」
おじさん「あれだけあった遺産をドブに捨てて」
おじさん「死んだ父さんが哀れじゃないか」
トジコ「お金が残ってたらどうしてたの」
おじさん「それは」
おじさん「これからの母さんの生活に」
トジコ「これからって?」
トジコ「それは幸せなの」
おじさん「あ、当たり前だ!」
おじさん「既に老人ホームの入居も決まってたんだぞ!」
トジコ「死ぬまでそこで過ごすんだ」
おじさん「え、縁起でもないこと言うな!」
トジコ(うっせぇなぁ)

〇古いアパートの部屋
  クソ親父思い出してきたわ

〇部屋のベッド
トジコ「えいっ♡」
おじさん「痛っ!?」
おじさん「ぐぅ・・・」
アキコ「あなた何を!?」
トジコ「ヨミが待ってんの」
トジコ「早くしろよ」
アキコ「で、でも」
トジコ「鏡見た?」
トジコ「ひどい顔してるよ」
トジコ「鼻毛出てるし」
トジコ「目ヤニついてる」
アキコ「や、やめてよ」
トジコ「準備してたんでしょ」
トジコ「楽しいコトしに行こうよ」
トジコ「お酒飲んで」
トジコ「歌って」
トジコ「推しの顔を眺める」
トジコ「天国だよ」
アキコ「そうね」
トジコ「乗って!」
おじさん「か、母さん!」
アキコ「本当にごめんなさい」
アキコ「でもあなた達には迷惑かけないから!」
アキコ「さよなら」
おじさん「なんて自分勝手な!」

〇黒背景

〇渋谷のスクランブル交差点

〇ネオン街

〇クラブ
アキコ「やっぱりやめとこうかしら」
アキコ「車椅子だし」
トジコ「大丈夫だよ」
トジコ「ほら」
ヨミ「アキコ姫」
ヨミ「待ってたよ」
「行きましょう」
トジコ「・・・お姫様抱っこ」
トジコ「そこはおんぶでよくない?」
トジコ「まいっか♡」
トジコ「今日までは推し仲間だもんね」

〇黒背景
  明日からあの人どうするんだろ

〇田舎の総合病院
  やっぱり頭下げて
  息子に面倒見てもらうのかな

〇屋上の端(看板無し)
  それとも
  自分で自分の命を

〇クラブ
トジコ「他人の心配できるような」
トジコ「まともな人生じゃないか」
トジコ「さ、私も」

〇幻想2
  天国へレッツゴー♡

〇黒背景
  おわり

コメント

  • ホストに限らずどんな世界でも、年齢も環境も何から何まで違ったとしても「推し」の存在を介して人と人は出会い、そこにドラマが生まれますね。たとえ今日のgo to Heavenが明日のgo to Hellになったとしてもお構いなしで突っ走る二人。これも一つの生き様ですね。(注:良い子は真似しないでね)

  • ホストお詳しいですね!?🤣
    発想が想像の斜め上を超えていて面白かったです!最後の吹っ切りには笑ってしまいました!

  • 刹那的で退廃的だけれども、燃える(萌える)モノのある人生って良いなって思えました!

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