ぼくの宝物(脚本)
〇明るいリビング
あの時にもらったプレゼントは、ぼくがこの世を去るまで大切にしていた宝物となっていた。
事故が起こるその時までは・・・。
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11月29日、この日にぼくは12歳の誕生日を迎えた。
でも、誕生日を祝ってくれて嬉しい反面、みんなぼくの誕生日を「いい肉の日」で覚えているから嬉しくない気持ちが少しはあった。
「12歳のお誕生日おめでとう!」
そうみんなに祝われて少し恥ずかしかったけど、「みんなありがとう!」とそれに答えた。
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そして誕生日会も後半に入り、とある時間がやってきた。
一葉「それでは、プレゼントタイムを開始したいと思います!1人ずつ渡していってください」
その時間の間は、みんなからいろんな種類のプレゼントをもらった。
中でもお姉ちゃんからもらったブレスレットは、もらったプレゼントの中で一番嬉しかった。
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「お姉ちゃん、どう?似合う?」
恵奈「うーん、似合うけどやっぱりブレスレットは早かったかな・・・」
お姉ちゃんはそう言ってぼくをからかいながらも、嬉しそうにするぼくを見て微笑んでいた。
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そして、ぼくのお誕生日会は終わり、みんな「またね」と言って自分の家へ帰っていった。
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恵奈「ねぇ、少し見せたいものがあるから外に行こう?」
そうお姉ちゃんがぼくに話しかけ、暗い夜の外に2人で出掛けた。
〇街中の道路
お姉ちゃんはぼくにどこへ行くのか教えてくれることなく、15分くらい2人で話しをしながら歩いた。
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「お姉ちゃん、どこに行くのか教えてよ。」
恵奈「しょうがないなぁ。ほら、あそこだよ」
そう言ってお姉ちゃんが指をさしたのは、ぼくが行きたがっていたお店だった。
ぼくは早くお店に行きたくてお姉ちゃんをおいて走り出した。
そして、お姉ちゃんが「走るとけがをするよ」と言った瞬間
信号を無視した車にぼくはひかれた。
お姉ちゃんはすぐにぼくのところに駆け寄って、救急車を呼びぼくの身体を抱きかかえた。
ぼくは残りの力を振り絞ってお姉ちゃんに伝えたかったことを話しはじめた。
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「ねぇ、お姉ちゃん。誕生日プレゼントでくれたブレスレット、もらった時はすごく嬉しかったよ。一生の宝物にしようって思った」
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恵奈「嫌だよ。これが最後の会話になるなんてこと・・・」
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その後、ぼくはお姉ちゃんに抱きかかえられたまま息を引き取った。
「ぼく」は、姉の優しい気持ちや一緒に過ごした時間が宝物だったと言い残したかったのでは?そうしたすべての思いをブレスレットに託したんだと思うと切ないです。
誕生日を迎えた日が…悲しい日になってしまい辛いですね。宝物は一つではなく沢山。これからも増えていくはずだったのに。一瞬とはいえない怖さ。
一生の宝物というのは物でなくとも人それぞれ色々な物があると思います。私も多くの宝物があります。
私でもこの会話が最後なら、悲しすぎるなぁと感じてしまいます。