最終ステージ・出典紹介(エ)(脚本)
〇仮想空間
タケウチ「では、(エ)の紹介役のハクビシンさん、出典紹介の最終スピーチ、お願いします!」
(エ)
大ばん小ばん、さんごに宝珠!
金銀ざいほうが ざっくざっくとでてきました。
ハクビシン「すいません、私は全然、あの・・・本から選べなくて、絵本から選んだんですけど、」
タケウチ「絵本だって本だよ!」
ハクビシン「あ、そうですね。 それで──どんな絵本か、皆さんに考えてほしいと思っています」
〇森の中
ハクビシン「そのお話には、おじいさんとおばあさんが出てきます」
ハクビシン「おじいさんとおばあさんは、夫婦です」
ハクビシン「隣のおじいさんとおばあさんは、出てきません」
ハクビシン「二人だけで、あとは動物というか、生き物が出てきます」
ハクビシン「・・・まだ難しいですよね?」
スナネズミ「「はなさかじい」じゃない?」
シマウマ「「はなさかじい」、隣のじいさんばあさん出てきちゃうもんねぇ」
シマウマ「「生き物」っていうのが何なのかしら? そこを言っちゃうと分かっちゃうのかな」
ハクビシン「分かっちゃいますw」
タケウチ「「さるかに合戦」?」
ハクビシン「「さるかに合戦」って、おじいさんとおばあさん、出てきましたっけ?」
スナネズミ「出てこないよ!」
タケウチ「あ、そっか。隣の家どころか、元の家のじじばばも出てこないか・・・」
スナネズミ「・・・ざっくざっくと出てくるんだよね? 土の中から出てくるのかなあ?」
ハクビシン「あ、土の中からではないです」
タケウチ「・・・「ねずみの相撲」って、ざっくざっくとは出てこなかったっけ?」
シマウマ「あんまり、ざっくざっくとは出てこないよね。 ちょっと持ってくるだけだもんね」
アリクイ「はい! 「したきりすずめ」!」
ハクビシン「あ!」
アリクイ「当たり!?」
カワウソ「あー、すごーい!」
アリクイ「わー、当てちゃった! なんか、すいません」
ハクビシン「そうなんです。 「したきりすずめ」で、金銀ざいほうは、つづらの中から出てくるんです」
ハクビシン「すばらしい!」
カワウソ「そうか、「したきりすずめ」は、隣のおばあさんじゃなくて、おじいさんと夫婦のおばあさんが欲張りなんだった!」
ハクビシン「そうなんです。 私、前に「かにかにこそこそ」って素話をした時に、おばあさんがおじいさんを羨ましがって失敗するって話で──」
ハクビシン「感想で、「いわゆる『隣の爺型』、隣人が真似して失敗する例はよくあるけど、夫婦の間では珍しいね」って言われたんですけど──」
ハクビシン「いや、そんなことはないな、と思って。 「したきりすずめ」もまさにその例じゃないですか!」
ハクビシン「それと私、赤羽末吉さんの絵本はどれも好きなんですけど、特にこの「したきりすずめ」は色合いとかもきれいで大好きなんですね」
ハクビシン「ちょっと読み聞かせには長いので、なかなかやるチャンスはないんですけど、何かの折に子供に紹介したいと思っています」
ハクビシン「──そんな私の気持ちを皆さんにも分かってほしくて、今回紹介する本に選びました」
ハクビシン「ほら、ここに絵本がありますけど──ここが、「金銀ざいほうがざっくざっく」の場面の絵です!」
スナネズミ「豪華な感じ、する!」
タケウチ「zoom画面で見ても、赤の発色が見事というか・・・赤羽レッドだよね」
ハクビシン「私はこの、水色というか青というか、エメラルドグリーンみたいな色がすごく大好きなんです」
ハクビシン「前に紹介した赤羽末吉さんの家のお嫁さん、赤羽茂乃さんの本にも、末吉さんのヨーロッパ旅行のお土産の話が載ってたんです」
シマウマ「ああ、ビブリオバトルをした時に紹介してくれた本?」
ハクビシン「はい。お嫁さんの赤羽茂乃さんの講演会を聴きに行った話をしました。『絵本作家赤羽末吉──スーホの草原にかける虹』って本」
ハクビシン「その中に、末吉さんが赤羽家の3人のお嫁さんに、こういう翡翠みたいな色のペンダントヘッドをお土産にくれたって話がありました」
ハクビシン「その色が、この絵本にも使われてる色なんじゃないかと思った時に、赤羽さんご自身も翡翠がすごく好きなのかな、」
ハクビシン「だからお嫁さんへのプレゼントにもして、こういう絵の色にも託してるのかなって思えて──好きな本です」