いつ\か\(の)\理想(脚本)
〇黒
ある日、俺の目の前に
不思議な少女が現れた。
少女は俺に歩み寄って聞きに来た。
──────────君の夢は何?
〇通学路
とこ・・・とこ・・・とこ・・・
笑助「はぁ〜・・・・・・・・・・」
笑助(なんだか妙にリアルな夢だったな・・・)
俺の名前は三刀笑助。"みとう"ではなく"みと"しょうすけだ。
俺は今、あることに困っている。それは・・・
笑助(・・・あなたの考える理想の世界、か・・・)
そう、この間学校の課題で「卒業文集の練習をしよう」ということで出されたテーマに沿って書くことになったのだ。
そのテーマはずばり
「あなたの考える理想の世界」
というものだ。
笑助(理想の世界、かぁ・・・)
理想の世界なんて簡単に想像できるものか。
もう現実味を帯びている者に、そんな課題を出す必要があるのか・・・?
・・・とここ2日、ずっと考えているが、
全くアイディアは出ない。
笑助(こういうとき、あいつだったらなんて書いてただろうな・・・)
・・・
笑助「うーん・・・」
笑助(そう簡単なものじゃないって、分かってるんだけどなぁ・・・)
笑助「・・・?」
笑助(なんか、妙に騒がしいな・・・祭りとかあったっけな・・・?)
〇公園の入り口
ななは「うんうん!やっぱり仲良しが一番だよね!」
笑助「なんだ、なんとも無かったのか・・・」
ななは「・・・!ねぇねぇお兄さん!あたし、魔法少女みたいだった!?」
笑助「へ・・・?魔法少女・・・?」
ななは「そう!ななははね、魔法を使えるようになるために今修行してるんだよ!」
笑助(あっ、ななはって言うんだ・・・)
笑助(というか急になんだ?俺は何も見てなかったのに・・・)
ななは「ほら!皆もう仲良しでしょ?」
笑助「・・・ん?」
子供A「じゃあ仲良く遊ぶためにも、ヒーローごっこと砂場遊びを混ぜようぜ!」
子供C「・・・!うん!そうしよう!」
子供B「じゃあ俺がレッド・・・じゃなくて、お前赤好きだったよな?なら俺はブルー!」
笑助(さっきまでの声は子供達の喧嘩だったのか・・・妹もよく喧嘩して帰ってくるしな)
ななは「ふっふっふー!」
笑助(・・・あれ?そういえばこの子どこかで見たことあるような・・・)
笑助「うーん・・・」
ななは「わわっ、お兄さんも魔法かけなきゃいけないみたい・・・!?」
笑助「え?いやそもそも魔法って・・・?」
ななは「え?なんだお兄さん、ななはの勇姿を見てなかったのか・・・」
ななは「あたしはさっきね、笑顔の魔法をかけてきたんだよ〜」
ななは「ねぇねぇお兄さん!一つ聞きたいことがあるの!」
笑助「え、えぇ・・・な、なに・・・かな・・・?」
ななは「お兄さんは────」
〇黒
────お兄さんの夢は何?
──────俺の、夢・・・
〇住宅街の道
ななは「お兄さーん・・・?なんで答えてくれないの・・・?」
笑助「いやなんでずっと着いてくるんだよ・・・」
ななは「だってななは、気になるもん!」
笑助「というか君が言ってた魔法って何?魔法なんて使えっこないじゃないか・・・」
ななは「お兄さんもそれいうのー・・・?むー・・・」
笑助「・・・でも、夢があるっていいな・・・」
ななは「・・・え?」
笑助「俺には・・・よくわからないからさ」
ななは「・・・お兄さん、笑顔じゃない・・・」
笑助「・・・え?」
ななは「・・・そうだ!ななはが魔法使えるようになったら、お兄さんにも夢を見せてあげられるよ!」
笑助「えー・・・?だから使えっこないってさっきから・・・」
ななは「絶対使えるもん!使えるようになって、魔法少女になって、皆にたっくさんの夢を見てもらう!私の夢!」
笑助「・・・はぁ」
ななは「ちょっとお兄さん!あたしのこと信じてよ〜!」
笑助「でも、そうだな・・・」
笑助「もし、俺が夢を叶えたいなら・・・」
笑助「・・・」
ななは「・・・お兄さん?」
笑助「・・あ・・・・・・・」
笑助「ごめん、俺もっと・・・」
ななは「ななはもっと頑張るね・・・そしたら最初にお兄さんのこと、笑顔にするから!」
笑助「・・・そうだな、君みたいになりたいな・・・」
ななは「?お兄さん、なにかいった?」
笑助「・・・」
笑助「・・・うん、俺の夢少しわかったかもしれない」
ななは「え!?なになに!」
笑助「うん、難しいかもしれないけどさ・・・」
???「ななは」
???「もうそろそろ、帰る時間です。 早く帰ってきなさい」
笑助「なんだ、今の声・・・」
ななは「・・・お兄さんの夢、きっと叶えるね」
笑助「え?俺何もいってないけど・・・」
ななは「・・・お兄さんの夢は────」
笑助「えっ・・・」
笑助「・・・何もいってないのに俺の夢がわかったのか・・・?」
笑助「でも、もしわかっているとしたら・・・」
〇荒廃したセンター街
ななは「・・・」
ななは「・・・あーあ」
ななは「何がいけなかったんだろうなぁ・・・」
ななは「あたし、なにかしたかな・・・?」
ななは「なんで魔法が使えないのかな・・・?」
ななは「・・・でも、お兄さんの夢を叶えたいな」
ななは「ねぇ、お兄さん。お兄さんが言ってたとおりだね・・・」
〇幻想空間
──皆を笑顔にするって、難しいね・・・
ななは「・・・」
ななは「ななはみたいな”落ちこぼれ”でも、できるかな・・・」
ななは「君を・・・笑顔に、できるかな・・・」
???「・・・ななは。あなたは魔法少女に本当になりたいのですか?」
ななは「はい、そのとおりです」
ななは「願いを叶えられない流れ星でも、もし誰かを笑顔にできるなら──」
ななは「この身が砕けたって構いません」
ななは「それくらい私は、魔法少女に憧れています」
???「・・・そうですか」
???「なれるといいですね。あなたのようなものがなれるなんて微塵も思っていませんが」
ななは「・・・」
ななは「きらきら、ゆめひかる・・・わたしのゆめ、きらきらひかる・・・」
ななは「いつかあなたのもとに、きらきらとひかるゆめを、届けます・・・」
ななは「それが、流れ星の指名だから」
あらためて「あなたの夢とは?理想とは?」と問われてすぐに答えられる人ってあまりいないと思います。「夢を持つのが夢」みたいな大人が多いですもんね。ななはの「みんなを笑顔にしたい」という純粋な願いが叶う日がくるといいなあ。
すごく純粋な夢で、叶ってほしいと思う反面、全員を笑顔にする難しさも同時に感じてしまいました。
それでも一人、また一人と笑顔にしていけるといいです!