はたしてこれは勘違い?(脚本)
〇黒
私は一般的に見て地味で目立たない人間。よく言われるのが陰キャ
だから将来、私なんかの前に王子様が現れる訳なんか一生ない。そう思ってた・・・。
〇図書館
早坂メグミ「ねえ君図書委員だよね? ちょっと尋ねていいかな?」
宇津木サトコ「え・・・私!?」
早坂メグミ「うん。スポーツ医学の本を探してるんだけど、無いかな?」
宇津木サトコ「そ、それならこっちの棚の上に──」
宇津木サトコ(届かない)
宇津木サトコ「あっ──」
〇黒
大丈夫?
〇図書館
早坂メグミ「ケガない?」
宇津木サトコ「う、うん」
宇津木サトコ(す、すげー。片腕で支えられた)
早坂メグミ「ん? よく見たら君──」
宇津木サトコ「えっ、ちょ・・・」
早坂メグミ「うん、やっぱり。眼鏡外したらとっても可愛いいね」
宇津木サトコ「なんだお前いきなり! やめろよ!」
早坂メグミ「ごめん、怒らせたね」
早坂メグミ「でも事実だから」
早坂メグミ「じゃあね、本を借りてくよ」
〇黒
へぇ。それでまんまと眼鏡を外して来た訳ですか
〇教室
篠原サエ「はぁ、」
宇津木サトコ「違うし、たまたま忘れて来ただけだし!」
篠原サエ「ダメですよ先輩」
篠原サエ「それって陰キャが陥りがちな勘違いパターンですから」
宇津木サトコ「・・・」
篠原サエ「先輩はちょっと優しくされただけで、あっ、もしかしてこの人私に気があるんじゃ、」
篠原サエ「なーんて思ってるんでしょうけど」
篠原サエ「それってやった本人からすれば唯の社交辞令であって、なーんにも感じてませんから」
宇津木サトコ「そんなバカな!」
〇水玉2
相手はあの校内で人気NO.1の早坂メグミ
陸上部のエース──『疾風の王子』
先輩じゃ絶対に無理ですよ、つりあいません
〇教室
宇津木サトコ(こいつ、言わせておけば好き放題言いやがって)
宇津木サトコ「このっ!」
ミス。サトコの攻撃は外れた
宇津木サトコ「あれ?」
篠原サエ「私、一歩も動いて無いですよ」
篠原サエ「先輩眼鏡してなく距離感掴めて無いですよね?」
篠原サエ「そんなんじゃ危ないですよ。だからハイ──」
篠原サエ「先輩の眼鏡持って来ました」
宇津木サトコ「お、サンキュー。正直眼鏡無かったらやっぱ滅茶苦茶不便で──」
宇津木サトコ「──て、おい!」
宇津木サトコ「なんでお前が私の眼鏡持ってんだよ!?」
篠原サエ「なんででしょう?」
宇津木サトコ「質問に疑問で返すな」
宇津木サトコ「あと、ツッコミ入れるのが遅かったけど、なんで普通に下級生のお前が上級生の教室来てんだよ!」
宇津木サトコ「普通さぁ、うわ・・・先輩のいる教室、上級生に睨まれそうで怖いなぁ〜入りにくいなぁ~とか思うだろ?」
篠原サエ「別に」
篠原サエ「それに私が教室に居て先輩方に迷惑なんてかかりますかねぇ?」
〇教室
(怖っ!)
〇教室
宇津木サトコ(ん? 気の所為かな。ちょっと空気が冷たくなった気が・・・)
篠原サエ「兎に角先輩はすーぐ勘違いして人を好きになるチョロインなんですから自覚してください」
宇津木サトコ「うるさい、余計なお世話だ!」
後日
〇図書館
宇津木サトコ「・・・」
宇津木サトコ(ヤバッ)
早坂メグミ「やぁカワイコちゃん」
宇津木サトコ「どうも」
宇津木サトコ(なんかムズムズするなぁその呼び方、一応同級生なんだけど)
早坂メグミ「また別のスポーツ医学の本を借りに来たんだけど」
宇津木サトコ「はい」
早坂メグミ「まさか用意してくれてたの?」
宇津木サトコ「何となく必要なんじゃないかと思って」
宇津木サトコ「その・・・なんかちょっとこの前、あんたを偶然見かけた時、体に違和感ありそうだなって思って」
早坂メグミ「へぇ」
宇津木サトコ「ちょ、何!?」
宇津木サトコ(顔近っ!)
早坂メグミ「他の皆はボクの体調の変化に気付かないのに」
早坂メグミ「君は気づいた」
早坂メグミ「それってボクの事をよーく観察してるって事だよね?」
早坂メグミ「君にボクの事をもっと知って欲しいな」
早坂メグミ「チュ」
宇津木サトコ「ンンッ──!?」
〇図書館
その後、私は王子と関係を持った。
それは勿論深く──まるで底が無いような関係、
時にはお互いを意識し、全てをさらけ出すような事もした。
なぁ後輩
これはどう考えても勘違いなんかじゃないだろ?
〇図書館
宇津木サトコ「・・・」
宇津木サトコ(今日は図書委員暇だな)
宇津木サトコ「・・・」
宇津木サトコ(たまにはアイツの練習風景でも見に行くか)
〇グラウンドのトラック
早坂メグミ「ハァ──ハァ──」
宇津木サトコ「おおっ、早いなアイツ」
宇津木サトコ(流石私の恋人だな。ふふん)
「キャー! 疾風の王子ぃー♡♡」
宇津木サトコ「うをっ!」
宇津木サトコ(アイツのファンがこんなに・・・)
〇グラウンドのトラック
早坂メグミ「ハァ──ハァ──」
〇黒
グアアアッ!!
〇グラウンドのトラック
ファン1「大変、王子がケガしちゃった!」
ファン2「早く保健室に連れてかないと」
陸上部後輩「私が先輩を保健室まで運びます!」
陸上部後輩「私の肩に掴まって下さい」
早坂メグミ「すまない。そうしてくれると助かる」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)
おおお……
なるほど、だから包丁持っていたのですね:( ;´꒳`;)
うおおーっ! こっちのメグミさまもイイですねー!
メグミ王子のカッコよさに序盤で私もチョロインになりかけましたが……
メグミ王子……( ノД`)…
この世界観は素晴らしいです。早坂センパイヤバイと思ってたら、こういう落ちなんですね