第十七話 発症(脚本)
〇中規模マンション
〇アパートのダイニング
佐伯 栞里「おばあちゃん、行ってきます!」
佐伯 栞里「明後日には帰るから。心配しないでね」
佐伯 慶子「いってらっしゃい、栞里」
佐伯 栞里「今日のおかずは冷蔵庫、 明日のご飯は冷凍してあるから」
佐伯 慶子「いつもありがとうね」
佐伯 栞里「うん。じゃあ、明後日の夕方ね」
佐伯 慶子「千草、見てるかい。 栞里はちゃんと夢を叶えたよ」
佐伯 慶子「ごほっ、ごほっ」
佐伯 慶子「嫌だ、何だか咳がでるね・・・」
佐伯 慶子「風邪薬でも飲んでおこうかね」
〇電車の中
佐伯 栞里「うーん、快適。 空港方面とラッシュが逆で本当良かった」
佐伯 栞里「あら。今日は車両全面広告になってるのね」
佐伯 栞里(あ、これ最近よく見かける 結婚・出会いアプリだ・・・)
佐伯 栞里(恋人かあ・・・)
〇見晴らしのいい公園
〇電車の中
佐伯 栞里(ふふ・・・誰かを好きになる、か)
佐伯 栞里(そんな資格、私にあるわけないのよ)
〇空港の滑走路
〇飛行機内
パーサー「佐伯さん。本日はビーガンの方が二名、 イスラム教の方が六名いらっしゃいます」
パーサー「座席の位置は把握してますね? 配膳の際は注意して下さい」
佐伯 栞里「はいっ! かしこまりました!」
パーサー「では、本日もよろしくお願いします」
機内放送「グランドスタッフからキャビンへ まもなくお客様をご案内予定です」
機内放送「機内の準備はよろしいでしょうか」
パーサー「はい、準備完了しております」
機内放送「了解しました。 ではお客様のご案内を開始していきます」
〇空
〇空
〇空港ターミナルビル
佐伯 栞里「よーし、お仕事終わりっと 携帯の電源つけなきゃ」
佐伯 栞里「えっ! 着信が30件? 知らない番号だけど・・・」
佐伯 栞里(何だろう。怖いけど かけ直してみようかな)
???「はい、大東京大学病院、受付の皆川です」
佐伯 栞里(病院!?)
佐伯 栞里「折り返しお電話しております 私、佐伯栞里と申します」
病院事務「佐伯様・・・あ! 佐伯慶子様のご家族でいらっしゃいますか」
佐伯 栞里「ええ、佐伯慶子は私の祖母です」
病院事務「実は、慶子様が救急車で当院へ 搬送されまして、ご家族へ連絡をと・・・」
佐伯 栞里「えっ! おばあちゃん、何かあったんですか!?」
病院事務「事務の方からはお話ができかねます 当院へお越しになることは可能ですか」
佐伯 栞里「す、すぐ向かいます」
〇大学病院
〇病室
佐伯 栞里「おばあちゃん!」
佐伯 慶子「ああ、栞里。おかえり」
佐伯 栞里「お帰りじゃないわよ、もう! すっごく心配したのよ」
佐伯 慶子「ごめんねぇ。 連絡しなくていいって言ったんだけど」
佐伯 栞里「・・・」
〇病院の診察室
佐伯 栞里「嘘、ですよね?」
主治医「残念ですが事実です」
主治医「救急車で運ばれた時には かなり血を吐いておられました」
主治医「精査の結果は肺ガン。 それも両方の肺に進展しています」
主治医「残念ですが、長くて3ヶ月かと」
佐伯 栞里「ちょ、ちょっと待って下さい」
佐伯 栞里「そんな急に言われても困ります!」
佐伯 栞里「それにおばあちゃんはこのこと、 知ってるんですか?」
主治医「『孫娘に言ってくれ、私は聞きたくない』 とご本人には言われましてね」
主治医「なので、知ってるのはあなただけです」
佐伯 栞里「そんな・・・」
〇病室
佐伯 栞里「で、でも元気そうで良かった。 病院ったら、何度も電話するから」
佐伯 慶子「栞里。先生から話は聞いたかい?」
佐伯 栞里「え? うん、まあね」
佐伯 栞里「大したことはないけど、 最初血を吐いてたからびっくりしたって」
佐伯 慶子「・・・」
佐伯 慶子「そうかい。 あんまり良くないんだね」
佐伯 栞里「そ、そんなことないよ。 二週間もすれば帰れるって」
佐伯 慶子「癌、なんだろう?」
佐伯 栞里「・・・っ!」
佐伯 慶子「その顔を見たらわかっちまったよ」
佐伯 慶子「うちの家系は代々肺が弱くてね。 私のお姉さんも肺がんで亡くなってるのよ」
佐伯 慶子「仕方ないねぇ・・・」
佐伯 慶子「曾孫とまでは言わないまでも、 栞里のドレス姿は見たかったよ」
佐伯 栞里「おばあちゃん・・・」
佐伯 栞里「う・・・うう・・・」
佐伯 栞里「うえええん! おばあちゃん! 死んじゃやだよ!」
佐伯 栞里「私、独りになっちゃうよ! わあああん!」
佐伯 慶子「生きるものには皆終わりがある 仕方がないことさね・・・」
〇空
〇アパートのダイニング
佐伯 栞里(どうしよう・・・ おばあちゃんの余命は3ヶ月)
佐伯 栞里(今の私に出来ることは・・・)
〇電車の中
〇アパートのダイニング
佐伯 栞里(そうだ! 結婚・・・!)
佐伯 栞里(アプリ婚で、たった1ヶ月で結婚した 同級生がいた)
佐伯 栞里(雄輔のことを思うと、 とても心苦しいけど・・・)
佐伯 栞里(今、私に出来ることはこれしかないもの!)
〇空
そして、私のアプリ婚活は始まった
〇店の入口
しかし、なかなか良い相手に巡り会えず
何度も散々なデートを繰り返した
そして、私が婚活に疲れ果ててきた時に
彼は現れた
〇テーブル席
???「すると、佐伯さんは夢が叶ったんですね。 素晴らしいです!」
???「だったら結婚してからも 仕事は続けた方がいいですよね!」
佐伯 栞里「えっ・・・?」
佐伯 栞里「あ、ありがとう・・・ございます」
栄田 駿「はは。やっとこっちを向いてくれた」
栄田 駿「僕は栄田駿といいます 貴方みたいな人をずっと探してた」
佐伯 栞里(栄田さん・・・とても素敵な方。 それに不思議・・・)
佐伯 栞里(初めてなのにどうしてこんなに 心が落ち着くんだろう)
佐伯 栞里「あ、ごめんなさい 私ちょっとお手洗いに」
栄田 駿「ええ、構いませんよ」
佐伯 栞里「わっ!」
ガシッ
栄田 駿「だ、大丈夫ですか」
佐伯 栞里「ごめんなさい、私ったら慌てちゃって」
〇黒
佐伯 栞里(何、この手の感触・・・!)
佐伯 栞里(私、この手、知って・・・)
〇見晴らしのいい公園
〇黒
栄田 駿「佐伯さん、大丈夫ですか?」
〇テーブル席
栄田 駿「大丈夫ですか? どこか打ちました?」
佐伯 栞里「ああ、いえ。あんまりにも びっくりしたものですから」
栄田 駿「そうですか。 でも、転ばなくてよかったですね」
佐伯 栞里「ええ、ありがとうございます」
佐伯 栞里「あの、栄田さん。 大変申し訳ないのですが」
佐伯 栞里「この後、祖母の病院に行く用事があって」
栄田 駿「それは申し訳ない」
栄田 駿「良かったら病院まで 車で送りましょうか?」
佐伯 栞里「ごめんなさい。 他にも寄りたいところがありますので」
栄田 駿「わかりました。 では、もう少ししたらお店をでましょう」
〇店の入口
栄田 駿「今日はありがとうございました」
佐伯 栞里「こちらこそありがとうございました」
栄田 駿「あの、佐伯さんさえ良かったら また会ってもらえますか?」
栄田 駿「い、いや。こういうのを直接尋ねるのは マナー違反でしたね」
栄田 駿「とにかく僕は今日、とても楽しかった」
栄田 駿「もしまた良かったら、 アプリでご連絡させてください」
佐伯 栞里「ええ、こちらこそ 慌ただしくてごめんなさい」
佐伯 栞里「ではまた」
栄田 駿「・・・」
〇街中の道路
佐伯 栞里(雄輔が生きてた!)
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ああ! お婆ちゃんが! 最後の良心が! でもこれがキッカケで結婚に踏み切る訳だから、運命のイタズラというか、作者の……😏
それはさておき、皆さんの予想合戦が面白い😆 それでも読ませてしまうのだから、演出の仕方が上手いんでしょうね〜。実際読んでてあっちゅーまですし。
手でわかる…しおりん、さすがやな…😏
治療法は…かなり荒療治になるのかな。
栞里は復讐される事を望んでた?
少なくとも「されても仕方がない」と思ってますよね。
コメントで気づいたんですけど、もしかしてわらやまさんも同じような所でわかんねー!って言ってたんでしょうか?😅
次回を待ちます。
ふむ、初見ですぐ気づいていた…
これは次回が待ち遠しい…
しかし、見た目が変わっても気づくとは…
本当に色んな運命のイタズラさえなければ…