サンタ狩り

尾長イルカ

第一話 サンタを狩る(脚本)

サンタ狩り

尾長イルカ

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〇おんぼろの民宿(看板無し)
  「児童養護施設ひまわり園」廃止の通告
  雪と共に、悲しい思いが積もる
園長「あの爺のせいだね?」
  園長がつぶやく
  この地域の影の実力者
  議員たちは、彼の力で当選しており
  その老人の言いなりだった
園長「子供の住処を潰して、老人ホームを建てる 年寄りが子供をイジメていいのかね?」
雪瑠(ゆきる)「すみません、私はただの職員で・・・」
園長「ただの職員が、ワザワザ来たのは あんたにとっても、大事な家だからかい?」
雪瑠(ゆきる)「ここで育てて頂きました なのに、お力になれなくて・・・」
  ケーキの箱を差し出す雪瑠
雪瑠(ゆきる)「子供達に、今日はクリスマスなので」
園長「持って帰って。ウチにクリスマスはない 予算削減のお陰でね それがあんたら、お役所のご意向だろ?」
園長「自分の育った児童施設を潰すって どんな気持ちだい?」
  玄関を閉める園長
雪瑠(ゆきる)「・・・・・・」
  帰ろうとする雪瑠に
  雪玉がぶつけられた
陸翔(りくと)「帰れ帰れ、鬼!」
雪瑠(ゆきる)「・・・・・・」
海翔(うみと)「どうしてウチはサンタクロース来ないの?」
雪瑠(ゆきる)「・・・・・・」
陸翔(りくと)「海翔、鬼と口聞くな! こいつら鬼たちが、俺たちの家を潰すんだ 婆ちゃんがそう言ってた!!」
海翔(うみと)「お姉さん鬼なの? キレイな鬼さんだね」
雪瑠(ゆきる)「ケーキ食べない? サンタさん、きっと来るから」
  陸翔が、ケーキの箱を踏みつける
雪瑠(ゆきる)「!!」
陸翔(りくと)「ウチにクリスマスはない!! サンタも来ない!!」
海翔(うみと)「どうして、どうして?? 他の家は来るんでしょう? どうしてウチだけサンタ来ないの!?」
  泣き叫ぶ弟分を引き連れ、陸翔は施設の中に入っていった
空蘭(そらん)「ごめんね、お姉さん 陸翔、乱暴だから、後で叱っておくね 泣かないで、大丈夫?」
空蘭(そらん)「サンタさんは、道に迷ってるのよ これはっとけば、きっと来るよね!? 手伝って、お姉さん!!」
  無邪気な空蘭の書いた「はり紙」
  とても断れない雪瑠
  急に咳き込む空蘭
  喘息の吸入器を持って、駆けつける陸翔
陸翔(りくと)「大丈夫か空蘭? 帰るぞ!!」
  一人残される雪瑠
  潰れたケーキ箱の上に、雪が積もる
  悪い方の足を引き摺り、帰っていく雪瑠

〇大きな箪笥のある和室
  狭い部屋で寝ている三人
  「サンタ来ない」と、泣き止まない海翔
空蘭(そらん)「早く寝な、寝ないと来ないよサンタさん」
海翔(うみと)「寝たら来るの?」
空蘭(そらん)「大丈夫! 「はり紙」はったもん!」
海翔(うみと)「大丈夫だね、サンタさん迷子にならないね」
陸翔(りくと)「ハハハハハ、ガキだなお前ら」
空蘭(そらん)「自分だってガキのくせに!」
海翔(うみと)「自分だってガキのくせに!」
空蘭(そらん)「陸翔の話なんて、聞いちゃダメ 絶対会えるよ! サンタと会える場所、教えてあげる」
海翔(うみと)「どこどこ?」
空蘭(そらん)「夢の中・・・夢の中なら絶対会えるの! 去年もその前の年も、会えたもん!!」
陸翔(りくと)「夢で会って、プレゼントもらえるのか?」
空蘭(そらん)「もらえるよ! でも・・・起きたら消えちゃうの」
陸翔(りくと)「夢だからな、現実にはもらってねえのさ」
陸翔(りくと)「今年も去年もその前も、クリスマス会も プレゼントも中止だ、予算削減でな」
海翔(うみと)「よさ・・・何それ?」
陸翔(りくと)「知らねーよ、大人の言葉だし どうせインチキさ、大人の言うことだもん」
海翔(うみと)「大人ってインチキなの?」
陸翔(りくと)「そうだよ、大人はインチキさ! だからサンタもインチキだ!!」
海翔(うみと)「うえ~ん!!」
空蘭(そらん)「陸翔はムシムシ、早く寝て海翔! 夢の中で、サンタに会おう!!」
陸翔(りくと)「海翔泣くな! 俺がちゃんと プレゼント持って来てやる!!」
海翔(うみと)「本当?」
陸翔(りくと)「約束する、俺はインチキじゃねぇ 大人と違うからな!!」
空蘭(そらん)「どうすんのよ?」
陸翔(りくと)「他の家には持ってくるくせに 俺たちには持ってこないだろ・・・ だったら、奪えばいい!!」
陸翔(りくと)「サンタから、プレゼントぶんどる」
陸翔(りくと)「サンタ狩りだ!!!」
海翔(うみと)「サンタ狩り!?」
空蘭(そらん)「ダメ、そんなの! ゴホンゴホン!!」
  喘息で、激しく咳き込む空蘭
陸翔(りくと)「お前ら家で待ってろ! 俺がサンタから、ぶんどってくるから!!」
  虫取り網を用意する陸翔
空蘭(そらん)「サンタさんは、カブトムシじゃないよ!」
海翔(うみと)「僕も行く!!」
陸翔(りくと)「だったら、何か武器を持って来い!」
海翔(うみと)「えーと・・・これでいい?」
空蘭(そらん)「私も行く!!」
陸翔(りくと)「お前は寝てろ、咳が出るだろ」
空蘭(そらん)「陸翔の暴力からサンタさんを守らなきゃ それに・・・」
空蘭(そらん)「トナカイ見たいの 赤鼻でしょ、カワイイ💛」
陸翔(りくと)「女の出る幕じゃない」
空蘭(そらん)「偉そうに! 連れてかないと 園長さんに言いつけるから!!」
陸翔(りくと)「本当、ズルいよな女って! しゃーねーな、よし行くぞ!!」
  子供たちのサンタ狩りが始まった

〇道玄坂
  凍りついた路面にスリップして
  大型トラックが、護送車に衝突
  大破した護送車から、男が逃げ出した
  何人も殺している凶悪殺人犯
  クリスマスの街に、殺人鬼が放たれた
烏頭狗(うずく)「暖かそうな服着てるな、囚人服は薄着でね」
  看板を持つ
  サンドイッチマンに話しかけた
  現場に残された、血まみれの帽子と
  凶器に使われた看板
  警察は囚人服の男を追っていた
  すでに違う服装とも知らずに
烏頭狗(うずく)「血がついても分からないから、いいなぁ」

〇一戸建て
  子供たちは裕福そうな家庭に目をつけた
陸翔(りくと)「ここなら、きっとサンタが来る」

〇おしゃれなリビングダイニング
  窓の外から、家族団らんが見えた
  大きなケーキ、ご馳走も並んでいた
海翔(うみと)「(腹の鳴る音)ぐるるるるううう~」
空蘭(そらん)「(腹の鳴る音)ぐるるるるううう~」
陸翔(りくと)「うるせえな、腹の音止めろよ」
海翔(うみと)「止まらないよ~(腹の音)ぐるるるる!」
空蘭(そらん)「(唾を飲み込む)美味しそう・・・」
陸翔(りくと)「目の毒だ、ほかの部屋へ行こう」

〇可愛い部屋
  子供部屋にプレゼントがあった
海翔(うみと)「プレゼントだ!! サンタさん来たあとだね」
空蘭(そらん)「ズルい! あんなにいっぱい!!」
陸翔(りくと)「よし! 一個もらおう!!」
海翔(うみと)「女の子の部屋だよ、女の子用だ」
陸翔(りくと)「じゃあ、空蘭のだ」
空蘭(そらん)「いや、泥棒なんてダメ!!」
  そこへ女の子が現れる
  窓から覗く三人を見て
  女の子が悲鳴を上げる
  すぐに両親が飛び込んできた
娘「窓におばけ!!」
  窓を開け、調べる父親
  慌てて隠れる三人
父親「誰もいないよ、アニメの見過ぎだな」
娘「ほんとよパパ~、こわいよママ~」
  再び覗き込んだ陸翔たち
  両親に甘える女の子を見て、悲しくなる
海翔(うみと)「ママ・・・ママ・・・」
空蘭(そらん)「パパ・・・パパ・・・」
陸翔(りくと)「泣くな! 忍び込むぞ!」
  先程、父親が鍵を閉め忘れた窓から侵入
  だが子供が戻ってきた!
  戻った両親に掴まる三人

〇コンビニのレジ
  雪瑠は買物中、園長を見かけた
  園長は、子供達を探しているようだった
  警察官である恋人から、連絡が入る
卓也(たくや)「クリスマスだけど、ちょっと遅れるかも」
雪瑠(ゆきる)「何か事件?」
卓也(たくや)「大事件が・・・でも安心してくれ 俺はそっちには、回されてないから」
雪瑠(ゆきる)「大事件って?」
卓也(たくや)「今は言えない それより、俺の仕事は子供のお守さ 孤児が民家に不法侵入した」
雪瑠(ゆきる)「孤児? 不法侵入!?」
卓也(たくや)「とにかく、ちょっと遅れるから」
雪瑠(ゆきる)「あ、待って、その子供達って・・・」
  電話が切れた
  スマホのニュース速報
  『護送車事故で殺人犯が逃走
  クリスマスの街に恐怖!!』
雪瑠(ゆきる)「・・・・・・」
  胸騒ぎに駆られる雪瑠だった
  街に出た子供達の運命は?
  そして殺人鬼の行方は??
  
  次回、乞うご期待!!

次のエピソード:第二話 妖怪屋敷

コメント

  • 徐々に大事になっていく様子がワクワクしますね☺
    逃走犯がサンタ姿なのもイイですね❕

  • 子供たちの素直な感情がむき出しになる展開は見入ってしまいますね。前作の性的感情がむき出しになるキャラ達とはまた違った魅力でw
    クリスマス・子供たち・サンタ、そんな取り合わせに加えられる殺人犯、どうなることやら楽しみになります!

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