恋のキューピッド

星月 光

天使と少年(脚本)

恋のキューピッド

星月 光

今すぐ読む

恋のキューピッド
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇教室の外
歌原 亮「・・・・・・」
歌原 亮「・・・うわっ!」
「悪い! ボール投げ返して!」
歌原 亮「うん・・・」
「どこ投げてんだよ!」
歌原 亮「ご、ごめん・・・」
歌原 亮「・・・はあ」
「そこの人ー! どいてくださーい!」

〇空

〇教室の外
ライラ「着陸成功! ご協力、感謝します!」
歌原 亮「なっ、あ・・・ 天使・・・!?」
歌原 亮(コスプレか? でも今、空から降ってきた・・・よな?)
ライラ「はい! わたし、天使のライラです」
ライラ「あなたにお願いが──」
歌原 亮「やべっ」
歌原 亮「ごめん、他あたって!」
ライラ「あ、待って!」

〇教室
教師「じゃあ今日は52ページから──」
教師「ん? 窓側の一番後ろの席の奴、休みか?」

〇学校の廊下
「誰の席?」
「さあ?」
「ま、いいか 授業やるぞ」
歌原 亮(・・・帰ろっかな)
ライラ「もー! 急にいなくならないでくださいよ!」
歌原 亮「あ・・・」
ライラ「お願い! あなたにしか頼めないの!」
歌原 亮「・・・・・・」

〇学校の屋上
ライラ「わー! いい眺め!」
歌原 亮「・・・で、オレに頼みって?」
ライラ「ええと・・・」
ライラ「わたしと一緒に世界を愛で満たしましょう!」
歌原 亮「・・・は?」

〇公園のベンチ
ライラ「わたしの使命は恋の手助けをすることなのですが・・・」
ライラ「いつもうまくいかなくて・・・」

〇雲の上
ライラ「天使長からお叱りを受けてしまって・・・」

〇学校の屋上
ライラ「100組の恋を成就させるまで天界へ帰れなくなってしまったのです」
歌原 亮「営業ノルマかよ」
ライラ「そこで歌原さん!」
ライラ「わたしのお手伝いをしていただきたいのです!」
歌原 亮「・・・具体的には?」
ライラ「お互いに気になっている2人に声をかけて、接近のチャンスを作っていただけると」
ライラ「そこをわたしが、矢でズバンと!」
歌原 亮「オレには無理だよ」
歌原 亮「人としゃべれないし、みんなに忘れられてるし・・・」
ライラ「わたし・・・ 天界へ帰れないの?」
ライラ「お父さま、お母さま もうお会いできないの・・・?」
歌原 亮「わかった! 手伝う! 手伝うから!」
ライラ「ありがとう!」

〇教室
ライラ「歌原さん、頑張って!」
歌原 亮「あの、河瀬さん?」
河瀬「誰だおまえ」
歌原 亮「これ、渡すようにって」
河瀬「誰から?」
歌原 亮「オレは頼まれただけで・・・」
河瀬「・・・いたずらだったら殺す」
ライラ「殺すというのは肉体的にでしょうか? それとも社会的に?」
歌原 亮「ほんとに河瀬さんなんだよな!?」
ライラ「たぶん」
歌原 亮「もっと自信持ってくれよ!」
ライラ「たぶん!」
歌原 亮「そうじゃない」
ライラ「・・・さ、わたしたちも行きましょう!」
歌原 亮「あ、こら!」

〇図書館
歌原 亮「意外だ・・・」
ライラ「恋愛は正反対な2人のほうが案外うまくいくものです」
ライラ「・・・ってお母さまが」
歌原 亮「・・・ライラ! 今だ、矢を!」
ライラ「えっ・・・はい!」
ライラ「初めてできた・・・」
歌原 亮「よかったな」
ライラ「ありがとう! 歌原さんのおかげです!」
歌原 亮「オレは別に・・・ 矢を射たのはライラだろ」
ライラ「ううん わたし、適切なタイミングがわからなかったもの」
ライラ「あなたが協力してくれてよかった!」
歌原 亮「・・・あと99組もあるんだろ 喜ぶのはそのときにしとけよ」
ライラ「もー、照れちゃって!」
歌原 亮「なんでそういうのはわかるんだよ・・・」

〇川沿いの道
ライラ「歌原さん 好きな方はいないのですか?」
歌原 亮「なんだよ急に!?」
ライラ「ご協力のお礼に、100組目のカップルは歌原さんにしようかと」
歌原 亮「気が早いな」
ライラ「歌原さんが一緒なら、100組なんてすぐですよ!」
歌原 亮「・・・絶対オレには矢を射るなよ」
ライラ「どうして?」
歌原 亮「オレみたいな奴を好きにさせられる子が可哀想だろ」
ライラ「歌原さん、それは・・・」
歌原 亮「もういいだろ 明日は街に行くぞ」
ライラ「・・・はい」

〇渋谷駅前
ライラ「わー、すごい人!」
歌原 亮「ここから198人選べばすぐじゃないか?」
ライラ「やみくもにくっつければいいってわけじゃありません」
ライラ「人には相性がありますもの」
歌原 亮「なんか普通に諭された」
ライラ「・・・あ!」
ライラ「前にわたしが失敗した・・・」
ライラ「名誉返上のチャンスです! 行きましょう!」
歌原 亮「挽回な」

〇テーブル席
ライラ「汚名挽回ができました!」
歌原 亮「返上な」
ライラ「これ、おいしいです!」
歌原 亮「次は人が多いところに行くか 確か水族館が近くに・・・」
ライラ「水族館?」
歌原 亮「魚がいっぱいいて・・・」
ライラ「お魚ですか? 食べてみたいです!」
歌原 亮「・・・寿司屋のほうがいいか?」

〇水中トンネル

〇たこ焼き屋

〇教室
ライラ「さっきの人たちで99組・・・」
歌原 亮「もうすぐ帰れるのか」
ライラ「・・・はい」
歌原 亮「あんま嬉しそうじゃないな」
ライラ「そんなこと・・・」
「・・・・・・」
歌原 亮「・・・あのさ」
歌原 亮「・・・ライラと一緒で楽しかったよ」
ライラ「歌原さん・・・ わたしも・・・」
池田「歌原くん 今、ひとり?」
歌原 亮「い、いや・・・」
池田「歌原くん」
池田「好きです」
歌原 亮「え・・・!?」
池田「ずっと見てたの それで・・・」
歌原 亮「・・・ごめん」
ライラ「歌原さん!」

〇教室の外
ライラ「歌原さん、待って!」
歌原 亮「・・・ライラがやったのか?」
歌原 亮「彼女がオレを好きになるように!」
ライラ「・・・それは違います」
ライラ「あの方は言いました 歌原さんをずっと見ていたと」
ライラ「頼まれなくてもお花に水をあげたり」
ライラ「・・・困っている人をほっとけなかったり」
ライラ「そういう優しさを知っているから、あの方は歌原さんを好きになったのですよ」
歌原 亮「・・・・・・」
ライラ「知ってるでしょう? わたしの矢は、人を無理矢理好きにさせるものじゃないって」
ライラ「歌原さん もっと自信を持って、ね?」
歌原 亮「・・・オレなんて、いてもいなくても同じだと思ってた」
歌原 亮「けど・・・ こんなオレを見てくれてる人がいたんだな・・・」
ライラ「行ってください わたし、見守ってますから」
歌原 亮「・・・ありがとう」

〇空
ライラ「これで100組目・・・」
ライラ(どうして手が震えるの・・・?)
ライラ(こんなこと、今まで・・・)
ライラ(・・・そっか、わたし・・・)
ライラ(・・・歌原さん)
ライラ(わたしに協力してくれたのがあなたでよかった)
ライラ(最初に出会った人間があなたでよかった・・・)
ライラ(お父さま、お母さま・・・ わたしに勇気をください!)
ライラ「歌原さん」
ライラ「わたしも、あなたと一緒にいて楽しかった」
ライラ「わたしのこと、ときどきは思い出してくださいね」
ライラ「どうか、お幸せに・・・」

〇川沿いの道
「歌原、彼女できたってマジ?」
歌原 亮「あ・・・うん」
「えー、意外!」
歌原 亮「・・・キューピッドのおかげかな」

コメント

  • 少しヒネた歌原くんと明るいライラの組み合わせが素敵でした!✨
    ギャグも秀逸で、「たぶん!(ピカー)」とか名誉(汚名)返上(挽回)とか笑いました😂
    キューピッドのノルマの性質上、行く先々が自然とデートコースになっちゃうのが憎いですね笑
    明るい未来と切ない別れが絡み合った結末もお見事で、よく練られた筋書きに感心してしまいました
    ヒネた少年大好きなので、美少女のみならず歌原くんの魅力も堪能しました🤤

  • 天使のイラストと天然である意味しっかり者のライラちゃんの表情がとてもマッチしていて、とても可愛かったです!
    ライラちゃんだけでなく、歌原くんも成長していくのが素敵でした。二人とも、少しづつ心が変わっていき最後はハッピーエンドなのに切ない……。でも、とても温かい気持ちになりました。
    素敵な物語ありがとうございました!(予選通過おめでとうございます!)

  • 最後にライラちゃんと歌原君の2人とも、前に進む姿が良かったです。なんだか私も勇気をもらえたような気がします!素敵なお話でした。

コメントをもっと見る(6件)

ページTOPへ