プリン窃盗事件の真相(脚本)
〇明るいリビング
アカリ「誰や・・・」
アカリ「私が買うた、お一人様につき一個限りの、特製濃厚プリン食うたの・・・」
アカリ「誰や—!!」
「え!?」
アカリ「とぼけるつもりか?」
アカリ「なにが「え?」やねん」
アカリ「この家にはこの4人しかおらん」
アカリ「私がヌヌの散歩に行ってる合間にこの中の誰かが食べたんや」
アカリ「もし全員、心当たりが無い言うつもりなら、ウチが徹底的に全員の部屋を調査するで!」
リン「それって、冷蔵庫に入ってたプリンだよね?」
アカリ「リン姉が隠しておいたプリン見つけたんか!?」
アカリ「まさか、リン姉が・・・」
アカリ「意外や意外、 敵は思わぬところに潜んどるもんやな」
リン「ちょ、ちょっとまってよ! 私は食べてない! それは、ショウ君が・・・」
ショウ「お、おい! リン、何言ってんだよ!」
ショウ「心当たりはありまくりだけど、 あれはヒロさんが買ってきてくれたやつだと思ってたし、俺は食ってねえ!」
ヒロ「俺は買ってきてないぞ?」
ショウ「え!?」
ヒロ「ショウが食べてくれってメモと一緒にプリンくれたから、ありがたく・・・」
アカリ「ヒロ兄が食べたんか!? しかも、ショウが渡した!?」
アカリ「どういうことやねん? 誰か説明しーや!!」
〇繁華な通り
数時間前・・・
アカリ「ふっふふ~ん♪」
アカリ「話題の特製濃厚プリン、やっと手に入れたわ~」
アカリ「朝一で並んだ甲斐があったな!」
アカリ「絶対あの3人には秘密にせんと・・・」
〇シックな玄関
アカリ「ただいまぁ・・・?」
シーン
アカリ「よし、一階には誰もいーひんな!」
〇おしゃれなキッチン
アカリ「ひとまずプリンを冷蔵庫に入れて、ヌヌの散歩行った後にゆっくり食べよ!」
ヌヌ「ワン!」
アカリ「くぅ~!今日だけはお前が憎い! すぐにでも食べたいんやけどな!」
アカリ「さっさと散歩するで!」
〇駅前広場
ショウ「いいな~、食べたいなぁ~」
ヒロ「あれ、ショウ。今帰りか?」
ショウ「ヒロさん!お疲れ様っす!」
ヒロ「どうした? ケーキ食いたいのか?」
ショウ「いえ、ケーキじゃなくて、 ここの特製濃厚プリンって知ってます?」
ヒロ「いいや?知らないな」
ショウ「一人につき一個しか買えない、 数量限定の超人気プリンらしくて、」
ショウ「朝っぱらから並ばないと手に入らないんですって!」
ヒロ「そうなのか」
ヒロ「俺、もうジジイだから、 流行りに疎くてさ」
ヒロ「全然知らなかったよ」
ショウ「その、ジジイキャラやめてくださいよ なんか悲しくなるから・・・」
〇おしゃれなキッチン
リン「あれ、なにこれ?」
リン「これってもしかして・・・ 話題の特製濃厚プリン?」
リン「すごい、手に入ったんだ!」
リン「確かショウ君が食べたいって言ってたし、 ショウ君のだよね」
リン「こんなところに置いてたら、誰かに見つかって食べられちゃいそう・・・」
リン「もうすぐショウ君帰ってくるか」
ヒロ「ただいまー」
リン「ヒロさん!おかえり」
リン「ショウ君より早く帰ってくるの、珍しいね」
ヒロ「そういえば駅前でショウに会ったよ」
ヒロ「ランニングしてから帰るってさ」
リン「そっか。了解!」
リン(・・・ランニングか)
リン(保冷剤つけておけば、 冷蔵庫の外でも多少はもつよね)
リン(部屋に置いておいてあげよう)
〇本棚のある部屋
ヒロ「ふぅ、今日も疲れたな」
ヒロ「ちょっとネット漁ってから、 仮眠しようかな」
ヒロ「ショウのやつ プリンが食べたいとか言ってたな・・・」
ヒロ「ちょっとレシピでも調べてみるか」
カタカタカタ
カタカ・・・
ヒロ「スー・・・スー・・・」
〇明るいリビング
ショウ「ただいまー!」
ショウ「あれ、誰もいねえ」
〇白いバスルーム
リン「らんらんらーん、らららら~♪」
〇明るいリビング
ショウ「あ、リンは風呂か」
〇学生の一人部屋
ショウ「あれ、なんか机に置いてある」
ショウ「・・・」
ショウ「こ、これは!?」
ショウ「あの特製濃厚プリンじゃねーか!!」
ショウ「メモがついてる!」
共用冷蔵庫は危険なので
こちらに置いておきます
ショウ「もしかして、ヒロさんが・・・!!」
ショウ「でも、どうやって手に入れて・・・!?」
ショウ「ヒロさァん!!」
〇本棚のある部屋
ショウ「ヒロさァん!! これってどういう・・・」
ヒロ「スヤァ・・・」
ショウ「寝ている」
ショウ「ん?何かパソコンで調べてたのか?」
『有名店の味を再現!?プリンの作り方』
ショウ「ヒロさん!!」
ショウ「俺がプリン食いたいって聞いただけで ここまで・・・」
ショウ「この特製濃厚プリンは、 俺が食って良い代物じゃねえ!」
ショウ「ヒロさんが召し上がるべきだ!!」
ショウ「ヒロさん、ありがとう!!」
〇本棚のある部屋
ヒロ「はっ!」
ヒロ「あ、レシピ調べてたら寝ちゃったのか」
ヒロ「ん?」
これはヒロさんが食べてください!
俺は、
ヒロさんの作ったプリンが食いてえ!
ヒロさん、最高だ!
ヒロ「・・・え?」
ヒロ「これ、ショウが言ってた人気プリンか!!?」
ヒロ「あんなに食べたがってたのに どうして俺に・・・?」
ヒロ「やけに文面のテンション高いな・・・」
ヒロ「よくわからないけど・・・」
ヒロ「せっかくだし、有難くいただきますか」
〇明るいリビング
アカリ「な・・・」
アカリ「なんやそれー!!」
ヒロ「ま、まさか、アカリのだったとは・・・」
ショウ「勘違いが勘違いを生んでこんがらがったんだな・・・」
リン「ごめん、私が余計な事しちゃったから・・・」
アカリ「うちの楽しみが・・・」
アカリ「はぁ・・・」
ヒロ「・・・あの、さ、」
アカリ「うん?」
ヒロ「代わりにはならないだろうけど、」
ヒロ「さっき、プリンを作ってみたんだ」
※プリンです
ショウ「ヒロさん・・・!」
ヒロ「ショウの残したメモで 俺が作る前提になってたしな」
ショウ「た、確かに!」
ショウ「なんか、作らせたみたいですんません」
リン「でも、すごくおいしそう!」
アカリ「・・・」
ヒロ「本物は、今度俺が買ってくるよ」
ヒロ「ごめんな、アカリ」
リン「私も行くよ」
リン「二人で行けば、二個買えるしね」
ショウ「俺も、行くよ!」
アカリ「・・・」
アカリ「独り占めしようとした、 罰があたったんや」
アカリ「みんな悪気はないってわかったし、 もう怒ってない」
アカリ「あと、ウチも、一緒に買いに行く!!」
「アカリ・・・!!」
ヒロ「よし、こうなったら、早起きしないとな」
ヒロ「ジジイの特技だ、任せてくれ!」
ショウ「だからヒロさん、 ジジイキャラやめてくれって!」
リン「ねえ、早くプリン食べようよ!」
アカリ「食べる食べるー!」
謎が謎を呼ぶ事件(?)でしたが、こんなにいろいろな偶然が重なってたとは思いませんでした!
アカリちゃんがかわいそうでしたが、みんなでプリンを買いに行くことになってよかったです。
プリンが4人の手に渡る度にどんどん感動的な食べ物になっていってしまうのが笑えました。ミステリー的にも面白かったですし、優しい終わり方でほっとしました。4人とも愛すべきキャラクターで魅力的ですね!
タイトルに興味を惹かれ、読んでみるとストーリーもつい楽しくて笑ってしまいました。(笑)食べ物の恨みは怖いですよね、分かります。楽しいお話しでした。