エピソード1(脚本)
〇神殿の門
バキィッ ピキピキ・・・
振り払っても振り払っても、結晶が俺の体を包んでいく。
???「どういうつもりだ!!」
???「貴方には眠って貰います」
???「なっ・・・・・・」
???「厄災の脅威を初めて生きて封じた貴方には、未来でも希望になって頂かねばなりません」
???「っ・・・・・・・・・・・・」
単なる厄介払いだろうが・・・・・・っ。
視界の端には顔を逸らしている弟の姿。
お前も・・・・・・俺が・・・・・・要らないのか。
その頃には全身を覆われ・・・・・・俺の意識は黒く染まった。
〇レトロ
──遥か古の時代。
まだ、人と神が共存していた頃。
人は神の加護下において繁栄していた。
神は人の祈りを糧としていた。
しかし、人は愚かで弱い存在。
軈て、人は神に祈りを捧げるのを止め、己の欲の為に争いを始めた。
神は人に失望し、天界へと姿を消していった。
神が消えた地は穢れ・・・・・・厄災が生まれた。
厄災は魔族と魔物を生み出し、地を飲み、侵略していった。
人は彼のモノ等に対抗する術もなく、滅びの道を辿った。
しかし、そんな中でも希望はあった。
唯一地上に残った女神アルテリス。
女神は祈りを捧げ続けていた兄妹に応え・・・・・・
兄には厄災に対抗する力を。
妹には厄災から護る力を。
兄妹は仲間と共に立ち上がり、厄災に立ち向かった。
そして長い長い戦いの中、兄は倒れる。
だが、厄災も追い詰められた事で弱体し、回復の為に深い眠りに就いた。
その戦いから百年後。
厄災は再び猛威を振るう。
立ち上がったのは妹の子孫である姫巫女、兄の子孫である勇者だった。
だが、兄妹ではない彼等には受け取れる恩恵に限度があった。
其に姫巫女が女神からの恩恵を受け取り、己の分も込めて勇者へ渡す事で厄災へと立ち向かう力を手にした。
しかし、戦いは終わらなかった。
勇者は厄災を追い詰めるが、倒す前に恩恵が尽きてしまい、厄災は再び回復の為に眠りに就いた。
そして、百年に一度・・・・・・厄災と姫巫女に選ばれた勇者との戦いは繰り返される。
其に終止符を打ったのは一人の勇者だった。
勇者は騎士団を結成した弟と共に戦い、誰よりも姫巫女と心を通わせ、かつての兄の再来とも言える程の力を持っていた。
そして、遂に勇者は厄災を封じ込めた。
己では勝てずとも、封じ込める事で回復を妨げ、厄災に対抗する力を育てる為に。
勇者自身も姫巫女により封じられ、厄災の目覚めに備えた。
勇者がもたらした平穏により、人は再び繁栄の道を進む。
やがて長い年月が経ち・・・・・・人は忘れてしまった。
まだ勇者と厄災が封じられている事を──
To be continued.