ゴリラなんかじゃない!(脚本)
〇水玉2
あたしが告白して断る男子はいなかった
幼稚園年長の時の佑樹くん
小学校4年の時の翔くん
中学二年生の時の直人くん
それなのに・・・
〇フェンスに囲われた屋上
宮原 悟「ごめん、橋本と付き合えない・・・」
橋本 菜津「そんな!付き合ってる人でもいるの?」
宮原 悟「そういう訳じゃないけど・・・」
橋本 菜津「それなら好きな人が・・・?」
宮原 悟「う、うん・・・」
橋本 菜津「誰よ?」
橋本 菜津「言ってくれなきゃ納得できない!」
宮原 悟「俺が好きなのは・・・」
宮原 悟「馳川だよ」
橋本 菜津「う、嘘・・・あの馳川?」
あのゴリラ女にあたしが負けた?
〇教室
橋本 菜津「やっと授業終わった!帰ろ!」
教師「橋本さん、今日あなた日直でしょう?」
橋本 菜津「あ、忘れてた!亜季先生手伝ってよ!」
教師「なに言ってるの! 馳川さんと当番ですからね!」
橋本 菜津(はぁ・・・しんど・・・)
馳川 花音「ふんっ・・・!」
馳川は窓際で黒板消しを叩いている
橋本 菜津(黒板消しクリーナー使えばいいのに)
橋本 菜津(やっぱり馳川は変・・・)
よりにもよって馳川と日直当番なんてついていない
橋本 菜津(でもこれはチャンスかもしれない・・・)
橋本 菜津(みんな帰っちゃったから二人きりだし)
橋本 菜津「馳川さんは好きな人とかいないの?」
馳川 花音「え、なに?いきなり?」
橋本 菜津「あたし馳川さんと仲良くなりたいんだぁ。 お互いのこと全然知らないじゃん?」
馳川 花音「好きな人ならいるけど・・・」
橋本 菜津「・・・宮原じゃないよね?」
馳川 花音「宮原くん?違うよ・・・ わたしが好きなの翔太くんだから」
橋本 菜津(他に好きな人がいるのね!)
橋本 菜津(翔太って名前の同級生知らないけど、他校かな?まあ都合がいいわ!)
橋本 菜津「あたし、馳川さんの恋を応援してあげる!」
馳川 花音「そんな大丈夫だよ!」
馳川 花音「わたし橋本さんみたいに可愛くないし・・・」
馳川 花音「私じゃ翔太くんに相応しくない」
橋本 菜津「そんなことないよぉ!あたしに任せて」
橋本 菜津(馳川の恋が成就すれば)
橋本 菜津(宮原はあたしの物になるはず!)
〇ショッピングモールの一階
ショッピングモール
橋本 菜津「相手を振り向かせるにはお洒落から! メイク道具を買いに行くわよ!」
橋本 菜津「馳川さん、どうしたの?」
馳川 花音「私、こうやって学校帰りに友達と寄り道するのに憧れてたの!」
馳川 花音「橋本さんと来れて嬉しい!」
橋本 菜津「あ、あたしも・・・」
橋本 菜津(友達か・・・)
馳川 花音「橋本さん、あそこ見て」
迷子「ママどこなの?」
馳川 花音「お嬢ちゃん大丈夫?どうしたの?」
迷子「ひっ・・・」
橋本 菜津(くそ怯えてんじゃん・・・)
馳川 花音「ママとはぐれちゃったの?」
迷子「うん・・・」
馳川 花音「きっとママは迷子センターで待ってるよ! 一緒に行こうか」
迷子「うん・・・!」
橋本 菜津「馳川さん、小さい子の扱いに慣れているのね」
馳川 花音「うちは兄弟が多いから、よく下の子の面倒見てるんだ」
橋本 菜津(同じクラスなのに私は馳川のこと全然知らなかったな・・・)
迷子センターに行くと親御さんが女の子を待っていた
迷子は無事に親御さんの元に戻った
馳川 花音「良かったね!」
橋本 菜津「そうだね」
〇試着室
それから学校帰りに二人で寄り道をするようになった
橋本 菜津「わたしが選んだ服どう?」
馳川 花音「ごめんサイズが合わない・・・」
橋本 菜津「・・・次行くわよ次」
馳川 花音「菜津ちゃん、ごめん・・・」
橋本 菜津「もう!泣かないの!!!」
〇女の子の部屋
馳川 花音「フギャー!」
馳川 花音「マスカラが目に入った!」
橋本 菜津「花音、大丈夫? あたしがやるから貸して」
それから花音の部屋でメイクの練習もした
橋本 菜津「ほら、いい感じじゃない!」
馳川 花音「ほんと?ありがとう!」
馳川 花音「菜津ちゃん、あのね・・・」
馳川 花音「わたし今度翔太くんに思いを伝えようと思う・・・」
橋本 菜津「本当に?いいじゃん!伝えなよ!」
馳川 花音「うん!頑張ってみる!」
邪な目的で花音に近づいていたのに
あたしはいつのまにか心のそこから
花音の恋を応援していた
橋本 菜津(だって花音は優しくて可愛い女の子だから)
橋本 菜津(報われてほしいって思っちゃうじゃん?)
〇学校の廊下
後日、放課後──
橋本 菜津(やっちゃった・・・)
橋本 菜津(教室に忘れ物するなんて最悪・・・)
橋本 菜津(花音を待たせてるし早く戻ろう)
橋本 菜津(教室から宮原の声がする・・・)
橋本 菜津(誰と話してるんだろう?)
あたしは教室を覗いた
〇教室
同級生「なぁ、橋本に告白されたんだって? なんで断ったの?」
宮原 悟「橋本やじゃん・・・わがままだし」
同級生「可愛いのにもったいない! どうやって断ったんだよ?」
宮原 悟「馳川が好きだって言って断ったよ」
同級生「お前、馳川が好きなのか!?」
宮原 悟「あんなゴリラ女好きなわけないじゃん」
同級生「だよな・・・」
橋本 菜津「あんた、いまの話なに?」
宮原 悟「げっ・・・」
橋本 菜津「謝りなさいよ!」
宮原 悟「ごめんそんなつもりじゃ・・・」
橋本 菜津「花音に謝れって言ってるの!」
宮原 悟「えっ・・・?」
橋本 菜津「花音はすごく優しくていい子なのよ!」
馳川 花音「菜津ちゃん、遅いから迎えに・・・」
馳川 花音「え、なに?」
橋本 菜津「花音に謝らないなら、 宮原、一発殴らせろ!!」
宮原 悟「そんな無茶苦茶な・・・」
馳川 花音「やめて!暴力はなにも解決しないから」
馳川 花音「わたしのために争わないでー!」
「は、はい・・・」
〇学校の廊下
馳川 花音「もう、ビックリしちゃった・・・!」
橋本 菜津「ごめん、心配かけて・・・」
橋本 菜津(でも、あたしも宮原と変わらないのかも・・・)
橋本 菜津(花音のことなんにも知らないのに、酷いこと思っていた・・・)
馳川 花音「菜津ちゃん、どうかした?」
橋本 菜津「花音、ごめん・・・」
馳川 花音「えっ?」
橋本 菜津「あたしは本当は花音が思うほど可愛くないし、綺麗じゃない」
馳川 花音「菜津ちゃんは可愛いし、優しいよ」
馳川 花音「わたしのために怒ってくれたでしょ?」
馳川 花音「菜津ちゃんがいたから、私は自分に自信持てるようになったんだよ」
馳川 花音「菜津ちゃんは凄い!」
橋本 菜津「ありがとう・・・」
馳川 花音「翔太くんにファンレターも初めて送れたし」
橋本 菜津「え、ファンレター?」
馳川 花音「グローバルアイドルグループのセブンプリンスの翔太くん知らないの?」
馳川 花音「嘘でしょ!」
橋本 菜津(そうだったんだ・・・)
橋本 菜津(翔太くんってアイドルだったんだ・・・)
橋本 菜津(わたしまだ花音のこと知らないことたくさん)
橋本 菜津「今度、そのアイドルのライブの動画見せてよ」
馳川 花音「うん!一緒に見よう!」
馳川花音はゴリラなんかじゃない
あたしの大好きな友達だ
花音がカワイイ!
女の子同士の友情、素敵です。
ラストめっちゃ良くて涙が出そうになりました。中身も見た目も二人ともめっちゃ可愛いです!!!末永く仲良くお幸せに(^^)/
人は見かけによらぬもの、というのを体現させてもらったような気持ちになりました。
友情の芽生えの形はなんにせよ、こうして親友となっていく様は込み上げるものがありますね!