ペットショップ

セーイチ

E.ドアを開けて話をする(脚本)

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〇整頓された部屋
  私は・・・
愛依「わかりました、ちょっと待って下さい」
  私は刑事さんを部屋へ招き入れた
  そして過去に樹と付き合っていた事、先日復縁を迫られた事を説明した
  変にごまかす方が、後々面倒な事になりそうな気がしたから
刑事「なるほど・・・それ以降、被害者とはお会いしてないんですね?」
愛依「はい、元々私から連絡するつもりはありませんでしたし・・・」
刑事「なるほどなるほど・・・」
  更にアリバイなどの確認もされたが、私は全てを正直に答えた
刑事「お時間を頂き、ありがとうございました」
刑事「まだ捜査中ですので、事件か事故かは断言できませんが・・・」
刑事「事件の場合、容疑者が身近な人間の可能性もありますので」
刑事「夜道など、出来るだけ一人で出歩かないようにしてください」
愛依「わかりました、気を付けます」
刑事「それでは、失礼します」
  刑事さんは会釈をして帰って行った
愛依「ふぅ・・・」
愛依「コレで疑いが晴れた・・・なら良いけどなぁ」
  一人暮らしで在宅ワークとなれば、アリバイを他人に証明して貰う事は難しい
  しかし、今の世の中そこら中に監視カメラが設置されている、調べればきっと私が映ってる映像があるはずだ
  その時間が、樹の死亡時刻なら・・・
  いや、今考えるべきはそれじゃない
愛依「刑事さんの言うように、樹の死が殺人なら容疑者が身近にいる可能性もある」
愛依「まずは身の安全の確保だ」
愛依「・・・・・・」
愛依「ふっ・・・」
愛依「元カレが死んで、まず考える事が身の安全かぁ・・・」
愛依「私って・・・嫌な人間だったのかな・・・」

〇整頓された部屋
  それから私は、刑事さんに言われたように出来るだけ出歩かないようにした
  買い物もネットで済ませ、受け取りも置き配
  仕事で人に会う時も、可能な限り人目の有るところでしか会わず、昼までには帰宅できるようにした
  しかし樹の葬儀も終わり、事件も報道されなくなってくると、自然と私の警戒心も薄れて行った
  そんなある日・・・

〇通学路
  仕事関係でどうしても外出する必要が有り、しかも帰宅が遅れてしまった
  おまけに公共交通機関を使用したため、バス停からマンションまで歩く事になった
  完全に油断していた・・・
  例えワンメーターでもタクシーを使うべきだった

〇通学路
  その影は、私の背後から覆いかぶさるように襲い掛かって来た
愛依「きゃっ・・・むぐぅ!!!!」
  私は口をふさがれ、叫び声を上げる事もできない
愛依「むぐぅぅううううう!!!!」
  必死に抵抗するも、私は口をふさがれたまま路地へと引きずられてしまう
  もの凄い力だ、振り解こうとしてもビクともしない
・・・「静かにして下さい・・・」
  冷たい何かが、私の首筋に押し当てられる
  怖い・・・
  怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・
  助けて・・・
  誰か・・・助けて・・・
  脳裏にテレビで流れた映像が再生される

〇テレビスタジオ
アナウンサー「なお、死因は頸動脈を切断されての失血性ショック死と見られており・・・」

〇通学路
愛依「うぐ・・・く・・・」
  冷たい何かが、私の首を押し込んだ
  ・・・死ぬ?
  私・・・死ぬの?
  樹のように・・・
・・・「ふふふ・・・」
  私はせまりくる恐怖に、抗う事すら忘れていた
  いや、諦めていた・・・
愛依「・・・」
  その時・・・

〇通学路
警察官「そこで何をしている!!」

〇通学路
・・・「!!!!!!」
  突然の事で状況を把握できない私
  だが私を羽交い絞めにしていた男は、瞬時に駆け出した
警察官「待て!!」
婦警「大丈夫ですか!?」
愛依「え・・・あ・・・」
婦警「もう大丈夫ですよ」
  優しく語り掛けてくれる制服姿の女性
  私はようやく、警察が駆け付けてくれたのだと理解できた
愛依「うぅ・・・うわぁああああ・・・」
  緊張感から解放されたためか、私は婦警さんに肩を抱かれながら、子供のように大泣きしてしまった

〇テレビスタジオ
アナウンサー「先日傷害容疑で逮捕されたペットショップ店長の橋川容疑者ですが・・・」
アナウンサー「同県で発生していた、複数の殺人事件の容疑者として再逮捕されました」
アナウンサー「その被害者は樹さんを含め、判明しているだけで3名」
アナウンサー「捜査の状況次第では、更に被害者が増える可能性もあるとの事です」
アナウンサー「橋川容疑者は、自身の経営するペットショップに客として来店した女性に目をつけ、犯行に及んでいた模様です」
アナウンサー「男性である樹さんを殺害した動機については、今後の捜査での解明が期待されています」
アナウンサー「・・・それでは次のニュースです」

〇警察署の入口
  その後、警察で何度か調書を取られた際に刑事さんと話す事で、何となく事件の概要が見えてきた
  どうも私は、ペットショップに行った時から容疑者である店長に目をつけられていたらしい
  そしてあの夜も、店員には配達と称して私を尾行していた
  そして私を待ってい樹を発見したのだが・・・
  何と、私達が別れた切っ掛けになった樹の浮気相手、それが店長の奥さんだったらしい
  店長は浮気発覚時の怒りが再燃し、樹を手に掛けた
  因みに浮気発覚後、店長は奥さんが失踪したと警察に届けていたそうだが
  警察の見解は、もう生きていないだろうとの事
  もちろん、犯人は店長
  そして、その件が切っ掛けで店長は次々と凶行を重ねるようになったのではないか・・・
  警察は、そう考えているらしい
愛依「・・・・・・」
愛依「結局、私はどうすれば良かったのかな・・・」
愛依「・・・・・・」

〇田舎駅のホーム
  事件後、私は会社に在宅だけでできる部署に転属依頼を出した
  会社も事件の概要は知っていたので何とか受理され、私は住んでいた街を離れた
  あの街には、もう住んでいたくなかったから

〇簡素な一人部屋
  新たな地で仕事に没頭していると、あっという間に時間は過ぎてしまう
  何時しか事件のフラッシュバックも薄らいだ頃、友人から何気ない連絡が届く

〇廃倉庫
友人「あのペットショップ、潰れたら手つかずでさ、今は廃墟みたいになっているよ」
  っと
  しかも、夜になると女の泣き声と犬の鳴き声が聞こえてくるというオカルト設定付きだ
  私は友人の悪趣味なメッセージを軽く流しておいた
  もう、私には関係のない事・・・

〇簡素な一人部屋
  私は新天地で、新しい人生を歩むと決めたんだから
  新たな家族と一緒に
愛依「茶々〜トラ〜ご飯だよ~」
茶々「わう♪」
トラ「にゃあ♪」
  私は、あのペットショップが閉店すると聞いた時に、茶々とトラを飼うことに決めた
  処分されるかも知れないと知ったからだ
愛依「よしよし、今日も食欲旺盛でけっこうけっこう♪」
  今はこうして、一人と二匹で楽しく暮らしている
愛依「おっと、お水忘れてた・・・」
愛依「あっ!トラ!アナタまたトイレの砂こぼしたでしょ!」
トラ「にゃあ〜・・・」
茶々「・・・・・・」
  ・・・・・・・・・・・・・・・う

〇黒背景
  END

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