ノスフェラトゥの姫(脚本)
〇立派な洋館
???「急げ!」
???「この奥だ!」
〇黒
〇屋敷の書斎
イオリア「貴方、城が囲まれています」
アルベルト「分かっている もう長くは持たないだろう」
アルベルト「すまない、マリア 父が不甲斐ないばかりに」
イオリア「貴方、何を・・・」
イオリア「まさか!?」
アルベルト「もうこれしかこの子を生き延びさせる手はない」
アルベルト「許してくれ、マリア」
アルベルト「始めるぞ」
「マリア・・・」
〇黒背景
〇立派な洋館
ヴィクトル「チッ・・・どこへ消えた」
〇黒
〇立派な洋館
〇黒
〇黒
〇立派な洋館
ローラ「ハーイ、今日は普段は非公開のフロレスク城を特別に見学させてもらえる事になりました」
ローラ「迷子にならないよう班行動をとるようにね わかった?」
ローラ「そこお喋りしない!」
ローラ「それじゃ解散!」
〇城門の下
ジョエル「よし、皆あっちに行ったな」
ジョエル「普段は入れないんだから、どうせならもっと奥の方にいかなきゃ」
ジョエル「って、うわ!」
老人「おや、君 そちらは立ち入り禁止みたいだよ」
ジョエル「そうなんだ。間違えちゃったみたい!」
ジョエル「それじゃ!」
老人「・・・」
〇大広間
ジョエル「ふう、驚いた」
ジョエル「さてどっちに行くかな」
〇黒
〇洋館の廊下
ジョエル「凄い!王様になったみたい」
ジョエル「さて、気づかれる前に戻るかな」
ジョエル「・・・」
ジョエル「あれ?」
ジョエル「どっから来たっけ?」
〇黒
〇要塞の廊下
ジョエル「ここ、通ったっけ?」
〇黒
〇要塞の回廊
ジョエル「こんなとこ見た覚えないよ」
〇黒
〇洋館の廊下
ジョエル「何でこんなに暗いんだよ」
ジョエル「誰か──」
ジョエル「ひっ」
ジョエル「だ、誰!?」
ジョエル「!!」
ジョエル「女の、子?」
マリア「・・・」
ジョエル「はあ〜、ビックリした 君もこっそり忍び込んだの? どこのクラス?」
マリア「・・・」
ジョエル「あ、僕はジョエル 君は?」
マリア「・・・」
ジョエル「君、無口なほう?」
マリア「・・・マリア」
ジョエル「え? ああ、マリアっていうのか よろしくね」
マリア「今は何年?」
ジョエル「今年? 20※※年だけど」
マリア「そう、 そんなに経っていたのね どうりで──」
ジョエル「お腹減ってるの? こんなのでよかったら」
マリア「・・・」
マリア「・・・」
マリア「いい」
ジョエル「あ、そう・・・ 実は帰り道がわからなくなっちゃったんだけど、マリア、知ってる?」
マリア「外に出たいの? 知っているわ」
ジョエル「ホント!? それじゃ悪いけど連れてってくれないかな」
マリア「いいわ ついてきて」
ジョエル「あ、待ってよ、マリア!」
〇黒
〇城門の下
ローラ「困ったわ、 ジョエルどこに行ってしまったのかしら」
老人「おや、どうかされませたかな?」
ローラ「ええ、実は──」
老人「・・・ふむ その少年、確かに見ましたよ」
ローラ「本当ですか!? いったいどこで?」
老人「向こうの方です よし、案内しましょう」
ローラ「ああ、助かります」
老人「お気になさらずに」
〇黒
〇要塞の回廊
ジョエル「マリア凄いね! 城のこと全部わかってるみたい」
マリア「そう よく知っているわ」
ジョエル「へー、なんで?」
マリア「なぜなら──」
ジョエル「わっ!? 今の何、悲鳴!?」
マリア「近くにいる」
マリア「来る」
老人「おや、こんなところに人が」
老人「ああ、君がジョエル君か」
老人「先生が探していたよ」
ジョエル「え? 先生が!?」
老人「ああ、ほらここに」
ジョエル「先生!? まさか──」
老人「死んではいないよ 最近は人間の武器も捜査力も進歩してるので、あんまり派手にやれないからね」
ジョエル「な、何を!?」
老人「血を少しばかり多めに頂いたのさ」
ジョエル「血!?」
老人「おかげで久々に──」
ヴィクトル「本来の姿に戻る事が出来たよ」
マリア「!!」
ジョエル「若返った!?」
ヴィクトル「やはり若い女の血はいい そして折角の機会だ」
ヴィクトル「子供の血も味わうとしよう」
ジョエル「うわあっ」
マリア「ジョエル 私の後ろに」
ヴィクトル「おや、お嬢ちゃんが先かい」
ヴィクトル「聞き分けのいい子は嫌いじゃない──」
ヴィクトル「ぐあっ」
ヴィクトル「く、その動き、お前人間じゃないな」
マリア「そうよ まだわからないかしら」
マリア「ヴィクトル伯父様」
ヴィクトル「何!?」
ヴィクトル「お前」
ヴィクトル「マリアか!? そうか、私が見知っているのは幼い頃の姿だからな」
マリア「やっと気がついたわね」
ヴィクトル「だが何たる僥倖! 300年探し求めたものにこうして相まみえるとは」
マリア「同感だわ こうして我が怨敵に再会できるとは、父と母の御霊のお導きかしら」
ヴィクトル「ふっ お前の血と秘術を手にすれば、私は真の「永遠」を得るのだ!」
ヴィクトル「行くぞ」
マリア「!」
ヴィクトル「やるな だがこれはどうだ!」
ヴィクトル「ウラァ!」
マリア「くっ!」
ジョエル「マリア!?」
マリア「下がってて」
ヴィクトル「どうだ、300年積み上げてきた我が力は」
マリア「・・・」
マリア「こんなものが?」
マリア「戯れが過ぎるわ」
ヴィクトル「何!?」
マリア「定期的に血を飲まなければ姿も保てず、人より多少強い程度の力を振り回すだけ」
マリア「こんなものが不死とでも?」
〇黒
いいわ、本当の不死の力、見せてあげる
〇要塞の回廊
〇要塞の回廊
ヴィクトル「な、何だ!?」
ヴィクトル「ぐあっ」
ヴィクトル「ガアッ 腕が、脚が! 再生が間に合わない」
マリア「まだよ」
ヴィクトル「ギャアア」
ヴィクトル「マリア、すまない 私が悪かった、赦してく──」
ヴィクトル「ガッ」
マリア「伯父様、悔い改めるのが300年遅かったわ」
マリア「それに」
マリア「私、お腹が減っていてとても機嫌が悪いの」
ヴィクトル「ひっ」
マリア「肉と骨の一片たりとも残しはしない」
マリア「もちろんその血も」
ヴィクトル「──」
〇黒
〇要塞の回廊
マリア「300年ぶりの食事──」
マリア「不味い血」
マリア「ジョエル、もう大丈夫」
ジョエル「ひっ、あ、えと・・・」
マリア「もうお腹いっぱいだし、血を吸ったりしないわ」
ジョエル「あ、うん」
マリア「帰りたいんでしょう? ついてきて、その人は私が運ぶわ」
〇黒
〇立派な洋館
「500年前、王の密命を受けて不老不死の研究をしていた私の祖先は」
「偶然にノスフェラトゥを生み出す秘術を手に入れたの」
ヴィクトル「けれど300年前、父が当主の時伯父のヴィクトルが謀反を起こした」
ヴィクトル「たぶん不老不死の秘術を手に入れたかったのだと思う」
「伯父に捕まりそうになる直前、父と母は自らの血を用いて私に不死の秘術をかけて、隠し部屋と共に結界に封じた」
老人「不完全な不死の術を用いた伯父は、おそらく私が眠っていた300年間、秘術の在り処を探していた」
〇大広間
マリア「ここまでくれば大丈夫 早く人を呼んできなさい」
ジョエル「あ、ありがとう」
ジョエル「マリアはこれからどうするの?」
マリア「結界も解けて隠し部屋もいずれ見つかるだろうから」
マリア「その時はどこかへ去るわ」
ジョエル「そんな・・・」
ジョエル「じゃ、その時は遊びに来てよ これうちの住所」
マリア「私が人じゃなくても?」
ジョエル「もちろん!」
マリア「ありがとう」
マリア「ならば改めて名乗らせて」
マリア「私はマリア・フロレスク オルテア候アルベルトの娘」
マリア「でも」
マリア「家名はもうないし」
マリア「そうね、 これからはこう名乗ろうかしら」
〇黒
演出が丁寧に作り込まれて面白かったです。
スチルの黒を作った間とか、本当の不死が吸血鬼を丸呑みにすることが出来る設定などが楽しくて引き込まれました。
復讐を済ませたマリアちゃんには、明るい余生を過ごして欲しいものですね☺️
今後は姫らしく、ジョエルくんの家とかで養って貰う姿とかも想像すると楽しいですね🥴
こんな演出もあるんだ!と思いながら最後まで読ませていただきました。エッセイで物書きさんと仰っていたので、この世界観を2000字以内で収めるのって難しかったと思います。どんな展開になるの?と気になる作品でした。