妖狐のヨウコ(脚本)
〇黒背景
〇街中の道路
〇入り組んだ路地裏
〇壁
〇入り組んだ路地裏
陰陽師「行き止まりだ」
陰陽師「まさに袋の鼠──」
陰陽師「いや」
陰陽師「狐だな!」
陰陽師「祓うぞ、妖(あやかし)」
河童「お嬢、逃げてくだせぇ!」
かまいたち「ここはアッシらが!」
〇神社の石段
〇神社の本殿
ヨウコ「はぁ、はぁ」
ヨウコ「・・」
ヨウコ「うわーん!」
ヨウコ「怖かったよー!」
ヨウコ「いたいけな女の子を追い回して」
ヨウコ「「呪いの舞を止めろ」!」
ヨウコ「だなんて」
ヨウコ「私はただ」
ヨウコ「きつねダンスを踊ってただけなのにー!」
ヨウコ「呪いだなんて失礼よ!」
ヨウコ「グスンッ」
ヨウコ「テンション下がった」
ヨウコ「油揚げ食べて、もう寝よっ」
〇祈祷場
ママ「お帰り」
ヨウコ「ママ」
ママ「親分と呼びな!」
ヨウコ「ママはママだし」
ママ「いいかい、ヨウコ」
ママ「悲しいかな、時代は移ろいゆく」
ママ「ご覧」
ヨウコ「何これ?」
ママ「最新の妖番付さ」
ママ「我ら妖狐はドコにいるかしら?」
ヨウコ「えっと」
ヨウコ「72位! 口裂け女さんと人面犬に挟まれてるね!」
ママ「72位!」
ママ「嘆かわしい!」
ママ「かつて”都市伝説御三家”として恐れられた我々が!」
〇雑踏
口裂け女「私、綺麗・・?」
口裂け女「これでも~?」
口裂け女「って、マスク外そうとすると怒られるんですよ!」
口裂け女「ご時勢柄」
口裂け女「商売あがったりよぉ」
〇祈祷場
ママ「嘆かわしい!」
ヨウコ「まぁまぁ」
ママ「ママではなぁい!」
ママ「ところで」
ママ「今までドコに?」
ヨウコ「え?」
ヨウコ(言えない!)
ヨウコ(この空気の中、きつねダンスを踊っていただなんて口が裂けても言えない!)
「只今戻りやした」
河童「お嬢、ご無事で何より!」
かまいたち「ったく、いくらお嬢のキツネきつねダンスが不気味だからって、祓うこたねぇよな、あの野郎!」
ママ「きつねダンス?」
ママ「で、その不届き者は始末したのかい?」
河童「も、もちろんですぜ」
かまいたち「ち、血祭にあげてやりやした」
「すみません嘘です!」
河童「命からがら逃げてきました!」
ママ「嘆かわしい!」
ママ「これからは徹底的にやるよ!」
ママ「目指すは次の妖番付でトップ10入り!」
河童「そんな無茶な」
ママ「ふっ、妙案があるのさ」
〇川に架かる橋
ヨウコ「はぁ」
ヨウコ「なんで私が」
〇祈祷場
ママ「若者のコックリさん離れ」
ママ「妖狐凋落の原因はコレだ」
ママ「現代の若者にコックリさんを布教して」
ママ「妖狐の威厳を取り戻すのだ!」
〇川に架かる橋
ヨウコ(私も初めて見るよコレ)
〇公園の入り口
〇広い公園
ヨウコ「さて」
ヨウコ「・・」
ヨウコ「ふむ」
「ねぇ、君」
ユキヒロ「わっ!」
ヨウコ「こんにちは」
ユキヒロ(きゅ、急に現れた!)
ヨウコ(ふふ)
ヨウコ(妖の迫力に茫然自失って顔ね!)
ユキヒロ(す、すごい)
ユキヒロ(コスプレの人だ!)
ヨウコ「私はヨウコ」
ヨウコ「ご覧の通り、妖狐よ!」
ユキヒロ「は、はぁ・・僕はユキヒロです」
ヨウコ「そう、ところで君って」
ヨウコ「ボッチ?」
ユキヒロ「ぐは!」
ヨウコ「やっぱり!」
ヨウコ「ひとりだけ浮いてると思った!」
ユキヒロ「周りから浮いてるのはそっちでしょ?」
ユキヒロ「ハロウィンには早すぎると思いますけど!」
ヨウコ「なっ」
ヨウコ「あのね」
ヨウコ「私はれっきとした妖狐のヨウコなわけ!」
ヨウコ「仮装じゃないんだからね!」
ヨウコ「って、それはまぁ置いといて」
ヨウコ「私と取引しない?」
ユキヒロ「はい?」
〇新緑
ユキヒロ「コックリさん?」
ヨウコ「そ!」
ヨウコ「妖狐の力を使った超すごい占いみたいなものよ」
ユキヒロ「それを?」
ヨウコ「君が広める」
ユキヒロ「なぜ!?」
ヨウコ「単純な話よ」
ヨウコ「君はコックリさんの力で人気者になる! あっという間に友達百人!」
ヨウコ「私も再び妖狐が注目されてハッピー!」
〇広い公園
ヨウコ「いい取引でしょ?」
ユキヒロ「友達なんていらないよ!」
ヨウコ「どうしたの急に!?」
ユキヒロ「べ、別になんでも」
ヨウコ「まぁ、物は試しよ!」
ヨウコ「狐に化かされたと思ってさ!」
ユキヒロ「でも、皆ゲームに夢中だよ?」
ヨウコ「ふんっ」
「・・」
「あぁぁぁっ!」
ヨウコ「これでよし」
ユキヒロ(ひ、ひでー!)
〇広い公園
少年A「コックリさん?」
少年A「ゲーム壊れちゃったし、やってもいいけど」
ヨウコ「やった!」
ヨウコ「じゃ、言う通りにやってみて」
ユキヒロ「う、うん」
ヨウコ「まずは十円玉を──」
ユキヒロ「十円玉?」
ヨウコ「持ってないの?」
ユキヒロ「今時は電子決済・・」
ヨウコ「キャッシュレースッ!」
ヨウコ「どこかに・・」
ヨウコ「この下とかに・・」
ヨウコ「って、違う!」
〇神社の本殿
ヨウコ「いやピコンて、ダメダメ!」
〇街中の道路
ヨウコ「あっ」
ヨウコ「取り忘れた自販機のお釣りゲットッ!」
〇広い公園
ユキヒロ「それじゃ」
ユキヒロ「指を硬貨の上に乗せて」
ユキヒロ「コックリさん、コックリさん、どうぞおいでください」
ユキヒロ「もしおいでなら、『はい』へお進みください」
ユキヒロ「この後、何が起こりますか?」
あ、め、が、ふ、る
少年A「雨が降る?」
〇広い公園
ユキヒロ(狐の嫁入りだ)
「コックリさん、スゲー!」
〇学校の校舎
〇教室
〇広い公園
〇墓石
〇神社の出店
〇学校の屋上
ヨウコ「コックリさん大流行!」
ヨウコ「ユキヒロも友達一杯できたね!」
ユキヒロ「・・」
ヨウコ「浮かない顔~」
ヨウコ「ま、いつもだけど!」
ユキヒロ「僕、転校するんだ」
ヨウコ「え?」
ユキヒロ「親の仕事の都合でね」
ユキヒロ「同じ所に長くいられない」
ユキヒロ「結局すぐに離れ離れになっちゃうんだ」
ヨウコ(だからあの時、友達なんていらないって)
ヨウコ「そっか」
ヨウコ「馬鹿だな~」
ヨウコ「私は妖狐のヨウコ様だよ?」
ヨウコ「ユキヒロが遠くにいようとも、パッと駆けつけられるんだから!」
ヨウコ「私たちはいつでも友達!」
ヨウコ「だから笑って、ね?」
ユキヒロ「う、うん・・ありがとう」
ヨウコ「よし」
〇祈祷場
ママ「順調、順調♪」
ママ「やれば出来る子だと思ってたよ」
ママ「あの子の事かい?」
ヨウコ「・・」
ママ「仕方ないさ」
ママ「所詮は人と妖」
ママ「共には生きられない」
ママ「あの子の記憶は仙術で消す」
ママ「分かるね?」
ヨウコ「・・うん」
〇川に架かる橋
ヨウコ(妖気!?)
〇公園の入り口
〇広い公園
ヨウコ(冥府の怪!?)
ヨウコ「あっ」
ヨウコ「ユキヒロ!」
ヨウコ(やり方を間違えて冥府から怪を呼び出してしまったのね)
ユキヒロ「危ない!」
ヨウコ「うッ」
ユキヒロ「大丈夫!?」
ヨウコ「うん・・」
ヨウコ(元はといえば私が撒いた種だ)
ヨウコ(この子たちは絶対に守る!)
ヨウコ(や、やっぱ無理かもぉ)
河童「お嬢!」
かまいたち「助太刀しやす!」
ヨウコ(冥府の口が開いてる)
ヨウコ「よし!」
ヨウコ「普通に戦っても勝てない!」
ヨウコ「私たちごと冥府に押し込む!」
ユキヒロ「そんな事したらヨウコ姉ちゃんも死んじゃうよ!」
ヨウコ「私は妖」
ヨウコ「もともと生きてるか死んでるか分からないようなモノなんだよ」
ユキヒロ「嫌だよ!」
ユキヒロ「死んじゃったら悲しいよ!」
ユキヒロ「居なくなったら」
ユキヒロ「寂しいよ・・」
ヨウコ「大丈夫だよ」
ヨウコ「すぐに寂しくなくなるから」
ユキヒロ「え・・?」
ヨウコ「行くよ!」
「合点承知!」
「はあぁっ!」
ヨウコ(もうすぐ)
ヨウコ(ユキヒロの記憶から私は消える)
だから寂しくないよ
新しい友達
きっとできるよ
だから
笑ってよ
〇公園の入り口
〇黒背景
──ここは?
そっか
死んじゃったんだ
ユキヒロは無事かな?
ママにももう会えないな
ダメな娘で、ごめん、ママ
???「親分だ!」
〇祈祷場
ヨウコ「へっ?」
ママ「なに狐に抓まれた様な顔してんだい」
ヨウコ「ママ!」
ママ「親分」
ママ「ったくアンタたち」
ママ「まだまだ手がかかる」
ママ「子供達は無事だよ」
ママ「片は全部つけた」
ママ「この騒動で妖番付も急降下」
ママ「人面犬より下がるかもね」
ママ「また一から始めよう」
〇空
〇田舎の学校
〇空
ヨウコちゃんの明るい可愛さが伝わってきました!でもきつねダンスは不気味なんですね…😂笑
時代の波に押される世知辛い妖事情から孤独な少年との交流、バトルまで盛りだくさんで楽しめました✨
ラストは思いの外切なかったですが、少年が前向きな一歩を踏み出せたようでよかったです🥲
少年と妖狐のハートフルなお話、とても素敵でした! 所々に入る笑いも面白くて(口裂け女のくだりが好きです!時代!笑)とても楽しく読ませていただきました😊
こっくりさん、懐かしいなあ……。余談ですが、こっくりさんもデジタル化する時代が来るのでは? と考えてしまいました笑
セリフが読みやすくて良いですね、
さすがです! 参考になります🙇
何よりキャラクターがとってもチャーミングで魅力的なので、やはりキャラクターって大事だなと痛感しました!