ジェリービーンズ〜手が触れるまであと10秒〜

るんるん

読切(脚本)

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〇田舎の病院の廊下
  ジェリービーンズ。
  袋の中にたくさん入っているそれを一つを手に取り、口の中へ入れた。
  なんてカラフルなんだ。そしてとても甘い。僕の人生とはまるで逆だ。
  ・・・しかし、こんな僕にも幸運が舞い込んだのである。
  なんと今日は女の子と二人で水族館へ行くのだ。ちょっと変わった子だが、可愛いからまあいい。
  僕の人生も少しだけこのジェリービーンズのような色になったのかもしれない。

〇水族館・トンネル型水槽(魚なし)
彼女「この中に毒が入っていたりして」
  僕はジェリービーンズを一つ手に取り、適当に口の中へ入れた。
  どっちを選ぶ?
  ▷ブドウ味が一番美味しい
   レモン味が一番美味しい
  ▶ブドウ味が一番美味しい
   レモン味が一番美味しい
「ブドウ味が一番美味しい」
彼女「私はレモンかな」
  何て返せば正解なんだ。
彼女「綺麗だなー、私トンネル水槽好きなんだ」
  どっちを選ぶ?
  ▷なんだか不気味だな
   僕も好き
  _なんだか不気味だな
  ▷僕も好き
  _なんだか不気味だな
  ▶僕も好き
「僕も好き」
彼女「なんだ。怖がらせてやろうと思ったのに」
  水族館の自然なのか人工的なのかよくわからない、深い青色に包まれた彼女は神秘的で綺麗に見える。
  なんだモモ味か。イチゴ味かと思った。
彼女「見て!エイ。可愛い顔してるよね。あ、顔じゃないか」
彼女「そういえばエイって何の生き物なんだろう」
  どっちを選ぶ?
  ▷君の方が可愛いよ。
   エイって・・・〈続きを見る〉
  _君の方が可愛いよ。
  ▷エイって・・・〈続きを見る〉
  _君の方が可愛いよ。
  ▶エイってサメが進化したものだとか聞いたことあるな。だから魚類なんじゃない?
「エイってサメが進化したものだとか聞いたことあるな。だから魚類なんじゃない?」
彼女「へー。でも退化してるじゃん」
「サメはサメ同士で殺し合うから、弱いサメは殺されないように変形した、みたいな感じだった気がする」
彼女「ふーん。君と似てるね」
「僕が弱いみたいに言うなよ」
彼女「フフフッ」
「ていうか、僕達っていつからこうやって話すようになったんだっけ」
彼女「ん?どうしたの?」
  どっちを選ぶ?
  ▷君と話せるようになったのが嬉しくて。
   なんでタメ口で話しているのかなって。
  _君と話せるようになったのが嬉しくて。
  ▷なんでタメ口で話しているのかなって。
  _君と話せるようになったのが嬉しくて。
  ▶なんでタメ口で話しているのかなって。
彼女「・・・どうしてだろうね」
  彼女は僕の通っている病院の看護師で、先月から僕の世話をしてくれている。
  記憶を失った僕を
「何でなんだろう」
  ジェリービーンズを手に取った。深い青に包まれて何色かわからない。
  ああ、レモンだ
  病院で点滴を打たなくなった替わりに今日はジェリービーンズを糖分として摂取している。
彼女「美味しい?」
  どっちを選ぶ?
  ▷うーん。ままあまあ
   美味しいよ
  ▶うーん。ままあまあ
   美味しいよ
「うーん。まあまあ」
「マスカット味とかあるといいな。なんかもっとこう特殊なフルーツもあるといいのに」
彼女「スターフルーツとかドラゴンフルーツとか?」
「特殊すぎる笑」
彼女「案外バナナとか定番のフルーツだけど、ジェリービーンズではあんまり見かけないよね」
「確かに」
彼女「さくらんぼ味とかも食べたことないかも。食べてみたい?今度探しておくよ?」
  ジェリービーンズを手に取ったが、落としてしまった。暗くてどこへ行ったかわからない。
「いや、さくらんぼ味はいいかな」
彼女「そっか」
  まあいいか。水族館の人が掃除をしてくれるだろう。
彼女「そういえばさ、学校で学んだこととかも全部忘れてるの?」
「どうだろう」
彼女「何の教科が好きだった?」
  どれを選ぶ?
  ▷多分数学
   歴史かな
   体育は得意だった筈
  _多分数学
  ▷歴史かな
   体育は得意だった筈
  _多分数学
  ▶歴史かな
   体育は得意だった筈
「歴史かな」
彼女「じゃあ覚えてる?織田信長とか豊臣秀吉とか徳川家康とか」
「わかるわかる。意外と学校で学んだことは普通に覚えてるかも」
彼女「小さい頃の記憶はあるんだね」
「そうだね。大人になってからの記憶が無くなったのかな。とくに記憶を失う前あたりとか・・・」
彼女「じゃあさ、北条時宗とかは?」
「なんか聞いたことあるな、北条なんとか。中学の歴史だよね」
彼女「そうそう、覚えてるんだ」
「どんな人だったっけ?」
彼女「元寇の人だよ。二回もモンゴルからの攻撃を耐えたって話」
「あー、あったなそんなの」
彼女「運がいいよね、ほんと」
「運がいいの?詳しくないから知らないけど」
彼女「そうじゃないの」
「何?どういうこと?」
彼女「いや、いいの。そっか、そっか。覚えてるんだ」
  ・・・?
「・・・でも何で北条時宗なの?」
  ・・・
彼女「君と似てるから」
  ・・・
彼女「あぁ、でもまだわかんないか」
彼女「まだ」
彼女「・・・」
彼女「・・・」
彼女「・・・」
  どれを選ぶ?
  僕はこのままジェリービーンズを
  ▷食べ続けた
   食べるのを辞めて・・・〈続きを見る〉
  僕はこのままジェリービーンズを
  _食べ続けた
  ▷食べるのを辞めて・・・〈続きを見る〉
  僕はこのままジェリービーンズを
  _食べ続けた
  ▷食べるのを辞めて・・・〈続きを見る〉
  僕はこのままジェリービーンズを
  _食べ続けた
  ▷食べるのを辞めて・・・〈続きを見る〉
  僕はこのままジェリービーンズを
  _食べ続けた
  ▷食べるのを辞めて・・・〈続きを見る〉

コメント

  • デートであるにも関わらず、終始ミステリアスで不穏な空気に包まれていたのは主人公が命を狙われていたからなんですね。作者さんのコメント返信でクイズの答えを読んで「ほーっ」と納得。いろんな趣向で謎かけや仕掛けがあるミステリーもカラフルなジェリービーンズのようで面白い。どれかに毒が混じってたりして・・・。

  • ADVゲームのようなスタイルで、ならではの楽しさに溢れていますね。そしてその真相の種明かしが無いところ、読み返したくなる魅力がありますね。

  • なんかすごい秘密が隠れてそうで、凄く気になります。
    まだ?って事はこれからそうなるかもしれないし、ならないかもしれないし、なんか凄く複雑!

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