読切(脚本)
〇渋谷駅前
美少女「いたっ・・・!」
美少女(は?何?え、今・・・)
美少女(あたし、殴られた!?)
美少女「アタシの10万!その紙をよこせッ!」
美少女「は!?ちょ、待っ・・・!」
〇ビルの屋上
昨夜
美少女「・・・」
「自殺?」
「死ぬくらいなら」
女性「貴女の命、私に頂戴?」
〇ビルの屋上
美少女「・・・」
美少女「そんな口説き文句で落ちるのは 中学生までよ」
女性「あら、辛辣。涙出ちゃうわ」
美少女「用が済んだら帰ってくれない? あたし、あんたの見世物になるために ここにいるわけじゃないから」
女性「随分と死に急いでるじゃない 借金の返済期限は明日?」
女性「あははっ!カマかけただけなのに 貴女、仏頂面でも体は正直ね」
美少女「変な言い方しないで」
女性「せっかく若くて可愛いんだから、 まだ死ぬのは勿体ないわよ」
女性「借金はいくら?」
美少女「・・・」
女性「いいじゃない どうせ死ぬなら教えてくれたって」
美少女「・・・100万」
女性「OK。じゃあまず50ね」
美少女「・・・・・・は?」
女性「明日朝一で返してきなさい 払う意思があるなら、 少しぐらいは待ってくれるでしょ」
女性「残り50は、分かるでしょ」
美少女「・・・あたしに、何をさせる気?」
女性「簡単なことよ。ただ、そう ちょっとした宝探しをしてほしいだけ 宝を求めて大都会へ、わくわくするでしょ」
美少女「内容は?」
女性「もう、遊び心がないんだから」
女性「スタート地点は駅前のコインロッカー 鍵はあとで渡すわ」
女性「中に手紙が入っているから、 それに書いてある場所へ行って またコインロッカーを開けるの」
女性「最終的にアタッシュケースを見つけたら それをここまで持ってきて それで貴女は50万ゲットよ」
美少女(・・・ ガキでも分かる。ヤバイ案件だ)
美少女(でも、あたしに選択肢なんてない)
美少女「分かった。やる」
女性「ありがと。助かるわ じゃあ明日はよろしく。美少女ちゃん」
美少女「・・・は?」
女性「だって名前知らないから 嫌なら教えてくれる、名前?」
美少女「・・・」
女性「なら、美少女ちゃんで決まりね あ、私のことは 『キレイなお姉さん』って──」
美少女「呼ばない」
女性「食い気味に言わなくてもいいじゃない」
〇渋谷駅前
美少女「あ、んの、女ぁ・・・」
美少女「相手がいるなら最初に言え!」
美少女(でも、やることは分かった これはアタッシュケースの奪い合い)
美少女(奪わなきゃ、50万は貰えない)
美少女(まぁそれを抜きにしても──)
〇大ホールの廊下
美少女「いった!」
美少女「殴られっぱなしの女じゃないの、あたし」
美少女「開けてくれてありがと」
美少女「ちょっと!」
美少女「じゃあね」
美少女「とは言っても」
美少女「さっきの子も中身は見ただろうし 次の場所でも奪い合い、か」
美少女「逃げれればいいけど・・・」
〇商店街
〇商業ビル
〇渋谷駅前
美少女(あった!)
美少女(一番最初のコインロッカーの隣とか 趣味悪すぎ・・・)
美少女「待って!」
美少女(しまった!逃げ道が・・・!)
美少女「そのアタッシュケースを渡して」
美少女「断る」
美少女「なら力づくで奪うまで!」
美少女(くそっ!ここまできて)
美少女「それはアタシのお金よ!」
美少女(待って、確かこの女・・・)
美少女「ちょっと待った!」
美少女「・・・少しだけ、話を聞いてほしい」
〇ビルの屋上
女性「美少女ちゃんは上手くやってるかしら」
女性「あら」
女性「今日も今日とて仏頂面ね 宝探しはどう──」
女性「わお!」
女性「おめでとう。これで50万は貴方のものよ」
女性「見たところほとんど怪我もしていないし、 上手く逃げ切ったみたいね」
女性「それとも、殴り合いは得意なのかしら?」
美少女「・・・殴り合いになるって、 なんで教えてくれなかったの?」
女性「貴女の報酬が50万だからよ」
美少女「は?」
女性「それじゃあ種明かしといきましょうか そのアタッシュケース、開けていいわよ」
美少女「空っぽ・・・?」
女性「そう。重要なのは中身じゃないの」
女性「誰が、どうやって、ケースを勝ち取るか それが重要なのよ」
女性「ほら、上を見て 配信が終わったから帰っていくわ」
美少女「・・・あたしたちの奪い合いは、 どこかに配信されてたってこと?」
女性「ご名答。ちなみに、見るだけじゃなくて 賭けの対象にもなってるわよ」
美少女「最低」
女性「歌って踊る美少女より、 殴り合いをする美少女を見たいって 趣味の金持ちがいるのよ、世の中」
女性「攻撃側はケースを奪い、守備側は守る ただし、奪い合いという情報を 知っているのは攻撃側だけ」
女性「攻撃側が有利だけど、その分守備側は オッズも挑戦者の報酬も高い」
女性「貴女は守備側 だから殴り合いになることを 知らなかったし、50万が貰える」
女性「ちなみに攻撃側の報酬は──」
美少女「10万でしょ」
女性「あら?知ってるの?」
美少女「まぁね」
〇渋谷駅前
美少女「ここに10万がある」
美少女「あんたの報酬は10万、でしょ?」
美少女(勢い余って最初に自分で言ってたし)
美少女「この10万、あんたにあげる そのかわり──」
〇ビルの屋上
女性「買収した、ってこと?」
美少女「合理的に話し合いで解決したの」
女性「でもその10万どこから」
美少女「あんたに貰ったじゃない。昨日」
女性「50万は借金返済にって・・・!」
美少女「何があるか分からないのに全額渡さない から。返済の意志を見せるためなら、 40も50も大して変わらないし」
美少女「残りの10万は自力で返済だけど、 殴り合いを期待してた悪趣味金持ちども はがっかりしてるんでしょ?」
美少女「なら、ちょっとスッキリかな」
女性「・・・ふ」
女性「あははっ!貴女面白いわ!」
女性「そんなクソ度胸があるのに 自殺しようとしてたなんて不思議ね」
美少女「あの時はちょっとナーバスだったの」
女性「ねぇ、稼げる仕事紹介するわよ 仲介屋なの、私」
美少女「お断り。言ったでしょ 見世物になるのは嫌いだから」
女性「そう、残念。じゃあ貴女とはバイバイね これ今回の報酬よ」
美少女「ありがと」
女性「じゃあね」
女性「っと、最後に一つだけ」
女性「貴女、笑ってる方が可愛いわよ まさに美少女ちゃんって感じ」
美少女「・・・だから」
美少女「そんな口説き文句で落ちるのは 中学生までよ」
女性「あら、辛辣。涙出ちゃうわ」
殴り合いですら、というか殴り合いこそ美少女じゃなきゃダメなんだなあ。それを逆手にとって、美少女ばかりを裏で集めて八百長試合で稼ぎまくることも可能ですね。なんにせよまずは美少女になってから来いって話ですね。失礼しました。帰ります。
尺が許せば色んな駆け引きとかも沢山見れそうなお話でした。
美少女の名称を美少女のままで貫き、対抗馬も色違いの美少女で出すというのが斬新で面白かったです。
始まりから終わりまで興味が湧きっぱなしというか、かっこいいなぁと感じました!
更に面白いゲームがこれから出てきて続編!なんてのも期待してます!