魔女退治(脚本)
〇学校の廊下
???「オイオイ、聞いたかよ卓也が告って振られたんだってよ」
「えっ、あのイケメンで成績優秀な拓也君が」
「魔女は怖いよな」
鏑木丈二「ムムム、こんな非道を許していいのか!」
「そうだそうだ、魔女に鉄槌を」
鏑木丈二「おお、賛同してくれるか頼もしい。では、我ら三銃士を結成して憎き魔女の鼻をへし折ってやろうではないか」
「賛成」
???「我ら三銃士、魔女佐咲に鉄槌を下さん」
横網紗那「チョット、丈二兄ちゃん」
鏑木丈二「何度言えばわかるんだ俺は紗那の兄ちゃんじゃないだろ・・・単に幼馴染」
横網紗那「兎に角、佐咲さんに関わらない方がいいわよ」
鏑木丈二「でもな・・・」
横網紗那「自分の正義を振り回すのは良くないわ」
鏑木丈二「あぁぁ、分かってる」
〇教室の教壇
佐藤真司「やいやい、佐咲。散々男を振りやがって、お詫びに明日のバレンタインチョコを男子全員に配れよ」
小関守「だ、大丈夫か佐藤」
小関守「こい、俺が相手だ魔女め」
小関守「痛い何をするんだよ・・・しょうがない、一先ず退却しよう佐藤、覚えてろ魔女め、この敵は鏑木がとるぞ」
〇名門の学校
鏑木丈二「お~い待てよ佐咲」
鏑木丈二「ハァ、ハァ・・・「待て」と言ってんだろ。何で逃げるんだよ、一緒に帰ろうぜ」
鏑木丈二「お、お~い!」
鏑木丈二「ま、待てったら・・・お前ってさ本当愛想ねえな」
佐咲魅花「どうせ、私にチョコを男子に配らせようとしてるんでしょ、佐藤君達と一緒に」
鏑木丈二「まぁ、そうだけどさ・・・でもそれって男子全員から反発を買っている佐咲の為にもなるぜ」
佐咲魅花「チョコを渡すのは本当に好きな人だけでしょ?」
鏑木丈二「そりゃそうだけどさ、告って振られた男の気持ちも考えろよ」
佐咲魅花「義理チョコはイヤなの、私」
鏑木丈二「義理だぜ義理。付き合い悪いな佐咲は、だから美人でもモテずに反感を買うんだぜ」
佐咲魅花「結構よ、好きな人にモテれば」
鏑木丈二「好きな人・・・誰だよ」
佐咲魅花「さぁね・・・でも鏑木君は紗那さんでしょ?」
鏑木丈二「ち、違うよ。俺はロリコン趣味でも幼馴染を好きになる趣味もねぇぜ」
鏑木丈二「兎に角、一緒に帰ろうぜ」
佐咲魅花「ウン」
〇大きい交差点
佐咲魅花「なぁに?私が魔女ですって!!ひど~い私にそんなあだ名をつけたの?鏑木君」
佐咲魅花「あっ、危ない」
???「危ねぇぞ、婆ぁ」
佐咲魅花「お怪我はありませんか?」
武内真理子「えぇありがとう、目が見えないもんだから」
佐咲魅花「よろしければ、一緒に渡りましょう」
武内真理子「どうもありがとうございます。優しい子ね」
佐咲魅花「いえいえ、当たり前ですわ」
鏑木丈二(ふ~ん、意外といい奴じゃん佐咲・・・魔女なんてあだ名は悪いことしたな。チョコレート、マジで貰いたくなったぜ)
佐咲魅花「何ジロジロ見てるのよ」
鏑木丈二「いや・・・安心しろ、もうチョコの強要は止めるから」
〇学校の廊下
佐咲魅花「ねぇ、チョット聞きたい事があるんだけど、いいかなぁ横網さん」
横網紗那「えっ!・・・あっ、すみませんでした。お兄ちゃんが今度のバレンタインで佐咲さんにご迷惑をお掛けして」
佐咲魅花「いや、そんな事はどうでもよくって・・・横網さんってさぁ、よく鏑木君と喋ってるじゃん・・・彼女?」
横網紗那「彼女とはチョット違うかな?鏑木君は幼馴染で昔は、よく私の面倒を見てくれてたお兄ちゃんのような存在で」
佐咲魅花「お兄ちゃん?でも血縁関係はないんでしょ?」
横網紗那「ハイ、単に呼び慣れているから、つい」
佐咲魅花「そ、そうなんだ・・・ありがとう」
横網紗那「と、とんでもない・・・あっ、もしかして佐咲さん、丈二兄ちゃん好きなんですか?」
佐咲魅花「ち、違うわよ。単に聞いただけ」
横網紗那「もし好きなら、ふつつかな兄ちゃんですが是非交際してやって下さい。よろしくお願いします」
佐咲魅花「だから・・・そんな」
横網紗那「お兄ちゃん、ああ見えておく手で彼女いません・・・もしかして童貞なんじゃぁないかと・・・あっ、優しいですよ凄く、彼氏に最適」
〇名門の学校
佐咲魅花「なぁ、そこの童貞男」
佐咲魅花「ねえ、待ってよ・・・冗談だってば、鏑木君」
〇公園のベンチ
鏑木丈二(やれやれ、一体何の真似だ、俺を童貞男だなんて呼びやがって)
佐咲魅花「待ってくれって言ったじゃない鏑木君」
鏑木丈二「なんのよう?・・・童貞男に」
佐咲魅花「何も怒らなくても」
鏑木丈二「ごめんな・・・でもこれからは名前を呼んでくれないかな?」
佐咲魅花「分かったわ、丈二」
鏑木丈二「で、何の用?」
佐咲魅花「これあげる・・・一応私の手作りなんだ」
鏑木丈二「えっ、何で?チョコの強要は止めた筈だけど」
佐咲魅花「でも、今日はバレンタインよ」
鏑木丈二「ありがとう・・・でも俺より」
佐咲魅花「言ったわよね・・・私は本命にしか上げない主義だって」
鏑木丈二「ありがとう、嬉しいけど・・・」
佐咲魅花「ええっ!私の告りを断るの?」
鏑木丈二「こんな俺より・・・いるだろうカッコよくて勉強できる奴」
佐咲魅花「不甲斐ないからよ、鏑木君が」
鏑木丈二「えぇっ、ふ不甲斐ない?」
佐咲魅花「そうよ、実は入学時に告ろうと思ってたんだけど、横網さんと親しいようだったから、てっきり横網さんと交際中と勘違いして、私」
鏑木丈二「だったら、不甲斐ないのは、佐咲さんの方だろ」
佐咲魅花「そうよ、でも鏑木君も私の気持ちを全然気づいてくれない不甲斐ない奴だった。だから入念に準備したんじゃないの・・・今回」
鏑木丈二「ええっ!」
佐藤真司「よっ、悪い悪い。佐咲に頼まれてさ・・・小関と一緒にな」
佐咲魅花「どう、分かった?」
鏑木丈二「これからは、丈二と呼んでいいよ、それと俺は魅花って呼んでいいかな?」
佐咲魅花「いいよ、丈二」
鏑木丈二「じゃぁ、一緒に帰ろうか魅花」
佐咲魅花「ウン、手を繋いで帰ろう」
鏑木丈二「ウン」
もうちょっと紗那ちゃんが二人の仲を引っ掻き回すかと思ったけど大丈夫でしたね。紆余曲折を経てやっと収まるところに収まった感じが、まさに青春の恋愛模様という感じで微笑ましかったです。
気の強い女の子かと思いきや、ただただ一途で不器用な可愛らしい子だったなんて。お互いに少しずつ距離を縮めていくところが甘酸っぱくて素敵でした。
なんだろうこの甘酸っぱさ…。
お互い奥手…というか恋愛はこういうものか…。
懐かしい…って私にはそんな青春なかったなあ(遠い目)