この音、飛び立つ季節に向かって

海坂依里

「夢が始まる瞬間だってことに、まだ誰も気づいていない」(脚本)

この音、飛び立つ季節に向かって

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〇学校の廊下
「あ、え、い、う・・・・・・」
花ノ木 音(どこかの部活が発声練習やってる)
姫宮夕菜「先生っ!」
姫宮夕菜「声優部には、指導者が必要なんです!」
姫宮夕菜「はぁ」
花ノ木 音「声優部部長さん」
姫宮夕菜「音・・・・・・」
姫宮夕菜「変なところ見られちゃった」
花ノ木 音「親友が頑張っている姿は、最高にかっこいいよ」
姫宮夕菜「1日1日を、ただの部活動で終わらせたくない」
姫宮夕菜「本気の部活動が、プロ声優の輩出に繋がるように頑張る」
姫宮夕菜「音も、作曲の仕事頑張って」
花ノ木 音「ありがとうっ」
花ノ木 音「そこにいるのは・・・・・・」
花ノ木 音「現役ラノベ作家の絵~茉ちゃん」
花ノ木 音「今日も絵茉ちゃんのコスプレは最高だね」
神本絵茉「自分で自分のキャラクターを宣伝するのも・・・・・・」
神本絵茉「恥ずかしいものがあるけど」
神本絵茉「さっき会ってたのって、声優部の・・・・・・」
花ノ木 音「声優部からプロを輩出するために邁進中」
花ノ木 音「そういえば!」
花ノ木 音「アニメの放送日、決まって良かったね」
花ノ木 音「おめでとうっ」
花ノ木 音「絵茉ちゃんの作品の音楽、担当したかったなー・・・・・・」
花ノ木 音「今回は縁がなかったけど!」
花ノ木 音「次回アニメ化した際には、この花ノ木音が音楽を担当してみせるからね」
神本絵茉「期待してる」
神本絵茉「・・・・・・・・・・・・」
花ノ木 音「絵茉ちゃん?」
神本絵茉「一緒に仕事できる日まで、お互いに現役で頑張らないとね」
花ノ木 音「・・・・・・うん」
神本絵茉「・・・・・・・・・・・・」
花ノ木 音「絵茉ちゃん、気分でも悪い?」
神本絵茉「っ」
神本絵茉「心配かけて、ごめん」
神本絵茉「お祝いの言葉、ありがとう」
花ノ木 音「・・・・・・・・・・・・」
花ノ木 音(事務所から連絡?)

〇SHIBUYA SKY
葉村美紅留「音ちゃん、お疲れ様ですっ!」
花ノ木 音「ライブリハーサルお疲れ様」
葉村美紅留「私の活躍、目に焼きつけてくれましたか!?」
花ノ木 音「もちろんっ」
花ノ木 音「いつもたくさんの愛情を注いでくれて、ありがとうございます」
葉村美紅留「作曲を担当してくれている音ちゃんに褒められると」
葉村美紅留「喜びも倍増ですっ」
葉村美紅留「では、私は着替えに・・・・・・」
花ノ木 音「美紅留ちゃん」
花ノ木 音「少しお話、いいかな?」

〇イルミネーションのある通り
花ノ木 音「これは美紅留ちゃんへの賄賂」
花ノ木 音「プロ声優として活躍する美紅留ちゃんに」
花ノ木 音「我が高校が誇る『声優部』に入部してほしいの」
葉村美紅留「理由があるんですね」
花ノ木 音「声優部が」
花ノ木 音「絵茉ちゃん原作のアニメ主題歌を担当することになったの」
葉村美紅留「音ちゃんは、主題歌のプロデュースってことですね」
花ノ木 音「美紅留ちゃんは、声優部所属の現役声優として」
花ノ木 音「主題歌を担当するユニットメンバーに合格してほしい」
葉村美紅留「話の流れからすると」
葉村美紅留「出演する声優も、声優部から輩出するってことですね」
花ノ木 音「それは守秘義務があるんだけどね・・・・・・」
葉村美紅留「あれだけ放置してきた声優部に」
葉村美紅留「偉い人たちは、今になってようやく動き出してくれたんですね」
花ノ木 音「声優部にとっては喜ばしい話なんだけど」
葉村美紅留「絵茉ちゃんの作品は、利用されるだけ」
花ノ木 音「絵茉ちゃんの作品と声優部を」
花ノ木 音「黒歴史で終わらせないために力を貸してほしい」
葉村美紅留「わざわざ音ちゃんが根回ししなくても」
葉村美紅留「守秘義務の話と、そうでない話の区別ができている時点で」
葉村美紅留「偉い大人の人たちは、動いているってことですよね」
花ノ木 音「私は単に」
花ノ木 音「美紅留ちゃんっていう」
花ノ木 音「素っ晴らしい親友がいることをアピールしてきただけだよっ」

〇原宿の通り(看板無し)
花ノ木 音(今の私にできることは)
花ノ木 音(絵茉ちゃんの作品の成功に、少しでも貢献すること)
「ごほっ、ごほっ」
花ノ木 音「絵茉ちゃん!?」
神本絵茉「・・・・・・音?」

〇女の子の一人部屋
神本絵茉「音の家族にも迷惑かけて、ごめん・・・・・・」
花ノ木 音「やっぱり体調悪かったんだね」
花ノ木 音「我が家を頼ってくれて、むしろありがとうだよっ」
神本絵茉「音・・・・・・」
花ノ木 音「辛いなら、体を起こさなくても・・・・・・」
神本絵茉「話・・・・・・あって・・・・・・」
神本絵茉「なんで・・・・・・」
神本絵茉「なんで、なんで、なんで・・・・・・!」
花ノ木 音「絵茉ちゃ・・・・・・」

〇女の子の一人部屋
神本絵茉「こんな、大金いらないから・・・・・・」
神本絵茉「ただ・・・・・・」
神本絵茉「作品を大切に扱ってくれれば、それでいいの・・・・・・」

〇女の子の一人部屋
神本絵茉「このお金で・・・・・・」
神本絵茉「音の時間を買いたい」
神本絵茉「このお金で足りるか分からない・・・・・・」
神本絵茉「分からないけど・・・・・・」
神本絵茉「音の才能を、私の作品にちょうだい?」
花ノ木 音「任せなさいっ」
花ノ木 音「もう既に、物語は始まっているんだよっ」

〇体育館の舞台
姫宮夕菜「素人だって、素人なりの力を育てることはできます」
姫宮夕菜「真剣に取り組んだ部活動の中で得た力を」
姫宮夕菜「プロの世界で役立ててください」
花ノ木 音「お疲れ様」
花ノ木 音「かっこよかったよ~、部長さんっ」
姫宮夕菜「たいしたことはしていない」
姫宮夕菜「私はただ、声優部のためになることをしたいだけ」
姫宮夕菜「やっと、ここから始まることができる」
姫宮夕菜「ご協力感謝します」

〇女の子の一人部屋
神本絵茉「なんで、大切な作品を素人の練習台にされなきゃいけないの・・・・・・」
神本絵茉「ちっとも技術を磨こうとしない新人声優なんて滅びればいいのに」
花ノ木 音「1部の生徒は夢のために頑張っていても」
花ノ木 音「今の声優部なんて、名ばかりのお遊び部だもんね」
神本絵茉「声優部が嫌いってことじゃない」
神本絵茉「プロの仕事をしない人間が嫌いなだけ」

〇おしゃれな教室
神本絵茉「音・・・・・・」
神本絵茉「作品に力を貸してくれて、ありがとう」
花ノ木 音「私ね」
花ノ木 音「これからの毎日が、とっても楽しみで仕方ないの!」
花ノ木 音「売れる曲を作るって考えると、確かにプレッシャーだけど」
花ノ木 音「作品のファンの人たちが待ち望む楽曲を提供するって考えると」
花ノ木 音「凄く幸せな仕事をさせてもらっているんだなって」
神本絵茉「うん」
花ノ木 音「作品を応援してくれる人たちに・・・・・・」
神本絵茉「最高の作品を届けてみせる」
花ノ木 音「ライバルが元気になってくれて嬉しいよ」
神本絵茉「誰もが夢を叶えられる世界じゃないからこそ、気合いを入れ直す」
花ノ木 音「私も絵茉ちゃんと同じ気持ち」
花ノ木 音「異世界に転生して」
花ノ木 音「人生をやり直すことはできないからこそ、戦っていこう」
花ノ木 音(現実を厳しいと知って尚、戦おうとする理由はなんなのか)
花ノ木 音(それは、きっと)
花ノ木 音(世界に『好き』が溢れているから)
花ノ木 音「よしっ」
花ノ木 音「声優部と戦う覚悟はできた?」
神本絵茉「うんっ」

コメント

  • 音や絵茉たちの創作にかけるプロ意識がすごい。生半可な精神では臨めないという覚悟が感じられました。これからも様々な障害や葛藤があるかと思いますが、読者としても応援したいですね。

  • 様々な悩みや事情を抱えながらも、共通の目標に向かって進んでいくことになる?メンバー。まさにアニメにしたくなるストーリーですね。4人の個性の違いも出てて面白いです。

  • 音ちゃん、頼もしー!
    どんな作品が出来上がるのか、どんな人に届くのか、見てみたいです!

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