僕らの恋の三角関係は

草加奈呼

僕らの恋の三角関係は(脚本)

僕らの恋の三角関係は

草加奈呼

今すぐ読む

僕らの恋の三角関係は
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇見晴らしのいい公園
  ちなちゃん! ずっと前から好きでした!
  僕と、付き合ってください!
  高校1年の時に、好きな子に告白した。
和久井ちな「え、えぇと・・・」
和久井ちな「イツミちゃんって、同性愛者だったの?」
  実は、僕は・・・
  性同一性障害者。
  体が女で、心が男、というものだ。
  なので、いつも好きになるのは女の子。
  それを説明すると・・・
和久井ちな「なぁんだ、そっかー!」
  もっと引かれると思っていた僕は、
  逆にぽかんとしてしまった。
和久井ちな「じゃあ、私もちゃんと返事をするね」
和久井ちな「・・・ごめんなさい!」
柏木イツミ「そ、そうだよね・・・。普通に考えたら おかしいよね、こんなの・・・」
和久井ちな「あ・・・! ち、ちがうの! おかしいとかそういうんじゃなくて・・・」
和久井ちな「実は私が、同性愛者なの!」
和久井ちな「私は、女の子しか好きになれないの!」
柏木イツミ「え・・・」
「ええーーーーっ!?!?」

〇空
  それからちなちゃんは、
  僕のことを「イツミ君」と
  呼んでくれるようになった。
  僕たちは、ずっと友だちだった。
  きっとハタから見たら、
  仲のいい女友達同士に
  見えるのだろう。

〇掲示板の前
  そして、高校2年の春──。
和久井ちな「おおーい、イツミ君!」
柏木イツミ「ちなちゃん」
和久井ちな「私たち、また同じクラスだよ、 よろしくー!」
柏木イツミ「僕も、ちなちゃんと一緒でうれしいよ」
和久井ちな「あのねあのね、あの子も一緒なんだよ!」
和久井ちな「ほら、あの子!」
「千田ユヅキちゃん──!」
  ちなちゃんは・・・
  千田ユヅキの事が好きなのだ。

〇教室
和久井ちな「イツミ君! ユヅキちゃんと一緒に、 お弁当食べよう?」
柏木イツミ「え、 いつの間にそんなに仲良くなったの?」
和久井ちな「これから仲良くなるの!」
和久井ちな「あ、でも、連絡先交換してもらったよ♪」
和久井ちな「ねえ、 ユヅキちゃんって、好きな人とかいるの?」
柏木イツミ(おお・・・ちなちゃん、積極的!)
千田ユヅキ「好きな人・・・」
千田ユヅキ「昔はいたけど、今はいないわ」
和久井ちな「それってさ・・・。 男の人?」
柏木イツミ(ち、ちなちゃん・・・! 核心を突いてきた!?)
千田ユヅキ「えっ・・・?」
千田ユヅキ「“当たり前”じゃない」
和久井ちな「そ、そうだよねー! 当たり前・・・だよね・・・」
  ちなちゃんは、そこから口数が少なくなってしまった。

〇学校の屋上
「あーーーー、フラれたーーーー」
柏木イツミ「いや、告白はしてないだろ?」
和久井ちな「そうだけど!」
柏木イツミ「ていうか! なんなんだよ“当たり前”ってさ!」
柏木イツミ「悪いけど、僕はユヅキちゃんとは 友達になれないな!」
和久井ちな「なんか・・・ごめん・・・」
柏木イツミ「いや、ちなちゃんは悪くないだろ?」
和久井ちな「話振ったの、私だし」
和久井ちな「それに、当然の反応だと思うんだよね」
和久井ちな「ユヅキちゃんみたいな“普通”の人が 大半なんだから」
  ちなちゃんは、とても淋しそうだった。
  でも僕は、
  ちょっとホッとしてしまったんだ──。

〇女の子の部屋
  その夜────
和久井ちな「えっ? ユヅキちゃんからメッセージ!?」
和久井ちな「・・・・・・」
和久井ちな「え・・・」
和久井ちな「う、うそ・・・!」
和久井ちな「ユヅキちゃん・・・ やっぱり好きーー!!」

〇学校の校舎

〇教室
和久井ちな「イツミ君イツミ君イツミ君!!」
柏木イツミ「お、おはよう、ちなちゃん・・・ どうしたの?」
和久井ちな「私、やっぱりユヅキちゃんが好き!」
柏木イツミ「えええっ? 一体どうしたの?」
和久井ちな「これ、 昨日ユヅキちゃんから来たメッセージ」

〇空
  今日のお昼、ごめんなさい。
  もしかしたら、
  ちなちゃんが言っていた言葉に、
  何か意味があるような気がして。
  好きだったのは男の人か聞かれて、
  つい咄嗟に「当たり前」と答えて
  しまったけど、後からよく考えてみたの。
  もしかしたら、ちなちゃんにとって、それは
  当たり前じゃない事なのかもしれない。
  見当違いだったらごめんなさい。
  でももしそうなら、ちなちゃんにとって
  失礼な回答をしてしまったと思ったの。
  もっとよく考えるべきだった。
  ちなちゃんがもしそうなら、
  私は真剣に受け止めるし、
  好きな人がいるなら応援する。
  だから、良かったらこれからも
  一緒にお弁当食べてください。

〇教室

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

コメント

  • その日のうちに自分の発言を悔いて謝罪できるところが素敵な子だな、と思いました 二人から好意を向けられることになったのも納得いきます😂
    互いに違う事情を持っている三人ですが、みんな良い子でそれぞれに良い結果が待っていると良いなと思いますね😌

    セクマイ同士で好きになってややこしいことになるのって割とあるので、そういった点でも楽しめました😂😂

  • ずっと気になってたこちらの作品、やっと読めました〜✨
    最初から複雑な恋愛感情が、関係も含めて更に複雑になっていきましたね😢
    でも明るい作風でするんと心に入ってきました😊
    いつか誰かの恋が報われるのかな?

  • ポニーテールはサムライの証(。ò ∀ ó。)
    素敵なラブコメですね。
    誰を好きになるかなんて実際のところは問題でなくて、好きになった結果、問題が起きてしまう事が問題だと思います(社会的や法的に)
    三者の心の内を考えるとドキドキ、ハラハラするのでもっと読みたい物語なの、です

コメントをもっと見る(9件)

ページTOPへ