シンデレラ深夜未明

らいら

第10話 深夜未明(脚本)

シンデレラ深夜未明

らいら

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〇空
  深夜は、午前0時から2時頃をさし、未明は、夜2時から4時ごろをさす。
  夜明け前に、それは完成した。
  私はシンデレラに自爆装置を埋め込んだ。
  自分が作った戦闘人形に無惨に殺されれば、大衆は納得する。
  飼い犬に首を噛まれるような、哀れな最期。因果応報。河瀬未明は当然の罰を受けたのだと──

〇オタクの部屋
シンデレラS01「わたし、なにか変わった?」
  変わったよ。あなたは今までで一番、素晴らしいものになった
  生まれて初めてつくった作品にして、わたしの生涯の最高傑作
シンデレラS01「・・・・・・」
シンデレラS01「なんだろう、胸の奥から・・・音がする。一定間隔で・・・」
  心臓の音だよ
シンデレラS01「これがわたしの心臓の音?」
シンデレラS01「わたしにも心臓がついたの? わたしはもっとミメイに近づけるの? あなたの理解者に・・・なれる?」
  そうだよ。わたしの親友、わたしのシンデレラ
  あなたは、私が世界で唯一愛した子
  死ぬのなら愛する者の手で

〇森の中
  もちろん、すぐには実行させなかった。
  死ぬために特別な戦闘人形を用意したと、世間にバレてしまう。
  木を隠すのは森。私はシンデレラと同じ機体をたくさん用意した。そのすべてに自爆装置を搭載。
  自爆装置は「ミメイ以外に」発動しないように設定した。
  彼女たちは他の戦闘人形と同じように戦地へと向かっていった。
  シンデレラは行かせなかった。幼い頃から一緒にいたシンデレラ。
  この子に殺してもらう。
  私はシンデレラのこれまでの記憶を全消去した。そして命令を書き換えた。
  『ミメイを抹殺せよ』
  『間違いなく、寸分の狂いもなく、確実に、私の息の根を止めよ』
  『捻り潰せ』

〇システムキッチン
ビストライト「・・・・・・」
ミメイ「そのときに、すぐに実行されなかったのはなぜかって顔だね」
ビストライト「・・・いや、だって」
ミメイ「記憶を消したから私の顔も忘れちゃってね。シンデレラは混乱したのか、そのまま家を飛び出した。行方知れずだよ」
ビストライト「それでずっと、こいつは荒野を彷徨ってたのか?」
ミメイ「計算外だったよ。すぐにでも殺してくれると思っていたからさ」
ミメイ「それで会えないまま10年が経って、その間に戦争も終わって」
ビストライト「ずっと世間から姿を隠していたのは・・・?」
ミメイ「世間が放っておいてはくれないからさ。『河瀬未明は神か悪魔か』」
ミメイ「この通り美人だからね、尾ひれ背びれが付き放題ってわけさ」
ミメイ「別に私は殺人者ではない。でも、そういう問題じゃない」
ミメイ「表に顔なんて出せたもんじゃない。本気出して隠れるしかなかった。生死不明にするしか」
ビストライト(それで彼女は、核シェルターみたいな地下で、人里離れてひとりきりで、10年間も生活していたのか)
ビストライト「エラがあなたを殺そうとしていたのは・・・ずっと執拗に探し続けていたのは・・・」
ミメイ「当たり前のこと。だって私がそう作り変えたから」
ミメイ「私の親友から、私を殺す戦闘人形へと」
エラ「これは、わたしの意志では、ないのか?」
エラ「この怒りは? この感情は。ミメイへの殺意は──」
ミメイ「そうだよ。機械人形が自分の意志で主人を殺すわけないでしょ」
エラ「わたしは・・・ただ命令で・・・お前の設定したプログラムで動いていただけ・・・」
ミメイ「ごめんね。アイデンティティが崩壊するようなこと言っちゃって」
ミメイ「でも、理由はどうあれ、殺せるんだからいいでしょ。やっと、あなたの本意を遂げられる」
エラ「・・・・・・」
ミメイ「こんな話は聞きたくなかったかな? でも、あなたが知りたいと言ったんだ」
エラ「『死にたい』『シンデレラに殺されたい』、それがおまえの望みか?」
ミメイ「うん」
エラ「心からの望みなのか。死ねば救われるのか?」
ミメイ「いや、死んでも救われないよ」
ミメイ「生きているよりましだというだけ。この地獄みたいな世界よりいくらかは」
エラ「・・・」
ビストライト(エラ・・・)
エラ「ビストライト」
ビストライト「あ、え?」
エラ「わたし、は・・・どうすればいい」
エラ「ミメイを殺して、自分も最後に壊れれば、それで楽になれると、すべてが終わると思っていた」
エラ「それが正しいと疑わずに今日まで来た。それなのに」
エラ「わたしがミメイを殺したら、なにもかも、こいつの手のひらの上じゃないか!」
エラ「なにもかもミメイの思い通りに動くなんて、そんなもの」
エラ「ごっこ遊びの人形だ」
ビストライト(エラは、幼い頃からミメイ博士とともに育ってきた。人格があるんだ。記憶はなくても、エラはいる)
  こいつは本当に、世界にただひとりしかいない、エラなんだ。
  俺は知っているじゃないか。
ビストライト「エラ。俺は思うんだけどさ、エラの殺意はミメイさんにプログラムされただけじゃないよ」
エラ「・・・?」
ビストライト「ミメイ博士は、『ミメイ博士以外に自爆装置を発動させないように』設定したんだろ」
エラ「・・・!」
ビストライト「でもお前は怒りを抑えられずに爆発した。俺を殺そうとしたじゃないか!」
エラ「やっとわかった。お前はミメイに似ているんだ。他人を馬鹿にしたようなところが」
ビストライト「不名誉なんだけど・・・」
エラ「やはりこの身体は借り物なんだな。本物のわたしはもう、とっくに壊れている・・・最初にお前に会ったときに」
ビストライト「え、あ、いや・・・まあ、そうなんだけど」
エラ「ビストライト、いいんだ」
ビストライト「エラ?」
エラ「この身体を・・・元の持ち主に返してくれ」

次のエピソード:第11話 惑星のシンデレラ

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