シンデレラ深夜未明

らいら

第11話 惑星のシンデレラ(脚本)

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〇謎の部屋の扉
エラ「この身体を元の持ち主に返せと、わたしは言ったはずだが──」
エラ「どういうことだ!?」
ミメイ「さてシンデレラS01の7番、気分はどうだ?」
???「とてもしっくりきています。元は戦闘用でしたし、家事仕事用に特化した最新モデルにしてもらってよかった」
  エラに身体を貸していたシンデレラS01の007番は、ミメイ博士によって新しい身体を与えられた。
  新しく用意された機体に、マイクロメモリをセットしただけでうまく適合した。
ミメイ「名前がないと呼びにくいな。ななばん・・・ナナでいいか」
ナナ「はい! 元のご主人さまに名前をつけてもらえて嬉しいです」
ビストライト「きみ、本当に感情ないの? けっこう自立してるよね?」
ミメイ「というわけで、ナナには新しい身体を用意した。シンデレラはもう身体を返す必要はない」
エラ「・・・・・・勝手なことを」
ビストライト(殺す殺さないだのの話は、中断というか、うやむやになってるけど・・・)
ビストライト「で、これからどうするんだ、お前・・・」
エラ「・・・わたしはミメイを殺すための戦闘人形だ」
ミメイ「おや、やっとその気になったか」
ミメイ「では外に出よう」
エラ「・・・・・・」

〇荒野
エラ「殺さない。やめた」
ミメイ「・・・どうして?」
エラ「ミメイは天才だから理解者がいなかっただのと、しきりに孤高の天才アピールしているが、」
ミメイ「そんなアピールしたつもりはないけど」
エラ「わたしに言わせればミメイはドジだ」
ミメイ「そんな、ドジっ子なんていうかわいい年齢でもない」
エラ「お前は親に認められたくて、戦闘人形を作った」
エラ「幼い頃から構ってもらえなかった親だ。頼まれて嬉しかったのだろう」
エラ「弱い人間の証拠だ」
ミメイ「・・・ふふ。言うねぇ」
エラ「わたしに自分を殺させて、自分のしたことから逃げようなんて卑怯だ」
ミメイ「そうだね」
エラ「ミメイがこの世を地獄と言うのなら、生きのびることが苦痛でしかないのなら」
ミメイ「・・・」
エラ「わたしはお前を殺さない。この世界に残って、どこまでも地獄を味わわせてやる」
エラ「自殺もさせない。止める。それがわたしの復讐」
エラ「お前を楽にしてやらない! 残りの寿命を持って、己の行いと向き合え」
ミメイ「・・・シンデレラ」
ミメイ「あなたに殺されることが、最後の希望だったのに。そのためにずっと待っていたのに」
ミメイ「殺してくれないなんて、ひどい誤算だあ」
エラ「お前にはまだやることがあるんじゃないのか?」
ミメイ「え? ないと思うけど・・・もう半分死んでいるようなものよ」
ビストライト「ありますよ山ほど。あるに決まってるでしょう!」
ミメイ「おや、若者くん。急に入ってきてどうした」
ビストライト「とにかく人手が足りないんです。『惑星』の復興には、あなたの頭脳が必要だよ」
ミメイ「・・・・・・」
ビストライト「罪の意識とか負の遺産とか、どうでもいいんだよ。それよりこの星のために働いちゃどうですかね」
ビストライト「引きこもってないで表に出ろよ ・・・ってことですよ」
ミメイ「表に出ていく、か。私を憎んでいる人たちが押し寄せてきて、恨みつらみを晴らそうと・・・」
エラ「大丈夫だ」
エラ「わたしが死なせない。ミメイを殺すのはわたしだけだ」
ビストライト「だそうですよ、ミメイ博士」
エラ「ミメイ。この先、お前が生活に安らぎを得て、死にたくないと思ったら、そのときは──」
エラ「そのときに殺す。お前が死にたくなくなったら、捻り潰してやる」
ミメイ「おやおや・・・じゃあ、絶対に幸せにならないようにしないとね」
ビストライト「いやどういう会話だよ・・・」
ミメイ「シンデレラ、もし私が天寿を全うするのなら──」
ミメイ「あなたは爆発なんかでは死なせない。死の床で最後の力を振り絞って、あなたを解体しよう」
エラ「お断りだ。その前にかならず殺す」
エラ「お前がこの先、死にたくならないわけがない。この世界は苦渋でできているのだから」
ミメイ「・・・そうかもね」

〇西洋の街並み
  ビークルが目を覚ましたのは、エラたちと別れて、町に戻ってからだった。
ビークル「気がついたらすべてが終わっていて、完全にパーティに乗り遅れた状態じゃないですか、私・・・」
ビストライト「一部始終の説明はしただろ! べつにお前を除け者にして遊んでたわけじゃないから」
ビークル「・・・」
ビストライト「なんだよその不満そうな目は」
ビークル「ご主人さま。今度こそ、お暇させていただきます」
ビストライト「ああ。わかってるよ・・・お疲れ、ビークル」
  行方知れずだったミメイ博士を発見し、星立研究所に入所させた――つまり社会復帰させた。
  その功績により、ビストライトの懐には、しばらくのんびりできるほどのまとまった報酬が入った。
  すぐに次の仕事を紹介されそうになったものの
ビストライト「しばらく働きたくない!!」
  休職した
  仕事用の相棒として派遣されているビークルは、当然ながら、別の任務につくことになった。
ビークル「本当にいいんですか私と離れて暮らしていけるんですか!?」
ビストライト「お前はなにを言ってるんだ・・・? 全然やっていけるけど。むしろ快適に休める──」
ビークル「ふん! さよなら!」
ビストライト「なんだよあいつ」

〇カウンター席
  三ヶ月後──
ナナ「ビストライトさん、ずっとこの宿に泊まる気ですか?」
ビストライト「長旅のためにアパートも引き払っちゃったしね。お金なら払ってるしいいだろ別に」
ナナ「毎日ぶらぶらして。働きたくならないんです?」
ビストライト「全然ならないよ、なるわけないでしょ。1年以上も働き詰めだったんだよ俺」
ナナ「・・・・・・」
ビストライト「なんでドン引きされるの!? 普通のことなのに・・・」

〇ホテルの部屋
  その晩、研究所で寝泊まりしているミメイから通信が入った。
ミメイ「やあ、ビストライトくん。相変わらず自堕落な生活のようだね」
ビストライト「10年も引きこもってた人に言われたくないです」
ビストライト「な、なんの音・・・」
ミメイ「ものは相談なんだけどね――きみ、私のところでバイトをしないか」
ビストライト「バイト!?」
ミメイ「シンデレラと――いや、エラと日々過ごしているのだが、喧嘩が耐えない。このままだと流血沙汰になりそうだよ」
ミメイ「自分でつくったとはいえ、なんだろうこの子は」
ビストライト「俺にどうにかできると思えないですよ!」
ミメイ「そんなことはない。エラはきみに信頼を寄せているよ。どうやらきみには、機械人形を手懐ける魔性の魅力があるらしい」
ビストライト「いらないですよそんな魅力」
エラ「ビストライト!!」
ビストライト「おお、エラ。ひさしぶり・・・」
エラ「四の五の言わずに来てくれ! このままではミメイと刺し違える」
ビストライト「痴情のもつれじゃないんだからさ! っていうか逆に仲いいでしょ」
エラ「来るならビークルも連れてこいよ。あいつ拗ねるからな」
ビストライト「はぁ? ビークル?」
ビストライト(要請すれば引き取れるのかな。いやなんで俺があんなのを引き取らなきゃいけないんだよ・・・)
  騒がしい音のあとに通信が切れた。
ビストライト「・・・はあ。どうするかね」

コメント

  • 遅くなってしまいましたが、完結おめでとうございます!
    ビストライト、モテモテじゃん…(※アンドロイド限定)と思っていたら作中でも「魔性の」とまで言及されていて笑ってしまいました。
    結構あっさりした終わり方でしたので、もう少し読みたかったです!
    博士とシンデレラの関係ですが、ドタバタコメディ風に終わらせているけれど、よく考えると切なかった…。

  • 大爆発に地道な作業、軽快な掛け合いに明かされていく謎!とても楽しい旅でした!私はビークルが好きです…!

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