星渡りの恋

二律背反

恋というエネルギー(脚本)

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〇宇宙空間
  宇宙─

〇宇宙ステーション
  暗黒を漂うコロニーに明かりが灯る

〇近未来の闘技場
ユメル「よし、環境システムは稼働できた!」
ユメル「すーはーすーはー」
ユメル「うん、空気も大丈夫そうね」
  ピッ
  ユメル、そちらの様子は?
ユメル「コスモ? 何とかなったよ 当面の空気は大丈夫」
  では、船の修理部品の捜索を開始して下さい
ユメル「先に食べ物を見つけない? 腹ペコよ、私」
  私は空いていませんが
ユメル「えーえー、船のAI様はお腹なんて空きませんものね」

〇地下実験室
ユメル「ここは、医療ユニットかな 使える薬があれば─」
ユメル「冬眠カプセル?」

〇水の中

〇地下実験室
ユメル「男の人?」

〇近未来の手術室
  覚醒処置は終了
  そろそろ目覚めます
ユメル「名前はクロウ エドワーズ このコロニーの生まれ」
ユメル「大学在籍中に病気が発覚 冬眠カプセルで延命処置、か」
ユメル(19歳、同い年ね)
  良かったのですか?
  起こせばリスクも増えますよ
ユメル「見殺しにはできないでしょ」
クロウ「う・・・ここは?」
ユメル「気分はどう?」
クロウ「君は?」
ユメル「私はユメル 訳あってこのコロニーに立ち寄った トラベラーよ」
ユメル「記憶のテストをさせてね 自分の名前はわかる?」
クロウ「クロウだ 俺は病気で延命してたはず」
クロウ「治療法が見つかったのか?」
ユメル「んー、あなたが思うより悪い状況ね」

〇宇宙ステーション
  彼-クロウが目覚めるまでに
  調べて分かったこと
  コロニーが放棄されたのは20年前

〇近未来の通路
  生命維持装置に問題が見つかり
  住民は退避

〇研究所の中枢
  実は今も状態はギリギリ
  限界を超えると完全停止して
  誰も住めなくなる

〇近未来の手術室
クロウ「じゃあ治療法が見つかったわけではないんだな」
ユメル「・・・コスモ、彼の病気の治療法は?」
  別のコロニーでは回復した例が数件報告されています
クロウ「今のは?」
ユメル「私の船のAIよ」
クロウ「君の?」
ユメル「船の故障でここに避難したの そしてあなたを見つけた」
ユメル「ショックでしょうけど、ここを脱出するために行動しなきゃ!」

〇豪華な社長室
ユメル「すごい部屋ね」
  彼がコロニー市長の息子というのは
  事実のようです
「お待たせ」
ユメル「ふーん、似合ってるね」
クロウ「ありがとう」
クロウ「メンテナンス部に行けば探してる部品も あるかも 案内するよ」
ユメル「うん、助かる」

〇秘密基地の中枢
ユメル「あった! 他にも部品がこんなに!」
クロウ「運び出そう・・・おっと」
ユメル「もう十分よ 私がやるから部屋で休んでいて?」
クロウ「ごめん」
ユメル「無理させたかな? 病み上がりだったし」
  ユメル、ここにある部品で
  可能な限り船の修復を提案します
ユメル「確かにそれがいいかもね まだ数日は持つし」

〇宇宙ステーション
  こうして二人だけのコロニーで
  クロウとの生活が始まった

〇コックピット
ユメル「ここをこうしてと」
ユメル「今日はここまでね」

〇近未来の通路
ユメル「ん? この匂いは」

〇おしゃれなキッチン(物無し)
ユメル「クンクン」
クロウ「食事、準備できてるよ」
ユメル「食事!? 携帯食料じゃなくて?」
クロウ「保存食を見つけたんだ 料理はよく作ってたから」
クロウ「口に合えばいいけど」
ユメル「パク」
クロウ「どう?」
ユメル「はふはふ、はむ!」
クロウ「お、落ち着いて食べなよ」
ユメル「おいふぃいわ、もぐ こういうの久しぶりだよ」
クロウ「よかった」
クロウ「じ・・・」
ユメル「何?」
クロウ「おいしそうにたべるなぁって」
ユメル「・・・なんか恥ずかしいから見ないで」
クロウ「ふふ、じゃあ俺も食べようかな」
ユメル「・・・」
クロウ「そうだ、ここにはいつまでいられるの?」
ユメル「数日かな できる限り船の修理をしたいから」
クロウ「そっか じゃあ食事は任せてほしい」
ユメル「やった! これが毎日食べられるなら大歓迎よ」

〇シックなカフェ
  それからはクロウと食事を共に
クロウ「ユメルはよく食べるから作り甲斐があるよ」
ユメル「美味しいのがいけないのよ」
クロウ「料理で手は抜けないかな」
  穏やかな時間─
  孤独な旅をする私の
  寂しさを埋めてくれた
クロウ「そうだ、街に行ってもいいかな?」
ユメル「街に?」
クロウ「見ておきたいんだ ユメルも一緒にどう?」

〇寂れた雑居ビル
ユメル「コロニーに私達だけなんて 不思議な気分ね」
クロウ「うん・・・」
ユメル(やっぱりショック、よね)
  クロウが取り残された理由は
  調べても結局分からなかった

〇ショッピングモールの一階
ユメル「慌てて出て行ったのね 商品もそのままだわ」

〇玩具売り場
ユメル「あ、可愛いぬいぐるみ! ほら!」
クロウ「う、うん かわいいねそれ」
ユメル「こっちのも!」
クロウ「はしゃぐと危ないよ」
ユメル「おっと!」
クロウ「ほら」
ユメル「あ、ありがと」
クロウ「うん・・・」
ユメル(人に触れられたの 久しぶりかも)

〇宇宙空間
  宇宙の旅は孤独

〇幻想
  だからクロウのことを意識するのも当然で・・・

〇シックなカフェ
クロウ「ユメルはどうして旅を?」
ユメル「私は星渡り 宇宙を旅する船団が故郷なの」
ユメル「船団の利益となるものを見つける旅よ」
クロウ「俺と同じ年なのに、すごいな」
ユメル「本当は自由が欲しかったからだけどね」
ユメル「クロウの夢は?」
クロウ「この病気になってから 夢はなくなったよ」
ユメル「そう・・・」
ユメル「じゃあ考えておいてよ」
ユメル「ここを出たらまず治療に行くんだから」
クロウ「・・・そうだね、ありがとう」

〇コックピット
  防御フィールド正常作動
ユメル「修理完了ね」
クロウ「やったな」
ユメル「これでいつでも出発できるわ」
クロウ「・・・」
ユメル「クロウ?」
クロウ「ごめん ユメル」
クロウ「俺はやはりいけないみたい」
ユメル「クロウ!?」
ユメル「コスモ、船の医務室を準備!」

〇宇宙船の部屋
クロウ「・・・」
ユメル「コスモ、どうなの?」
  冬眠から覚醒したことで病状が進行したものと判断
ユメル「私のせい、ね」
クロウ「いいんだ、ユメル」
ユメル「クロウ」
クロウ「このまま生きていても、俺は」
ユメル「簡単に諦めないでよ!」
ユメル「別のコロニーに行けば助かるのよ」
クロウ「でも、もうみんないない」

〇宇宙空間
  一人だ この宇宙に・・・
  暗くて 寂しい
  ・・・
  でも、光は見えるでしょ
  星の光が
  ・・・遠いよ
  ここに一つあるわ

〇宇宙船の部屋
ユメル「私がクロウを助ける 連れて行くから」
クロウ「ユメル・・・」
ユメル「勝手だよ 私一人をこんな気持ちにさせてさ」
クロウ「そうか ユメルも同じ気持ちで・・・」
クロウ「・・・」
ユメル「クロウ?」

〇コックピット
  冬眠処置完了
  クロウの病状は落ち着いています
ユメル(私が助けるからね)
ユメル「出発よ! クロウを治療できるコロニーへ」
  了解
  ユメル
ユメル「何?」
  恋を見つけたのですね
ユメル「い、いきなり何よ」
  それも旅を続ける力になります
  歓迎しますよ
ユメル「うるさいなぁ、いくよ!」

〇宇宙空間
  恋、か─
  クロウ 待ってて─

コメント

  • どんなに科学が進歩しても、広大な宇宙空間にいても、冬眠で何年間も眠っていても、人と人が出会ってしまったら時空を超越して恋に落ちるんだなあ、としみじみしてしまいました。ユメルとクロウ、お似合いですね。

  • 恋というのは気付かない間に落ちているのかもしれません。
    そして人に言われてハッと気付くことも…。
    宇宙って本当に想像もつかないくらい広い世界で神秘的ですよね。

  • 素敵でした!
    クロウ助かるといいですね☺️

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