エルフの皮をかぶった辛辣(シンラツ)

東龍ほフク

俺が思っていた『エルフ』と違う(脚本)

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〇森の中
プルエ「やめて・・離して下さいっ!」
  俺は、森で木の実を集めていた
  可愛らしいエルフの腕をひねり上げた。
  エルフ ──それは見目麗しく、
  観賞・愛玩用として闇市でとても
  高値で売買できる種族だった。
  尖った耳、様々な欲望を沸き立たせる整った顔立ち、非現実的な鮮やかな髪の色・・
  俺も噂でしか聞いた事がなく、実物を見るのは初めてだった。
「エルフのお嬢ちゃん1人? 仲間は?家族とかいるの?」
  他にもエルフはいるのだろうか。
  近くにその集落があるのなら、仲間を募って
  大量にエルフ狩りしても面白いかも
  しれない。
  (俺の取り分は売却合計の8割で)
プルエ「あっ! じゃあ、村の場所を教えますので その代わりに私は見逃して下さい!」
「・・・」
「・・・・・・」
「── えっ?」
  俺は耳を疑った。
  
  ・・・・えっ?こいつ、同族を売った?
プルエ「村には私より可愛い子がいますし、 男もイケメンたくさんいますよっ!」
「・・・君、ちょっと待って」
「君は同族を売ってまで 自分が助かりたいのかい?」
プルエ「え? はい」
「・・えぇ?」
  あれ?
  エルフって「正義感が強くて同族思いで
  誇り高い存在」なんじゃなかったっけ・・?
  仲間を売るような、そんな事する
  種族だっけ・・・?
「なぁ、エルフなら「私だけで勘弁してっ! 仲間には手を出さないでっ(裏声)」とか 言うもんなんじゃないの?」
プルエ「・・お望み通りにそう言ったら 見逃してくれるんです?」
「・・・村の場所を教えてくれれば 別にいいや・・。 そうしたら、お前は見逃してやるよ」
プルエ「本当ですか?!じゃあ全然教えますよぉ! 付いてきて下さいっ♪」

〇村に続くトンネル
  村までの道中、俺はエルフのぼやきを
  聞かされた。
プルエ「私、その『高潔で正義なエルフ』共が 苦手なんですよね」
プルエ「別に害のないタイプのゴブリンと泥遊びして 帰ったら叔母に平手打ちされたりして」
プルエ「──あぁ」
プルエ「私の実の両親は崖崩れに巻き込まれて 運悪く亡くなってしまっていまして」
プルエ「なので、母の姉夫婦の元に厄介になっているのですが・・・あいつ」
プルエ「「お前の両親が死んだのは お前の信仰心が足りないからだ」と 事あるごとにうるさくてですね」
プルエ「・・・・」
プルエ「たかだか信仰心がないだけで両親を殺して くる神って崇める価値あるんですかね?」
プルエ「エルフって、案外と言動や思想の自由が 制限されてて窮屈なんですよ」
プルエ「まじウザいですよ、堅物エルフ共」
プルエ「・・・だから、どうなろうが 知ったこっちゃないんですよ。 エルフなんて」
  ──あぁ。
  同族を平気で売り飛ばすほど
  この子はどんな目に遭ってきたのだろうか、
  それを軽く想像しかけたが、それよか
  売ったエルフの金で何をしようか考える
  楽しみの方が勝った俺は根っからの糞だ。

〇児童養護施設
  数時間歩かされて、やっとエルフの村に
  辿り着いた。
プルエ「こ、ここが村で、入り口はこっち・・ でも、あっちの柵から入った方が エルフを追い込めりゅ・・・・」
プルエ「──ったく!こんな森の奥を選んで 住んでる閉鎖的なのもキライっ!不便っ!」
  「まぁまぁ」とプルエ(道中に名前を
  聞いた)をなだめて、俺は「街に戻って
  同志を募ってくる」とプルエに伝えた。
  「お前、今来た道をNot休憩で戻るんか?」という顔をされたが
  エルフ村に戻る方が嫌らしく、
  渋々と俺についてきた。

〇怪しげな酒場
  町の酒場で“悪い同志”を募って
  エルフ大量誘拐の策を練る。
わるもの「・・何故にエルフの村を襲う算段に 当のエルフが参加して・・?」
わるものたん「♥」
  その当のエルフが「この村はここが弱い」だ「ここの家の娘は魔法を使うから
  気をつけろ」だのと協力的なので、
  発起人である俺も頭が
  おかしくなりそうだった。

〇児童養護施設
  数日後、俺達はエルフ村を襲撃した。
  プルエの可愛さに腑抜けていた奴らを心配
  していたが、仕事はしっかりやってくれた。
  エルフも魔法や弓で対抗はしてきたが、
  プルエから対策を教わっていたので
  俺達は容易にそれらをかわせた。
  仲間がエルフを馬車に押し込んでいる最中、
  プルエは俺の横で同族の罵詈雑言を吐いた。
プルエ「あのおっさんは「神の恵みだ」と 神に感謝しておけば鹿や兎を射ち殺して 食べていい』と思っている奴で」
プルエ「菜食主義者な私には理解できない野郎です」
プルエ「── あいつは・・」

〇黒
  俺は適当に相槌を打ちながら、さて、
  しかし、やはりプルエも高く売れる
  だろうなと算段していた。
  ・・と、プルエが俺にこっそり
  話しかけてきた。
プルエ「私を自由にしてくれたお礼に、エルフの宝も あげちゃいましょうか?」

〇睡蓮の花園
  ── !
  プルエに言われるがままについていくと
  突如、足がぬかるみにハマった。
  出ようともがくほど、
  体がずぶずぶと沼の中に沈んでいく。
プルエ「うわ!どハマりしてるぅ!」
「──おい!どういうつもりだ!」
「まさか、実はお前も売っちまおうと 考えていたのがわかって──?!」
プルエ「え? やっぱそうするつもりだったんですか?」
「・・え?」
プルエ「人間を信用していいものか悩んだので」
プルエ「とりあえず処分しておけば いいかなと思って一応、沼に 沈めただけでしたのに」
  こいつは鬼か?
  「一応」で沼沈めますか、普通・・
  まぁ、その判断は合っていたわけだけどな。
「お前」
「長生きしそうだな」
プルエ「私、エルフですもん」

〇モヤモヤ

コメント

  • どべさんキャラ特有の安定のリアルさというか性格の良さでクッソ良かったです🤣🤣🤣🤣
    セリフにいちいち攻撃力があるの何なんですか好き。
    可愛いだけじゃない、この酷さよwww
    主人公の淡々さも小気味よい……。

  • ギャップ萌えな(死語かな?)キャラで面白かったです!!
    体は小さいけど、悪意は大きい。痛快でした🤣
    主人公も悪人だけど、それを上回るエルフ。主人公も悪い奴だから成敗されても、気の毒に思わないところも計算の内なのですかね? 読後感が良いです。
    なんだかんだ言って、可愛いは最強ですね😆

  • エルフ、かしこいからね。
    うんうん。

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