APAS討伐部~パートナーになったのは、最凶最悪の怪異でした~

菜鳥オウル

21.すべてはそこから始まりました。(脚本)

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〇大企業のオフィスビル

〇個別オフィス
須佐川「──なるほど。 狐守は14年前の事を思い出し、 酒巻は源流の奥義を会得した、と」
須佐川「うん、期待通りだ。 4人ともよく頑張ってくれたな」
須佐川「なんだか顔つきも良くなってるしな。 任務以上になにかあったか?」
玲奈「まあ」
時雨「・・・多少」
「ありましたね」
須佐川「ほう? まあこれ以上聞くのも野暮ってもんだな」
須佐川「──それで狐守。 犯人の顔も思い出したのは本当か?」
玲奈「はい。あいつの顔も、 あいつが私に迎えにくると言ったことも、 すべて思い出しました」
須佐川「そうか。 なら、ちょっと再現してもらうとしよう」

〇個別オフィス
玲奈「ええっと・・・ 性別は男、髪は黒で少し長め。 線が細い人でした」
似顔絵担当「なるほど。ではこんな感じですか?」
玲奈「そう、そんな顔です!」
須佐川「ほう、かなり若い男の姿を 取ってたんだな。しかも美形、 さすが狐だ」
酒巻「感心しないでくださいよ」
酒巻「それより俺、この人どこかで 見たことあるような気がするんだけど」
玲奈「ああそれ、私も思ってたわ。 多分事件の時に見てたんでしょうけど」
茨木「・・・管野少年の事件の際、通報者と名乗っていた男ですよ」
「──!!」

〇ゆるやかな坂道

〇個別オフィス
玲奈「そうだわ! それから、その後の事件の時にも──」
館内放送「緊急事態発生、緊急事態発生」
玲奈「な、何!?」
酒巻「火事でも起こった!?」
須佐川「いや違う、この感じは──」
館内放送「都内各地で怪異が暴徒化。周囲の人間を襲っています」
館内放送「職員は直ちに現在の業務を停止し、上長の指示に従い現場に急行してください」
酒巻「怪異が──」
玲奈「──暴徒化!?」

〇東京全景
リポーター「こちら都心の上空です!」
リポーター「現在街のあちこちから白煙が 上っています。建物も崩れかけている ものがいくつかありますね」
リポーター「突如現れた正体不明の怪物達。 彼らの目的は一体何なのでしょうか──」

〇崩壊した道
怪異「死ね、人間!! お前達の世は終わりだ!!」
市民「ヒッ!! 誰か──」
???「それっ!」
怪異「何ッ!?」
時雨「ふふっ、結構効いたでしょ?」
怪異「な、何で妖怪が──」
怪異「ひとまず、ここは引くしか・・・」
玲奈「逃がさないわ──《妖魔退散》!!」

〇荒廃した街
市民「どうか、命だけは!」
怪異「無駄だ!奪われた分、全員殺してやる!」
酒巻「させないよ!」
「──はぁっ!!」

〇荒廃したセンター街
玲奈「はぁ、はぁ・・・」
玲奈「本当、キリが無いわ。 怪異のほとんどが実体化してくれてるのが 不幸中の幸いね。」
酒巻「うん。この状態なら、 補佐課の人でも対応できるし・・・」
須佐川「あー、聞こえるか、4人とも」
須佐川「いいニュースと悪いニュースが あるんだが、どっちから聞きたい?」
時雨「こんな時に選ぶ余裕ないよねー」
茨木「どっちからでも良いので 早く報告をお願いします」
須佐川「ははは・・・そりゃすまん。 それじゃあ、いいニュースからな」
須佐川「ついさっき、人々の避難率が 80%に達したそうだ」
酒巻「それじゃあ──!」
須佐川「ああ、あと30分ほどで100%になる 見込みだから、それまでなんとか耐えてくれ」
須佐川「で、悪いニュースの方だが── この暴動の首謀者は、十中八九、 例のやつに違いない」
玲奈「──!!」
玲奈「なら、この怪異の大群のどこか あいつがいるんですね」
須佐川「恐らくな。だから見つけ次第調伏、 もしくは捕縛して貰いたい」
須佐川「だが、無茶はするなよ。 なにせ殺生石の霊力充足率は──」
???「おやおやこれは、APASの陰陽師さん── と愚かにも彼らに首輪を付けられた 我が同胞たち」
???「この状況で呑気に立ち話をしていて いいのですか?」

〇荒廃したセンター街
玲奈「やっと現れたわね!」
???「おや、私を探してくれていたのですか」
???「嬉しいですねえ。 何度かお会いしていたのに、 ずっと無視され続けていましたから」
白月「改めまして── 私は妖狐の白月と申します。 「お久しぶり」ですね、狐守玲奈さん」
白月「14年前の約束通り、貴方を迎えに来ましたよ?」
玲奈「・・・私は、あなたを滅ぼすために 陰陽師になった」
玲奈「だからあなたの誘いには乗らない。 復讐のため──あなたの野望を砕くため、 ここであなたを倒すわ」
白月「ほう。復讐、ですか。 貴方はそれほどまでにあの一族を 好んでいたのです?」
玲奈「当たり前じゃない! 血は繋がってなかったけど、 私に取っては唯一無二の家族だったのよ!!」
白月「これは勘違いしていましたねえ。 てっきり貴方は、彼らを恨んでいるものかと」
白月「ですがまあ、些細な事です。 抵抗しようとするまいと、 貴方をいただく事には変わりないのですから」
時雨「──!! 玲奈ちゃん、引いて!」
白月「さあ──ここにおいでを、玉藻の前様」
玉藻の前「──」
玉藻の前「ふふ、久しいのう。「我が半身」よ?」
玲奈「えっ・・・?」
時雨「──ッ、来て!!」

〇オフィスのフロア
時雨「はぁ、はぁ・・・!」
時雨「玲奈ちゃん、大丈夫!? 何かされてない!?」
玲奈「私、私は・・・」
須佐川「おいおいどうした? 急に通信が途切れたと思ったら 揃ってこっちに戻ってきて・・・」
酒巻「その、例の男と──玉藻の前が現れました」
酒巻「それで、狐守さんに・・・」
須佐川「くそっ、もう来ていたのか! 狐守、なにをされた!?」
玲奈「あいつ、私に近づいて・・・ それから、私の事「我が半身」って」
須佐川「──!」
須佐川「そう、か」
時雨「・・・ねえ、須佐川。 キミ、何か知ってるでしょ?」
時雨「言えよ!この事件に関わる事、 キミが隠してること、洗いざらい全部話せ!!」
須佐川「・・・はぁ」
須佐川「できればこれは、隠したまま終えたかったんだけどな」
須佐川「狐守、冷静に聞けよ」
須佐川「玉藻の前がお前を半身と呼んだ理由。 それは恐らく──」
須佐川「──お前が殺生石から抽出された 妖力によって作られた、 人工の陰陽師だからだ」

次のエピソード:22.それが私のやるべきことです。①

コメント

  • 久々の更新嬉しいです。
    人工だったのかー!生命も人工か…。これは予想外でした。
    次回も楽しみです。

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