男の子になりたい女の子西野薫の場合(脚本)
〇学校の部室
生まれ変わったら男の子と女の子、どっちになりたい?
なんて会話は一度はしたことがあるんではないだろうか?
西野薫(私は男の子になりない!)
今回は男の子になりたい女の子と女の子になりたい男の子の物語です。
今回の主人公西野薫は才華女子高等学校の2年生で生徒会長である。
現在、才華女子高等学校はある問題を抱えている。
それは
少子化により、生徒数が減っており、女子学生だけでは学校の経営が厳しくなってきているのだ。
そこで、来年度から共学化することを検討している。
だが、共学化してもすぐには生徒数が増えるわけではないので、近くにあり同じ問題を抱えている男子校と合併することになった。
水谷春香「はぁ、共学化か~なんだかワクワクするけど、不安でもあるよね~」
西野薫「そうだね。まぁこればっかりはどうしようもないけどね」
水谷春香「よっ!我らが生徒会長!」
西野薫「春香もサポートよろしくね。副会長」
水谷春香、才華女子高等学校の生徒会副会長であり、薫の友人。
西野薫「さて、それでは今日も会議を始めましょうか。議題は男子校と合同で行う文化祭について」
水谷春香「確か、明日向こうの生徒会の人達と話し合いするんだよね?」
西野薫「うん。文化祭はこちらの学校で行うんだけど、出し物や屋台等は向こうと意見を出しあって、協力してやっていくことになってるから」
水谷春香「あぁ~どんな人達なのかな~イケメンいるかな?」
西野薫「もぅ、その話ばっかり。向こうも文化祭を盛り上げるために来てくれるんだから、ちゃんと対応しなきゃ」
水谷春香「でも~きっと向こうも同じこと考えてるかもよ~」
西野薫「とにかく、向こうの生徒会の人達に笑われないようにしっかりね」
水谷春香「はーい」
それから、会議は終わり帰ることに。
水谷春香「かおる~喫茶店寄って行こうよ」
西野薫「うん。いいよ」
薫とはるかは放課後によく行く喫茶店モンブランでお茶をすることにした
〇シックなカフェ
美香「ご注文はお決まりでしょうか?」
水谷春香「えっと。私はロイヤルミルクティで」
西野薫「私はカフェオレをお願いします」
美香「かしこまりました」
水谷春香「明日上手くいくかな~」
西野薫「いつも通りにやれば大丈夫だと思うけど」
水谷春香「私昔から男子と話すのが苦手だからあまり話せないかも」
西野薫「私がなるべくフォローするから頑張ろう!」
水谷春香「うん。がんばる!そういえば、今日クラスの子達とも話したんだけど、薫は生まれ変わったら男の子と女の子どっちになりたい?」
西野薫「何それ?」
水谷春香「まぁまぁどっち?」
西野薫「まぁ女の子かな」
水谷春香「だよね!女の子ならオシャレできるし。甘いお菓子とかも食べれるしね」
西野薫「そうだね」
西野薫(本当は男の子になりたいんだけどね)
その後、しばらく話してから家に帰った。
〇女の子の一人部屋
西野薫(生まれ変わったらか~ 男の子はいいよね~服装とかそこまで気にしなくていいし、美味しい物も沢山食べれる)
ピロリン!
西野薫(うん?メールだ。誰からだろう?人生交換アプリ?)
西野薫(あっ。そういえば、前に春香が言ってたやつだ!嘘じゃなかったんだ)
薫は人生交換アプリに興味を引かれダウンロードしてみた。
アプリを開くと会員登録画面が表示された。
名前、都道府県、年齢等の個人情報を入力したら、画面がホーム画面に切り替わり人生交換アプリの使用方法のガイダンスが始まった
人生交換アプリをご利用ありがとうございます。
人生交換アプリの使用方法をご説明させてもらいます。
こちらのアプリを使用されているお客様の中からあなたが人生を交換してみたい人をこちらで厳選して表示させてもらいます。
その中から選んで申請を出して承諾してもらうか、逆に申請が来たものに承諾するかで第一ステップが完了になります。
人生を交換できる条件は基本的には同じ年齢であることだけです。
性別が違っていても可能ですし、外国の方とでも可能です。
第一ステップが完了後に仮契約を交わす手続きを行います。
詳細は仮契約を交わす時にご説明させてもらいます。
最後にこのアプリのことは他言無用でお願いします。
それでは良い出合いがありますように。
マイページの検索ボタンを押すと同じ年齢の男の子が表示された。
あなたが望む同じ年齢の男の子一覧です。
その中でも、女の子になりたい男の子が1番上に表示された。
たく。
西野薫(おそらく、ハンドルネームだろう。私もキャンディで登録したから)
薫はたくさんのページを開きドキドキしながらも気になった人に申請ボタンを押してしまった。
西野薫「少し見るだけのつもりだったのに。 ボタンを押しちゃった。どうしてだろう?」
薫は自分でも不思議に思っていた。
だが、それも無理はない。
このアプリにはカイの魔法で自分の気持ちに正直にそして、積極的になる魔法がかけられていて
多少不思議だなと思っていても、自分の心には逆らえないのである。
それから一時間後
西野薫「あっ通知がきた」
人生交換アプリをご利用頂き、ありがとうございます。
たく様も了承されたので、これより仮契約の手続きに移らせて頂きたいと思います。
仮契約についての詳細は仮契約時にご説明させて頂きます。
仮契約を行う場合は下記のURLを押して下さい。
薫は緊張しながらボタンを押した。すると、目の前が真っ暗になったと思った次の瞬間明かりがついた。
〇近未来の会議室
薫の前には白いテーブルがあり、椅子に座らされていた。
向かいには同じぐらいの年齢の男の子が座っていた。
カイ「はじめまして!この度は人生交換アプリをご利用頂きありがとうございます!」
「マイ「ありがとうございます!」 メイ「ますっ!」」
横を向くとそこには長身の男性と両脇に双子?の女の子が立っていた。
カイ「わたくしの名前はカイと申します。人生交換アプリの管理者といったところですかね」
カイ「こちらの二人は私の助手のマイとメイです。マイ、メイご挨拶を」
「マイ「マイです。」 メイ「メイです。」 「よろしくお願いします!」」
カイ「マイ、メイお客様方に飲み物とお菓子を用意して差し上げて」
「はい。マスター」
返事をするとマイ、メイの姿は消えた。
山田拓也「ちょっと待ってくれ。ここはどこなんだ?」
カイ「ここは私が造った異空間であり、お二人がいた世界とは異なる空間になります」
西野薫「どうして私達がこの空間に呼ばれたの?」
カイ「心当たりがありませんか?一応連絡をして、お二人には同意して頂けたはずですが」
山田拓也「まさか、人生交換アプリのことか?」
西野薫「まさか本当に人生を交換出来るの?」
カイ「はい。但し、メールにも書かせてもらいましたが、現在は第一ステップが完了した段階です」
カイ「次に仮契約の段階に進ませて頂きたいのですが、よろしいですか?」
山田拓也「わかった。とりあえず、話だけでも聞くか」
西野薫「私もお願いします」
「マイ、メイ「飲み物をどうぞ。」」
山田拓也「あっありがとう」
西野薫「ありがとうございます」
カイ「さて、それでは改めまして。人生交換アプリの管理者のカイと申します。仮契約の説明の前にお二人の自己紹介を簡単にお願いします」
山田拓也「じゃあ、俺から。えっと。ハンドルネームがたくで、本名は山田拓也。高校2年生」
西野薫「じゃあ、私も。ハンドルネームはキャンディ。本名は西野薫です。高校2年生」
カイ「それでは、仮契約について説明させて頂きます。仮契約は1日だけお二人には人生交換を体験して頂きます」
カイ「つまり、1日だけ中身を入れ換えるのです」
西野薫「中身を入れ替える?」
カイ「はい。山田様の身体に西野様の精神を入れます。その状態で1日過ごしてもらった上で、もう一度検討して頂きたいと思います」
カイ「もちろん。入れ換えただけでは生活する上で不自由だと思われるので、サポートとしてマイとメイをつけます」
「マイ「サポートさせて頂きます。」 メイ「メイにお任せです!」」
カイ「仮契約では精神の入れ換えだけになります。本契約では記憶も入れ替えますので過去の記憶、すなわち以前の自分の記憶は残りません」
山田拓也「ということは、俺は山田拓也だったことを忘れるってこと?」
カイ「そうなります。そして、本契約は同意してもしなくても、人生交換アプリに関する記憶は消させて頂きます」
カイ「ここまでで何かご不明な点はございますか?」
西野薫「とりあえず、やってみないとわからないかな」
山田拓也「俺も同じく」
カイ「それでは、仮契約の手続きに移らせて頂きます。 良い一日を」
その言葉を聞いた途端また目の前が真っ暗になった。
〇アパートのダイニング
私は目覚まし時計の音で目を覚ました。
マイ(おはようございます。西野様)
山田拓也「薫「あっ。おはようございます。って何か声が変。」」
薫は自分の身体を確認した。
山田拓也(あっ。本当に入れ替わっちゃったんだ)
マイ(改めまして、マイと申します。本日は1日西野様のサポートをさせて頂きます。よろしくお願い致します)
山田拓也(声が頭の中から聴こえてくる)
マイ(はい。わたくしとの会話は頭の中で考えて頂くだけで、結構です。あと、わたくしの姿も他の方々には見えませんので)
山田拓也(そうなんだ。こちらこそ、よろしくお願いします。とりあえず、朝の支度をしますか)
マイ(山田様のご両親は共働きに出てまして。毎朝山田様が朝食を用意なさっているみたいです)
マイ(因みに、弟と妹がいらして、10歳の弟のケント様と8歳の妹のあずさ様がいらっしゃいます)
山田拓也(なるほど、拓也君は長男なんだね。それでこんなに早く起きてるんだね)
薫は慣れない作業で悪戦苦闘しながらも朝食の支度をしていた。
あずさ「おはよう、たく兄。あれ?まだご飯の用意してたの?寝坊したの?」
山田拓也「あっ、おはよう。ごめんね。今作るからね」
あずさ「あずさも手伝うよ」
山田拓也「ありがとう」
ケント「ふわ~。おはよう。たく兄、あずさ」
山田拓也「おはよう!ご飯出来たよ。 それじゃあ、食べようか? いただきます!」
「いただきます!」
山田拓也(大丈夫かな~)
ケント「あれ?いつもより味噌汁の味が薄い気がする」
山田拓也「嘘、ごめんね。次から気をつけるね」
ケント「ていうか、たく兄喋り方変じゃね?」
山田拓也「えっ?そうかな?」
あずさ「たく兄、熱でもあるの?」
あずさは薫のオデコに触って確認した。
あずさ「熱は無いみたいだね」
山田拓也「大丈夫だって、ほら、それより早く支度しないと遅刻するぞ」
「はーい」
山田拓也(ふぅ。話し方も気を付けないとね)
朝食を食べ終えてケントとあずさと途中まで一緒に当校して、別れ道で別れた。
〇住宅街の道
山田拓也(さて、学校にいきますか。それで、拓也君はどこの学校に通ってるの?)
マイ(名城男子高等学校です)
山田拓也(名城男子高等学校ってまさか私達の学校と合併する学校じゃなかったっけ?)
マイ(それでは、学校まで案内致します)
マイに案内され名城男子高等学校に着いた
〇教室
教室に入りクラスメイトに挨拶をした。
武田慎二「よっ。拓也。おはよう!」
薫は背中を叩かれてビックリした。
武田慎二「何驚いてんだよ?しっかり頼むぜ。生徒会長!」
マイ(こちらは山田様のご友人で生徒会副会長の武田慎二様です)
山田拓也「あぁ。おはよう」
武田慎二「いや~。いよいよだな。昨日は緊張して寝付けなかったぜ」
山田拓也「今日何かあったっけ?」
武田慎二「おいおい。今日は女子校の生徒会との話し合いの日じゃねぇかよ。しっかり頼むぜ」
山田拓也「あぁ。そうだったな」
山田拓也(やっぱり、あの名城男子高等学校で間違いないみたい。しかも、拓也君が生徒会長だなんて)
昼休み
武田慎二「よし!じゃあ今日もいっちょやりますか!」
山田拓也「えっ?何を?」
マイ(山田様と武田様は毎日お昼に購買でどちらがパンを買ってくるかをじゃんけんで決めているみたいです)
山田拓也(なるほど、いかにも男子って感じだね)
山田拓也「よし。やりますか!」
武田慎二「じゃあ、じゃんけん、ぽん! よっしゃ!俺の勝ち!んじゃ、昼飯よろしく!俺は先に生徒会室に行ってるからな」
山田拓也「ちぇ。了解」
購買まで向かうとそこはすでに戦争と化していた。
山田拓也「こんなのどうしたらいいんだ?」
マイ(この人混みの中を進みパンを購入するみたいですね)
山田拓也「よし!行きますか!」
薫はなんとかパンを購入した。
山田拓也「飲み物は自販機でいいか。男ならブラックでしょ」
〇生徒会室
武田慎二「おっ。戻ってきたか。今回の戦利品はどうよ?」
山田拓也「何がなんだか確認せずにとってきたけど、どうかな?」
武田慎二「おぉ。カツサンドじゃないか!でかした!そんで、飲み物はブラック?」
山田拓也「男ならブラックだろ?」
武田慎二「お前はいつもカフェオレじゃないかよ。まぁ買ってきたもんはしょうがない。食べるか」
山田拓也(自分で買っておいてなんだけど、こんなに食べれるかな)
薫は心配していたがなんなく食べ終えてしまった。
山田拓也「コーヒーも飲もうかな。ぶはっ苦い」
武田慎二「あっはっは。無理して買うからだよ。にがっ!」
山田拓也(いつかブラックコーヒーを飲めるようになりたい!)
武田慎二「いよいよだな。俺、女子とは中学以来まともに会話してないんだけど、大丈夫かな?」
山田拓也「今さらうだうだ悩んでもしょうがないだろ?なんとかなるさ」
武田慎二「よっ!流石生徒会長!頼りにしてるぜ!」
山田拓也(本当に大丈夫かな。緊張してきた)
放課後になり二人は才華女子高等学校に向かった。
〇学校の部室
二人は才華女子高等学校の生徒会メンバーに案内され生徒会室に入った。
西野薫「拓也「あっ。えっと。はじめまして。才華女子高等学校へようこそ。私は生徒会長の西野薫です。」」
西野薫「本日はよろしくお願い致します。そして、こちらが」
水谷春香「才華女子高等学校の生徒会副会長の水谷春香です。よろしくお願い致します」
山田拓也「名城男子高等学校生徒会長の山田拓也です。コチラこそよろしくお願いします!」
武田慎二「同じく、副会長の武田慎二です。よろしく!」
西野薫「それでは、早速ですが、今度の文化祭について会議を始めましょうか」
山田拓也「はい」
メイ(あっお姉ちゃんだ!)
マイ(メイ。しっかりと仕事しなさい)
メイ(はーい)
お互いの生徒会同士の文化祭に向けての話し合いが始まった。
山田拓也(なんだか、不思議な感じがする。私が目の前で話してるなんて。でも、この短時間によく私達の学校のことを理解して会議をしている)
山田拓也(拓也君は真剣に今回の文化祭について考えてるんだね)
西野薫「おや、そろそろいい時間ですね。今回はこのぐらいにしましょうか?」
山田拓也「そうですね」
西野薫「今回の話し合いで次までにやらなければならない課題が見えてきましたね」
西野薫「次回の会議までにこちらでも話し合いを進めておきますね」
山田拓也「はい。こちらも今回の話し合いでのことを持ち帰って会議をします」
西野薫「それでは、今回はありがとうございました。気をつけてお帰り下さい」
山田拓也「はい。ありがとうございました」
生徒会室を出てしばらくすると後ろから誰かが話しかけてきた。
〇学校の廊下
西野薫「山田さん。ちょっとだけお時間よろしいですか?」
山田拓也「はっはい」
西野薫「すみません、すぐに終わりますから」
拓也は薫を人が居ない場所に連れてきた。
西野薫「今回はいろいろとすみません。まさか、女子校の生徒会長が薫さんだったなんて」
山田拓也「私もビックリしました。でも、いろいろと良い経験をすることができて楽しかったですよ」
西野薫「そう言ってもらえると助かります。あと、この後バイトを入れてしまってるんだけど、あれなら休んでもいいよ」
山田拓也「大丈夫。今日1日は拓也君なんだからバイトもしっかりこなしてみせるよ。因みにどこでバイトしてるの?」
西野薫「駅前のモンブランっていう喫茶店なんだけど」
山田拓也「モンブラン?!私が良く行く喫茶店だ。あそこで働いてたんだ」
西野薫「知ってるなら話が早いね。僕の担当はホールだからお客様の接客が仕事だね」
西野薫「分からないことは先輩の美香さんに質問すれば大丈夫だと思うから」
山田拓也「わかった。やってみる。あと、私もこの後、塾に行かないと行けないから勉強頑張ってね」
西野薫「因みにどこの塾?」
山田拓也「ヒカル塾だけど、知ってる?」
西野薫「あぁ。ヒカル塾なら慎二と同じ塾だね。それならわかるよ」
山田拓也「慎二君も通ってたんだ。知らなかった」
西野薫「それじゃあ、お互い頑張ろう」
山田拓也「うん。それじゃあね」
薫は拓也と別れて慎二と帰っていた。
〇住宅街の道
武田慎二「西野さんと何を話してたんだ?」
山田拓也「大したことじゃないよ。次回の会議についてね」
武田慎二「そっか。はぁ~」
山田拓也「どうしたんだよ?」
武田慎二「いや~。実は一目惚れしたみたいなんだよな~」
山田拓也「えっ?一目惚れ。誰に?」
武田慎二「西野薫ちゃんに」
山田拓也「私に?!」
武田慎二「はっ?お前じゃねぇよ!西野薫ちゃんだよ。どうやったら間違えんだよ」
山田拓也「あぁ。ごめん。でも、本当に好きになったのか?もう少し考えた方がいいんじゃないのか?」
武田慎二「間違いないね。でもな~西野ちゃん可愛いからな~うだうだしてたら、他の奴等にとられるかもしれない」
武田慎二「だから、俺、文化祭で告白しようと思う」
山田拓也「マジかよ?!」
武田慎二「まさか、お前も狙ってるんじゃないだろうな?」
山田拓也「ないない」
武田慎二「まぁお前も他人事じゃないんじゃないか?」
山田拓也「何のことだ?」
武田慎二「気付いてないのか? 向こうの副会長の水谷さん、多分お前に惚れてるぜ」
山田拓也「春香が?」
武田慎二「おいおい。もう呼び捨てかよ」
山田拓也「いや、これはビックリしてつい。でも、それは無いだろう」
武田慎二「絶対そうだって。会議中もチラチラお前の方を見てたぜ。お前こういうことには鈍いからな」
山田拓也「マジかよ」
武田慎二「まぁ。お互い頑張ろうぜ。じゃあな。バイト頑張れよ!」
山田拓也(春香が拓也君をそして、慎二君が私。もう訳が分からないよ)
薫はその後、拓也のバイト先の喫茶店モンブランに向かった。
〇シックなカフェ
山田拓也「おはようございます。今日もよろしくお願いします」
美香「おっ。きたきた。待ってたよ。ほら、さっさと着替えてくる。今日もしっかりと働いてもらうよ」
薫は目の前の女性の名札を確認した。
山田拓也(この人が拓也君が言ってた美香さんか)
山田拓也「はい。よろしくお願いします!」
薫は更衣室で着替えてホールに向かった。
美香「それじゃあ、3番テーブルの片付けしてくれる?」
山田拓也「はい。わかりました!」
薫は3番テーブルの片付けに向かった。
片付けを終えて戻ってくると次は6番テーブルに飲み物を出しに行くように言われた
6番テーブルに向かうと春香が居た。
山田拓也「あっはるじゃなくて、水谷さん」
水谷春香「えっ。山田君。ここで働いてたんだ!」
山田拓也「あっ。うん。そうなんだ。あっこれロイヤルミルクティーです」
水谷春香「あっありがとう!」
山田拓也「えっと、ごゆっくり」
水谷春香「あっあの!」
山田拓也「はい?」
水谷春香「えっと、良かったら文化祭の日一緒に周りませんか?」
山田拓也「えっ?」
水谷春香「突然こんなこと言われても困りますよね」
水谷春香「でも、今言わないと駄目な気がして。駄目ですか?」
山田拓也「いや、駄目じゃないよ」
水谷春香「良かった」
山田拓也「それじゃあ、もう行くね」
水谷春香「バイト頑張って下さい」
山田拓也(さっき慎二君が言ってたのがまさか的中してたなんて。春香が拓也君のことを)
美香「何々?知り合い?」
山田拓也「あっはい。今度合同で文化祭をやることになって」
美香「あぁ。前に話してたね。それで?」
山田拓也「一緒に文化祭を周らないかって誘われました」
美香「へ〜良かったね。文化祭楽しみだね」
山田拓也「そうですね」
山田拓也(良いことな筈なのになんだかモヤモヤする)
その後、なんとかバイトをこなし家に帰った。
〇アパートのダイニング
山田拓也「ただいま〜」
ケント「あっ。たく兄!お帰り!なぁなぁこのモンスターを一緒に狩ろうぜ」
あずさ「もう。たく兄は疲れてるんだからそんなの後々。ご飯食べよう」
山田拓也「そうだな。今ご飯の支度するからもう少し待っててくれ」
山田拓也「よし。出来た!それじゃあ、食べようか?いただきます!」
「いただきます!」
ケント「今日さ。野球でヒット打ったよ!」
山田拓也「お〜凄いじゃん」
ケント「今度また一緒にキャッチボールしようよ」
山田拓也「あぁ。いいよ」
あずさ「え〜。たく兄今度一緒にお菓子作る約束したじゃん」
山田拓也「えっ。あ〜勿論!やろうね」
ご飯を食べ終えてケントと一緒にお風呂に入りあずさの宿題を一緒に済ませてケントとゲームをしてようやく1日が終わった。
マイ(お疲れ様でした。これにて人生交換の体験期間が終了になります。他にやり残したことが無ければ、カイ様の元に戻りますが?)
山田拓也(あっちょっと待って)
薫はスケジュール帳に今日あったことを書き残した。
山田拓也「よし。大丈夫」
マイ(それでは、カイ様の元に戻ります)
その言葉を聞いてまた目の前が真っ暗になった
〇近未来の会議室
カイ「お帰りなさいませ。お待ちしていました」
カイ「お二人共お疲れ様でした。人生を交換するということがどういうことなのか、少しはご理解いただけたのではないでしょうか?」
カイ「マイとメイもご苦労だったね」
マイとメイは静かにお辞儀をした。
カイ「お疲れのところ申し訳ありませんが、早速本題に移りたいと思います」
カイ「1日だけですが、人生交換を体験していただいて、改めて良く考えてもらい、人生交換をするのかどうかを決めて頂きます」
カイ「人生交換について改めてご説明させて頂きます。人生交換した場合二度と元の身体に戻ることはできません」
カイ「体験の時と違い記憶も交換するので、以前の記憶は一切なくなります」
カイ「そして、人生交換アプリに関する記憶も全て消させて頂きます。これに関しては人生を交換しようがしまいが同じですけどね」
カイ「それでは、質問がなければ最後の手続きに移らせて頂きますが、よろしいですか?」
「薫「はい。」 拓也「大丈夫です。」」
カイ「それでは、最後の手続きに移りたいと思います」
カイがそういうと目の前に黒と白のボタンが現れた。
カイ「人生交換をしたい場合は白のボタンをしたくない場合は黒のボタンを押して下さい」
カイ「二人共に白いボタンを押した場合は人生交換に同意したとみなし、人生交換を行います」
カイ「どちらか一人でも黒のボタンを押せば不成立となります」
カイ「それでは、ボタンを押して下さい」
薫と拓也はほぼ同時にボタンを押した。
カイ「ふむ。なるほど、それでは、結果を発表させて頂きます」
「マイ「西野薫様。黒。」 メイ「山田拓也様。黒。」」
カイ「これにより今回の人生交換は不成立とさせて頂きます」
カイ「それでは、不成立となりましたので、お二人には明日からも今まで通りの生活に戻ります」
カイ「そして、先ほど言ったとおり人生交換アプリに関する記憶は消させて頂きます」
カイ「最後にわたくしからひとつ質問してもよろしいですか?」
「薫「はい。」 拓也「どうぞ。」」
カイ「人生交換をやめた理由をお聞かせください」
西野薫「西野薫として生きてみたいと思えたからです」
西野薫「私にはまだやらないといけないことがあってそれを投げ出す訳にはいかないと思ったのと、この先の未来を見てみたいと思った」
西野薫「もしかしたら辛い結果が待っているかもしれないけれど、それでも見ないといけない気がするから」
カイ「なるほど、わかりました」
カイ「貴重な意見を聞かせて頂きありがとうございました。それでは、そろそろ我々はおいとまさせて頂きます」
カイ「お二人の今後の人生に幸多からんことをお祈りしています。では」
「マイ「さよなら。」 メイ「グッドラック!」」
「薫「ありがとう。」 拓也「元気でな。」」
目の前が真っ暗になり私は目が覚めた時にはいつもの自分の部屋にいた。
昨日丸1日の記憶がさっぱりない。
それからしばらくして男子校と女子校の合同文化祭の日がやってきた。
〇文化祭をしている学校
水谷春香「いよいよだね」
西野薫「今日をなんとか乗り切りましょう」
武田慎二「思いっきり楽しもうぜ!」
山田拓也「悔いの残らないようにしよう!」
文化祭が始まった。
校内には様々な屋台が出ていたり展示物があったりして皆各々楽しんでいた。
生徒会メンバーは見廻りをしたり文化祭本部で対応したりしていた。
交代で休憩をしながら各々が文化祭を満喫している。
そして薫は慎二と文化祭を廻っていた。
西野薫(私が慎二君と文化祭を周っているのは私のスケジュール帳に慎二君と文化祭を周る約束をしたと書いてあったからだ)
西野薫(私自身は書いた覚えがないが間違いなく自分の字だった)
西野薫(拓也君や慎二君と初めて会った日の記憶がない為おそらくその時に約束をしたのだろう)
薫と慎二は文化祭を周り休憩時間が終わろうとしていた。
西野薫「そろそろ戻ろうか?」
武田慎二「最後にもう1箇所だけいい?」
西野薫「うん。じゃあもう1箇所だけね」
薫は慎二に連れられて屋上に来ていた。
屋上からは皆が文化祭を楽しむ様子が見れた。
西野薫「最初は心配だったけど、皆に楽しんで貰えて良かった」
武田慎二「そうだな」
西野薫「これも拓也君と慎二君達男子校の皆の協力のおかげだね」
武田慎二「それは、こっちも同じだよ」
西野薫「さてと、そろそろ戻ろうか」
武田慎二「西野さん!」
西野薫「はい?」
武田慎二「好きです。初めて会った時から貴方の事が好きでした。俺と付き合って下さい!」
西野薫「あっ」
薫は慎二の気持ちに気付いていた。
春香からもそんな話を聞いていたし一緒に活動していてなんとなくそうなんじゃないかと思っていた。
薫自身もスケジュール帳に書かれていた文字を見てから少なからず慎二を意識していた。
その時、校庭に拓也と春香が二人で文化祭を楽しんでいる姿が見える。
西野薫(そう言えば、春香は拓也君と周るって言ってたっけ。春香は拓也君のことがきっと好きなんだろうな)
その時、薫の目から涙が流れる
西野薫(あれ?私どうして泣いてるんだろう?祝うべきなのに。そっか。私は・・・)
西野薫「ごめんなさい。私には好きな人がいます。だから、貴方とは付き合えません。ごめんなさい」
武田慎二「そっか。わかった。ごめん。俺もう少しここで休憩してから戻るわ」
西野薫「うん。わかった」
薫はその場から離れ文化祭本部に戻った。
文化祭も終わりが近づき皆後夜祭の準備をしていた。
後夜祭は校庭で音楽に合わせて踊る予定だ。
薫は一人で文化祭本部で後始末をしていた。
窓の外では男子生徒と女子生徒が仲良く踊っている。
山田拓也「西野さん?」
西野薫「山田君。どうしてここに?春香と一緒じゃないの?」
西野薫「それを言うなら西野さんも慎二はどうしたんですか?」
西野薫「この話は止めようか」
山田拓也「そうだね」
二人は文化祭の後片付けを始めた。
山田拓也「楽しそうですね。皆」
西野薫「そうだね。良かった」
拓也は不意に立ち上がり薫に手を差し出す。
山田拓也「俺達も踊りませんか?」
西野薫「ここで?」
山田拓也「はい。今日この日の為にお互いに頑張ってきてこのまま終わるのも面白くないじゃないですか。だから」
西野薫「わかった。そこまで言うなら貴方に付き合ってあげる」
薫は拓也の手をとり二人は踊り始めた。
練習していない為ぎこちなく踊る二人。
山田拓也「踊るのは初めてですか?」
西野薫「うん。山田君は?」
山田拓也「俺も初めてです。でも、楽しいですね」
西野薫「そうだね」
この時間がずっと続けばいいのに。
しばらくして音楽が止んだ。
山田拓也「終わっちゃいましたね」
西野薫「そうだね。私達も帰ろうか。片付けはまた明日やりましょう」
山田拓也「・・・」
西野薫「ん?山田君。どうかした?」
山田拓也「実は今日水谷さんに告白されました」
西野薫「そうなんだ」
山田拓也「でも、俺は断ってしまいました」
西野薫「・・・」
山田拓也「水谷さんに告白された時に真剣に自分の気持ちと向き合った時に俺は自分の気持ちに気づいた気がしました」
山田拓也「それを確かめたくて俺は今ここにいます」
山田拓也「ここで西野さんと踊ってその気持ちが本物だと確信しました」
西野薫「止めて!それ以上は言わないで。お願い。さっきのことは忘れてまた明日から普通に学校生活を送りましょう」
山田拓也「今日じゃなきゃ。今じゃなきゃ駄目なんです。今を逃したらもう言えなくなる気がするからだから、言います」
山田拓也「俺は西野薫さん。貴方が好きです」
西野薫「ずるいよ」
山田拓也「えっ?」
西野薫「そんな風に言われたらもう逃げられない」
西野薫「自分の気持ちに気づいたけど、隠そうと思った。その方がきっと上手くいくから」
西野薫「でも、春香や武田君。そして、貴方の真っ直ぐな気持ちを知って私も逃げちゃ駄目だと気づけました」
西野薫「私も貴方が好きです」
拓也は薫をそっと抱きしめた。
薫は目から涙を流す。
西野薫「まさか1日に2回も泣くなんて」
西野薫「ありがとう。私を好きになってくれて。こんな気持ちに気付かせてくれて」
山田拓也「俺の方こそありがとう」
男の子になりたい女の子西野薫の場合end