エピソード2 イマドキ(脚本)
〇オフィスのフロア
今時野子「おはよ~ございまぁす!」
令和和令「荒れてるなぁ!」
古和杉流「笑い事じゃない!大体こうなったのは・・・」
令和和令「俺のせいだって言いたいの?」
令和和令「それハラスメントじゃね?」
古和杉流「す、すまない・・・」
令和和令「冗談っすよ冗談! ホント怖がりだなぁ部長!」
木間寺芽「コワスギル部長」
木間寺芽「こちらの確認よろしいでしょうか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
古和杉流「あの!」
木間寺芽「はい・・・」
古和杉流「いい天気だね!」
木間寺芽「ですね で、資料は?」
古和杉流「あ、うん。これでいい・・・」
古和杉流「と、思うよ・・・」
古和杉流「な、何かしたか私・・・」
令和和令「部長はホント女心のわかんねぇアホだなぁ」
古和杉流「アホとはなんだレイワカズノリくん!」
令和和令「もっとウキウキする会話しなよ」
古和杉流「ウキウキ?どんな?」
令和和令「なんでもいいんだ」
古和杉流「だから! 天気の会話から徐々にだね・・・」
令和和令「それ一番やっちゃダメ そこからロマンスは生まれない」
古和杉流「そうなの?」
令和和令「ドラマや映画で天気の話から恋に発展する場面観た事ないだろ?そういう事だよ」
古和杉流「映画もドラマも観ないしなぁ・・・」
令和和令「何も知らないおっさんだな やる気あんの?」
令和和令「付き合いたいんでしょキマジメさんと!」
古和杉流「え!?そ、それは・・・」
令和和令「この前の件でみんな知ってる 二人が両想いだって」
古和杉流「え~恥ずかしいなぁもう」
令和和令「誰が見ても二人はいい感じ あとは部長が押すだけ」
令和和令「なのにいつまでもモジモジして それでキマジメさん怒ってんの わからんかね?」
古和杉流「そんなモジモジ君の私を気づかって、キマジメくんの方からデートのお誘いしてくれないだろうか・・・」
令和和令「バカたれが!」
古和杉流「バカたれって!私部長だよ!?」
令和和令「女から誘われるのを待つ男がどこにいますか!バカたれですよ部長は!」
古和杉流「だ、だってぇ・・・」
令和和令「なんでもいいって言ってんじゃん!」
令和和令「例えばドライブ誘うとかでも・・・」
古和杉流「免許持ってない」
令和和令「旅行とか」
古和杉流「私インドアだし」
令和和令「遊園地とか」
古和杉流「ジェットコースター乗れない・・・」
令和和令「じゃあプレゼント! それなら部長でもできるでしょ!」
古和杉流「おお!そうか!何しよ?」
古和杉流「100万本のバラとか?」
令和和令「プレゼントはレベルじゃなくて数」
令和和令「100万本のバラで女性の満足ポイントが100万点入ったと思ってるでしょ?」
古和杉流「違うの?」
令和和令「1点だ」
古和杉流「1点!?100万本で!?」
令和和令「バラの本数じゃない。プレゼントをあげた回数。花の数が1億だろうが1兆だろうが。それは1回のカウント。わかる?」
古和杉流「な・・・なんか数学みたい・・・」
令和和令「大事なのは質じゃない。男はプレゼントが高級であれば高級であるだけいいと思ってるけど、あれは間違い」
古和杉流「うそだ!雑誌にはそう書いてあったもん!」
令和和令「そりゃ高価なものは喜ぶ だけどそれっきりその後何もしないよね?」
令和和令「それはプレゼントの質がそのまま恋人のポイントになったと勘違いしてるから」
古和杉流「・・・身に覚えがありすぎる」
令和和令「毎日の積み重ねさ」
古和杉流「それじゃお金足りなくなっちゃう!」
令和和令「物じゃなくてもいい」
令和和令「ほんと男ってバカだな だから嫌いなんだ」
令和和令「感謝の言葉や愛の気持ちでいいんだよ」
古和杉流「毎日愛を伝える・・・ 1点を積み重ねていくと いずれ100万点になる・・・」
令和和令「そう!そういう事だよ!」
古和杉流「・・・なんかわかった気がする!」
令和和令「ホントかなぁ 男ってすぐ忘れるから・・・」
古和杉流「まぁ見ててくれたまえ! 待ってろよキマジメくん!」
令和和令(部長・・・仕事しろよ・・・)
古和杉流「キ、キマジメくん・・・あの・・・」
今時野子「部長💖ご飯行きましょうよぉ!」
古和杉流「イマドキノコくん!? 君、前は・・・」
こんなんだったのに・・・
今時野子「私本当はこうなんです!今までおばさんがうるさかったから地味目にしてただけです」
古和杉流「お、おばさんて言い方はちょっと・・・」
今時野子「ねぇ部長!ご飯行きましょう!実はずっと部長狙ってたんです私!」
古和杉流「ね、狙ってた?」
今時野子「知ってました?部長カッコいいんですよ!」
今時野子「頭のいいおじ様って感じ! 寡黙でスラっとしてて素敵です!」
古和杉流「そうかなぁ・・・」
古和杉流「そんな事ないよ!僕なんか全然カッコよく・・・」
今時野子「ううん!カッコいい!部長は・・・」
今時野子「その歳でデブでもハゲでもない! きもいジジィじゃないもん!」
今時野子「デブハゲチビは死んだ方がいい!そう思いません?あいつらに人権ないっすよね?」
古和杉流「い、今時くん!その言い方はないんじゃないかな!誰にだって人権はある!」
今時野子「何怒ってるの? ハゲデブチビじゃないじゃん部長」
令和和令「いい加減にしろよ!」
今時野子「あ?お前に言ってねぇし。引っ込んでろよ」
今時野子「ホモが!」
古和杉流「今時くん!」
今時野子「あれ?レズだっけ?女が男になったからオナベ?まぁなんでもいいや」
今時野子「何?言いたい事あんだったら言えよ」
今時野子「あんた嫌いなもの何?」
令和和令「なんだ急に・・・」
今時野子「いいから言え」
令和和令「・・・きゅうり」
今時野子「今後きゅうり好きになる事ある?」
令和和令「多分ない」
今時野子「それと一緒」
今時野子「私同性愛者は気持ち悪いと思ってる」
今時野子「デブハゲチビも嫌い」
今時野子「あんたがどうひっくり返ったってきゅうりを好きになれないように」
今時野子「私も同性愛者を好きになれない 何か間違った事言ってる私?」
令和和令「・・・わかった」
令和和令「だけどそんな事わざわざ言わなくていいだろ!」
今時野子「あんたが突っかかってきたからだろ!」
今時野子「今までお前みたいなもんと何気ない顔して毎日付き合ってやってただろ!本当は苦痛なんだって知れ!」
今時野子「てめぇらが平等だとかなんとか抜かすせいで!私みたいなマジで嫌いな人間の意見無視してよ!こっちの身にもなれ!」
今時野子「どっちがハラスメントだタコが!」
今時野子「泣きたいのはこっちだっちゅうの・・・」
古和杉流「今時くん!」
今時野子「何か?」
古和杉流「その・・・あれだ・・・」
今時野子「私は私の意見を言っただけ ハラスだなんだとか そういう壁を壊したのはそっち あいつ傷つけたのあんたらよ」
古和杉流(そうか・・・)
私達は今まで・・・
ハラスメントに守られていたのか・・・
木間寺芽「今時さん」
今時野子「なんだよおばさん」
木間寺芽「ごめんね。こんなやり方しか思いつかなかった。嫌いなやり方だけど。今時の子にはこれが一番ダメージが大きいと思って・・・」
今時野子「な、何言ってんのよ!?」
今時野子「スマホが・・・何よ」
木間寺芽「さっきの撮影してSNSにあげちゃった❤」
木間寺芽「安心して!顔にモザイクかけて声加工して誰かわからないようにしたから!」
古和杉流「い、いつの間に!?」
木間寺芽「決まってるじゃないですか!先ほど編集したんですよ!」
古和杉流「はや!?君映像編集できたの!?」
木間寺芽「まさか!初めてやりました!ど素人です!」
古和杉流「すご!君めちゃくちゃ天才なんじゃない?」
木間寺芽「違います!私のは才能とかじゃないです! あれは・・・」
木間寺芽「絶対にあいつを地獄に堕とすという・・・執念」
今時野子「あんたとんでもない事したな!身バレしたらどうすんだ!」
木間寺芽「だからモザイクかけたって」
今時野子「窓の外から景色映ってんじゃん! 最近じゃこういう所からバレるんだよ!」
木間寺芽「そうなんだ!私そういうのわかんないよ!だっておばさんだし!それと・・・」
木間寺芽「あんたなんかバレた方がいいと思ってる」
木間寺芽「あなたが間違ってないって言うのなら 世界中の人にジャッジしてもらいなさい」
木間寺芽「コメント来てるよ?見ないの?」
木間寺芽「さ!仕事しましょ!」
「いや無理無理無理無理!!」
古和杉流「この状況で仕事とか無理でしょ! どうしよう?私早退しようかな!?」
令和和令「ちょっと!逃げないで下さいよ!」
古和杉流「だって怖すぎるんだもん!」
令和和令「あの人敵に回したらやばいっすけど とにかく刺激しないようにしたら・・・」
木間寺芽「なんか言った?」
「言ってません!」
木間寺芽「レイワくん」
令和和令「は、はい!!」
木間寺芽「この前のチョコのお返し!ありがとね!」
木間寺芽「私はあなたの!永遠の味方だから!」
古和杉流「今のも1点?」
令和和令「いえ 100万点です」
古和杉流「いい天気だね・・・」
令和和令「ええ すっごく・・・」