キマジメント

小松朋喜

エピソード3 オカエシ(脚本)

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〇オフィスのフロア
「おはようございまぁす・・・」
  声が小さい
木間寺芽「スカートの裾が短い」
木間寺芽「ネクタイが曲がっています」
木間寺芽「メイクが濃い 気をつけてください」
令和和令「昔のキマジメさんに戻りましたね」
古和杉流「うん・・・だけど」
古和杉流「みんなイキイキして いやな感じがしないね」
令和和令「ですね」
令和和令「でも・・・」
令和和令「あんな格好で・・・キモが座っているというかなんというか・・・」
古和杉流「さすがイマドキくん・・・今時だな」
古和杉流「うわぁ~あの二人いつか爆発しそう・・・ 怖すぎる!」
令和和令「大丈夫だと思いますよ?キマジメさんにケンカ売る人いないって😔」
古和杉流「ずいぶんキマジメくんに詳しいじゃないかレイワくん」
令和和令「へ?もしかして部長 この前ので俺に嫉妬してる?」
令和和令「あの時はキマジメさんにグッと来たけど恋愛感情とかじゃないっす!」
令和和令「大丈夫!キマジメさん信じて下さい!あの人はコワスギル部長一筋ですって!」
令和和令「俺の事より自分の事!」
令和和令「またモジモジウジウジしてたら何もしてこないって訴えられますよ!」
古和杉流「それはモウマンタイ」
古和杉流「あれから自然に話せるようになったんだ!」
令和和令「マジ?やればできるじゃん」
古和杉流「今日なんて会話はずんでさ キマジメくんが疲れてますねって栄養ドリンクもらったんだ」
令和和令「それ、お返しした?」
古和杉流「してないけど、どうして?」
令和和令「はぁ・・・このおっさん何回言ってもわかってねぇな・・・」
古和杉流「大袈裟だなぁ!ホワイトデーじゃないんだからいちいちお返しなんて・・・」
令和和令「オタンコナス!」
令和和令「女は自分が与えていればこちらから求めなくても相手も与えてくれるはずだと期待するものなんです!」
  だからすぐにお返しをするべきっす!
古和杉流「お、お返し・・・しなかったら?」
令和和令「殺されます」
古和杉流「殺されるの!?」
令和和令「ええ・・・ あのキマジメさんですよ?」
古和杉流「・・・だな」
  私の悪口言ってます?
古和杉流「い、言ってないよ! ね!レイワくん!」
令和和令「ええ!全く何も言ってません!」
木間寺芽「へ~そうですか・・・」
古和杉流「そ、それよりどうしたの・・・」
木間寺芽「こちらの資料の確認を・・・」
  ねぇ!
令和和令「こいつ・・・あの人にケンカ売る気か? キモが座ってるっていうか・・・アホ?」
木間寺芽「なんでしょう?」
今時野子「あんた!SNS攻撃されてるのにどうしてそんなに平気でいられるのよ!」
令和和令「ホントだ・・・キマジメさんのSNS・・・あの一件で誹謗中傷のコメントでいっぱい」
令和和令「モザイクをかけて配慮してるっぽいけど、嫌いな後輩をさらすなんて最低だってコメントが・・・」
古和杉流「キマジメくんを味方する人少しだけいるけど・・・」
令和和令「その人達もアンチに攻撃されてる・・・ これ、炎上ってやつですね」
木間寺芽「あなた引っ越ししたんだって? アカウント消したのも身バレ避けるため? もっと骨のある子だと思ったのに・・・ がっかり」
今時野子「なんだと!?」
木間寺芽「一応あの後動画はすぐ消したのに誰かがそれを録画してアップしたのね 世の中には暇人が溢れてるわね」
今時野子「何なのよその態度! もっと・・・ もっと傷つきなさいよ!」
今時野子「もっと病んで・・・苦しんで・・・悲しみなさいよ・・・」
木間寺芽「なるほど。SNSで私を執拗に攻撃してくる人がいるなと思ったらあなたね?別アカ作ったんだ」
木間寺芽「動画拡散させたのもあなた?暇人ね」
古和杉流「そ、そうなのかイマドキくん・・・」
今時野子「あんたの家の住所さらした・・・嫌がらせとかされてるでしょ」
木間寺芽「ええ。窓ガラス割られたしいたずら書きとかすごいよ。見る?ひどすぎて笑える💖」
古和杉流「なんだって!?」
令和和令「警察に言った方が・・・」
木間寺芽「必要ない 別に何とも思ってないし」
木間寺芽「ただ近隣やマンションのオーナーは迷惑してるから引っ越す。だからもうやめて?新しい住所はさらさないで。周りが迷惑する」
今時野子「嘘!本当は攻撃されるのが怖いんでしょ?」
木間寺芽「いいえ」
今時野子「怖くないわけないじゃん!普通なら・・・」
今時野子「コイツなら怖くて死んじゃう!」
古和杉流「コイツって私の事!?君この前私を好きだって・・・」
今時野子「もう冷めた」
古和杉流「はや!?やっぱり君、今時だなぁ・・・」
木間寺芽「バカみたい」
古和杉流「ひど!?急に口悪いよキマジメくん!?」
木間寺芽「コワスギル部長の事じゃないです そんな事で・・・」
木間寺芽「誹謗中傷なんかで傷つく人間はバカみたいだって言ったんです」
木間寺芽「世間じゃ誹謗中傷はダメだと言うけど、誰ももっと自分自身の心を強くしろとは言わない」
木間寺芽「っというか言えない。ご時世的に」
木間寺芽「だから誹謗中傷はこの世から消えないのよ」
木間寺芽「バカよ」
木間寺芽「戦わず白旗を振っている人間をかばうから日本という国はバカなの」
木間寺芽「本当は人の事なんてどうとも思ってないのにどいつもこいつもあれはよくないだのと偽善ばっかり」
木間寺芽「現実から逃げるような人間なんてほっときなさい」
木間寺芽「弱音吐くような人間をかばうな」
木間寺芽「強い人間だけを育てなさい」
木間寺芽「イマドキさん あなたは強い」
木間寺芽「あなたブレない。みんな私を怖がってオフィスカジュアルからスーツに戻った。でもあなたは自分を突き通した」
木間寺芽「今日も逃げずに出勤した。なかなかできる事じゃない。今時の子ってそういう所あるよね。それはすごいと思う」
木間寺芽「負けたくない気持ち、誰よりもわかる」
木間寺芽「中々性格悪くて私好きよ!」
木間寺芽「まだ何か言いたい事ある?なければ仕事したいんだけど?」
木間寺芽「部長」
木間寺芽「こちらの資料 目を通してもらえますか?」
古和杉流「う、うん・・・」
木間寺芽「では失礼します」
古和杉流(もうちょっとでみんな感動して拍手喝采しそうだったのになぁ・・・)
  キマジメくんそういう所あるんだよなぁ
令和和令「これ食って落ち着け ほんで仕事しろ」
今時野子「は?落ち着いてるし」
今時野子「それに私今日女の子の日じゃないし。あんたそういうのもセクハラになるんだからね」
令和和令「わかってるよ 女の子気持ち誰よりも オナベだし」
今時野子「そ・・・それは・・・」
令和和令「いいんだ 言葉や態度はきついけど 言ってる事は何も間違ってない ただ・・・」
令和和令「素直でガキなだけ」
令和和令「ガキは成長するものだ」
令和和令「学ぼうぜ ガキ同士」
今時野子「・・・うん」
古和杉流「みんな飲みに行こう! 私のおごりだ! 遠慮せずに・・・」
今時野子「そういうのいいっす 時間なんで帰ります」
令和和令「おつかれさました~」
古和杉流「だから飲みに誘いたくないんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
古和杉流「これありがと!元気になったよ!」
木間寺芽「それはよかった」
古和杉流「あの・・・お、お返ししたいなって・・・」
木間寺芽「お返しなんて。そんなのどこにでも売っているので結構ですよ」
古和杉流「食事に行こう!」
古和杉流「何食べたい?おごるよ!」
木間寺芽「それ若い子に断られたから仕方なく私誘ってます?」
古和杉流「ちがうよ!」
古和杉流「キマジメくんと食事に行きたいんだ・・・ 二人で・・・」
木間寺芽「わかりました」
木間寺芽「ただし」
木間寺芽「おじさんが行くような居酒屋は嫌ですよ」
古和杉流「当たり前だろ!これは打ち上げじゃない!デートなんだから!」

次のエピソード:エピソード4 コワスギル

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