罪人と共に。

黒路野

エピソード3 笑顔(脚本)

罪人と共に。

黒路野

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〇昔ながらの一軒家
  4月9日
  深夜
マナミ「あれが立花の家と警備員・・・」
ユウ「そうだ」
ユウ「そしてあの家に侵入すれば、立花に会えるんだ」
ユウ「さて・・・あの警備員をまずは何とかしないとな」
ユウ「君は左の警備員をなんとか無力化できるか?」
マナミ「もちろん・・・」
ユウ「私は右の警備員を対処しよう」
ユウ「しくじるなよ?」
マナミ「えぇ・・・」
マナミ「あなたこそ、へましないでね」
ユウ「善処するよ」
ユウ「それじゃあ・・・」
「!!!」
警備員A「爆発・・・!?」
警備員B「何かの攻撃かー? 煙も上がってきやがった・・・」
警備員B「仕方ねぇ・・・見てくるわ・・・」
警備員A「気を付けろよ・・・」
警備員A「こっちも警戒しとくか・・・」
警備員A「がっ!????」
マナミ「まだ終わらないよ・・・」
警備員A「ぐは!???」
警備員A「あっが!?????!!?」
マナミ「・・・」
マナミ「勝った・・・」
ユウ「・・・」
ユウ「木刀でひたすら殴るとは・・・」
ユウ「なんというか・・・」
ユウ「随分雑だな・・・」
マナミ「先手必勝だよ・・・」
マナミ「それよりそっちは・・・?」
ユウ「薬で眠らせた」
ユウ「おそらく明日の夜まではぐっすりだろう・・・」
マナミ「それじゃあはやく・・・」
ユウ「あぁ入るとしようか・・・」
ユウ「行くぞ・・・」

〇CDの散乱した部屋
立花「な、なんだお前たち!?」
ユウ「お邪魔するよ」
マナミ「お邪魔します・・・」
立花「け、けけけ、警備員は!??」
マナミ「眠ってもらってる」
ユウ「さてここに来たのには」
立花「くくくすく薬だろ!??」
立花「頼む・・・いくらでもやるから!」
マナミ「いや、違うけど」
立花「は???」
ユウ「麻薬関連なら、警備員を眠らさずにオンライン上で連絡を取る」
ユウ「しかし今回は荒っぽい方法でここまで来たんだ」
ユウ「つまり麻薬関連ではなく、俺たちは別の理由でここまで来た」
立花「な、なんだよ・・・?」
マナミ「蛇」
マナミ「「蛇」のことを教えて欲しいの・・・」
立花「・・・」
立花「・・・帰れ・・・」
マナミ「え?」
立花「帰れえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
マナミ「・・・!」
ユウ「ちっ・・・!」
ユウ「少し眠ってもらうか・・・」
立花「うっ・・・」
マナミ「尋常じゃない焦り方・・・」
マナミ「どういうことなの・・・」
ユウ「立花はひどく「蛇」を恐れているようだ・・・」
ユウ「実は数週間前」
ユウ「俺はオンライン上で一度立花とコンタクトを取ったんだ」
ユウ「麻薬の新しい交易網の情報と引き換えに「蛇」について聞こうとした」
ユウ「が・・・立花からの返答は無し・・・」
マナミ「つまり立花にとって「蛇」との過去は触れられたくないもの・・・」
ユウ「だが俺たちとしては「蛇」と立花の過去は重要なものだ」
ユウ「そこで今日。無理やり家に上がらせてもらったわけだ・・・」
ユウ「だが立花と「蛇」の想い出はよほどトラウマらしいな・・・」
マナミ「・・・可哀想」
ユウ「おい?」
ユウ「情を移すなよ・・・?」
マナミ「分かってる。聞かなくちゃいけないから・・・」
マナミ「やろうか・・・」

〇村の眺望
  眠り続けていた
  不思議な感覚
  気分は悪い
  快眠の感覚は直ぐに消え去る
  残ったのは苦しみのみ
  悪夢
  悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢
  そして唐突に記憶が鮮明に映りだす
男「今日の仕事は誘拐だ」
女「短い間だけどよろしく」
立花「よろしくっす」
  10年前の俺。最初は軽い気持ちだった
  だって報酬高いもん
  数時間で一気に稼げる!
  この金さえあれば、しばらく遊んで暮らせる
  大丈夫だ
  直ぐに終わるさ・・・
小さい男の子「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
立花「これでよし・・・!」
立花「なんだよ・・・意外と簡単に誘拐できるじゃん!」
男「お疲れ様」
女「それじゃあこの子を・・・」
立花「え?」
小さい男の子「あああっああ!? ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
立花「な、」
立花「何してるんですか!?」
女「なにって・・・?」
男「殺しただけだよ?」
立花「はっ??」
女「だって折角誘拐したんだから」
男「殺さなきゃ、勿体ないじゃん?」
  俺はバカだった
  裏社会
  「蛇」
  その恐ろしさを全く理解していなかった
女「それじゃあこれ報酬ね」
立花「あっ・・・はい・・・」
男「次もよろしくね」
立花「え・・・は、はい・・・」
  俺は気づいたんだ・・・
  もう逃げられないって・・・
女「この子の肉。分解して売り飛ばしましょう」
男「いいね! 久しぶりに男の子の肉壊せるよ!」
  俺はもう一生逃げられない
  「蛇」と呼ばれる2人
  犯罪を繰り返す彼らの顔は
  どうしようもないほど
タカオ「結構この子。肉付きいいね!」
ヤヨイ「ここも売りましょうか!」
  笑顔だった

〇CDの散乱した部屋
立花「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
マナミ「あ、起きた」
ユウ「薬の効果がはやく切れたようだな」
立花「はぁはぁ・・・」
立花「俺は・・・? 誘拐をし・・・?」
立花「そうだ! お前らが「蛇」を尋ねて!」
立花「今すぐ帰れええええええええええ!」
ユウ「残念だがそうはいかない」
マナミ「「蛇」のことを教えてくれるまでは帰らないから」
立花「こ、これは・・・」
立花「くそ! 縄のせいで体が動かない!」
マナミ「やっと気づいたんだ・・・」
ユウ「悪いが拘束させてもらった」
ユウ「こうでもしないと情報を得ることは難しそうだったからね」
立花「くそ、くそ! 解け! この縄をはやくどけろーーーーーーーーーーー!」
立花「ひ、ひえええええええ」
マナミ「教えて」
マナミ「「蛇」との過去を」
立花「あ・・・あぁ・・・」
マナミ「教えて」
立花「ダメだ・・・」
立花「駄目だ・・・ダメだ・・・」
立花「「蛇」に関わるなんて死ぬだけ・・・」
立花「あれは絶対に関わったらいけないものだぞ・・・」
立花「絶対に死ぬ・・・」
立花「死ぬんだ! 拷問されて、笑顔で見つめられて!」
立花「それで!」
マナミ「うるさい」
立花「ああああああああああ!?」
ユウ「・・・」
マナミ「私はもう覚悟はできてる」
マナミ「「蛇」を殺せるなら死ねことなんて怖くない」
マナミ「私が絶対に・・・」
立花「あっ・・・あぁ・・・」
マナミ「それで教えてくれるよね?」
立花「分かった! 分かったよ!」
立花「教える・・・」
立花「けど・・・俺の口からは喋れないんだ・・・」
ユウ「どういうことだ?」
立花「じ、事情がある!」
立花「も、もちろん「蛇」のことは、お、教えるさ!」
立花「そこに段ボールの山があるだろ?」
立花「上から2箱目!!」
立花「そこにビデオがある・・・」
ユウ「どれどれ・・・」
マナミ「こ、これは・・・?」
ユウ「映画のDVD・・・?」
マナミ「ちょ、ちょっとふざけないで!」
立花「ふ、ふざけてない!」
立花「DVDの内容は映画じゃないんだ! 「蛇」が映った監視カメラの映像だ!」
ユウ「なるほど・・・」
ユウ「監視カメラの映像だとばれないように偽造したのか」
立花「そ、そうだ!」
立花「「蛇」の顔が見えるんだ!」
立花「貴重な情報だろ!」
ユウ「そうだな・・・お前と「蛇」の関係を明かしたかったが、このDVDも貴重な情報源だ」
マナミ「じゃあはやく見ましょう・・・」
立花「こ、ここで見るな! 帰って見てくれ!」
ユウ「・・・どうする・・・?」
マナミ「・・・」
マナミ「仕方ない・・・今日は帰りましょう・・・」
マナミ「ほら縄を解いたよ」
マナミ「でもこのDVDが偽物だったら・・・」
マナミ「分かってるね・・・?」
立花「あぁ! ・・・も、もちろんだ!」
マナミ「じゃあ帰りましょう・・・」
ユウ「君がそれでいいなら了解した」
ユウ「立花。今日はお邪魔したよ」
立花「・・・」
立花「命知らずめ・・・」
立花「「蛇」に殺されるだけなんだよ・・・」
立花「あの女も男も絶対・・・」
立花「!?!?」
立花「くそ・・・あいつら帰ってねぇじゃねえか!」
立花「ふざけやがって・・・」
立花「え???」

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