エピソード4 狂い(脚本)
〇アパートのダイニング
4月9日
深夜
タカオ「今日もバイトなのか・・・」
ヤヨイ「いえ、今日は友達の家に泊まるそうよ・・・」
タカオ「そうか・・・」
タカオ「あの子が・・・」
タカオ「もう高校生か・・・」
ヤヨイ「高校2年生」
ヤヨイ「もう10年です・・・」
タカオ「もう話をする時期なんだろう・・・」
ヤヨイ「それは・・・!!」
ヤヨイ「まだ・・・まだよ・・・!」
タカオ「・・・」
タカオ「でもそれじゃあ、何も解決しない」
タカオ「僕たちはきっと・・・」
タカオ「罪を償うときがきたんだよ」
ヤヨイ「ら、来年・・・!」
ヤヨイ「来年はあの子は受験よ!」
ヤヨイ「大学が決まってからでもいいじゃない・・・」
タカオ「それじゃあ遅いって・・・」
タカオ「君は分かっているだろう?」
ヤヨイ「・・・!」
ヤヨイ「・・・」
ヤヨイ「そうね・・・」
ヤヨイ「そうよ・・・だってもう・・・」
ヤヨイ「もうすぐ・・・」
タカオ「行こう・・・」
ヤヨイ「・・・」
ヤヨイ「マナミ・・・ごめんね・・・」
〇村の眺望
記憶
二人の記憶
二人で笑っていた
楽しい日々
子ども「あああああああああああああああ」
きっと狂っていたんだ
狂ったように笑っていたんだ
タカオ「いやーこの死体は高く売れそうだね!」
ヤヨイ「うんうん!」
ヤヨイ「今日はパーティーね!」
今思い返せば狂気だった
どうして?
タカオ「かんぱーい!」
ヤヨイ「かんぱーーい!」
どうして笑っていたんだろうか?
死体の前で
あんなにも酷いことをして
どうして?
どうして楽しんでいたのだろうか?
犯罪を犯した
それも一度だけの話ではない
何度も何度も何度も酷いことをして
それでも笑った
タカオ「「蛇」もまだまだこれからだ!」
ヤヨイ「「蛇」に感謝!」
「蛇」
もう忘れたい
けれど忘れらない呪いの言葉
この思い出を思い出すたび
〇入り組んだ路地裏
タカオ「おえええええええええええええええ」
ヤヨイ「あなた・・・」
タカオ「はぁ・・・はぁ・・・」
タカオ「だ、大丈夫・・・」
タカオ「い、行こう・・・」
ヤヨイ「えぇ・・・」
〇入り組んだ路地裏
タカオ「覚えているかい?」
タカオ「マナミが中学生に上がった時だ」
タカオ「マナミが中学生の時、体育祭のリレーのアンカーに選ばれたね」
ヤヨイ「そうね・・・あの子は運動神経抜群だから」
タカオ「僕たちは泣いて喜んだ」
ヤヨイ「二人で大きな声を出して、マナミを応援したわね・・・」
タカオ「体育祭当日」
タカオ「あんなに小さかったマナミが必死になって走っていた」
タカオ「小さくて可愛くて、目を離したら壊れちゃうんじゃないかって思っていたマナミが・・・」
タカオ「力強く、一生懸命走っていたんだ」
タカオ「どんどん他のランナーを抜かして・・・」
タカオ「一位を得ていた」
タカオ「そこには小さかったマナミはいない・・・」
タカオ「成長したんだって」
タカオ「強くなったんだって」
タカオ「そしたらいつのまにか泣いていたんだ」
タカオ「ごめんなさいって・・・」
タカオ「マナミから家族を奪ってすみませんって・・・」
ヤヨイ「・・・私だってそうよ」
ヤヨイ「私達が殺すことをしなければ」
ヤヨイ「きっとマナミは本当の家族と・・・」
タカオ「後悔したんだ」
タカオ「その時はっきり罪が現れた」
タカオ「僕たちの右肩にある「蛇」のタトゥー」
タカオ「これを切り落としたくなったよ」
タカオ「でも」
タカオ「でも切り落とすことは叶わない」
タカオ「僕たちの罪は「蛇」と共に消え去ることはない」
タカオ「「蛇」として罪を償わなきゃいけないんだ」
ヤヨイ「当然の報いね・・・」
ヤヨイ「それで?」
ヤヨイ「まずは何から始めるの?」
ヤヨイ「しなければならない罪滅ぼしはたくさんあるわ・・・」
タカオ「あぁ」
タカオ「まずは立花君のところに行こうと思う」
ヤヨイ「立花君・・・」
ヤヨイ「チンピラだった彼にも相当辛い目にあわせたわ」
タカオ「あの頃の僕たちは狂っていたからね・・・」
タカオ「何度も誘拐させていたのは酷かった・・・」
ヤヨイ「えぇ・・・しっかり罪滅ぼしに行かないと」
タカオ「確か立花くんが住んでいるはずの家は」
ヤヨイ「こっちね・・・」
ユウ「・・・とりあえず今日は解散しよう」
ユウ「ビデオは古い型のようだから、専用の再生機を持ってこよう」
マナミ「・・・」
ユウ「どうした?」
マナミ「あっ!?」
マナミ「い、いやなにもない・・・!」
マナミ「お、お疲れ様・・・」
ユウ「あっ、あぁ・・・」
ユウ「それじゃあ失礼するよ」
マナミ(今、お義母さんとお義父さんがいたような・・・?)
マナミ「・・・」
マナミ「いや気のせいか・・・」
マナミ「帰ろう・・・」