読切(脚本)
〇教室
皆様は、こんな場面を見てどうお思いだろうか。
元気で明るい友人「明日、烏龍公園に1時集合な!」
〇見晴らしのいい公園
──翌日の13時。烏龍公園
僕「30分待っても、まったく来ない・・・」
僕「連絡も寄こしやしないし、あいつどこにいるんだよ・・・」
僕「あ、あいつからメールだ」
「今日家でゲームしなきゃいけないから行けないや!」
僕「・・・」
僕は、不満をブツブツとつぶやきながら、家に帰ることになった。
〇教室
そして、学校出会う彼は何も悪気なさそうに、ケロッとした顔で、僕に接してくるのだ。
怒りを通り越して、呆れすら感じる場面だろう。
こんなこと現実ではありえないと思うかな。
しかし、これは紛れもなく僕の実体験である。
〇国際会議場
他にも、国の未来を背負った政治家は、
自分の都合の悪いことに対して、一つの言葉しか話せないロボットになる
熱血記者「〇日に発言した○○に関しては、どのようにお考えですか!」
ロボット政治家「記憶にございません・・・」
熱血記者「○○さんとの不倫発覚について、どのようにお考えですか!」
ロボット政治家「記憶にございません・・・」
熱血記者「昨日の夕飯は何でしたか!」
ロボット政治家「記憶にございません・・・」
この言葉を取りつかれたかのように、何度も言う。
〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
このように最近は、自分の発言に対し責任を持つ人間が減っているように感じる。
僕「まったく、世の中無責任な人間ばっかりだ」
僕「はぁ・・・」
〇豪華な社長室
――同時刻。とある社長室
会社員「必ずや、この借金は来月にはお返しいたします!」
会社員「なので、どうか」
会社員「どうか、弊社にお手を貸していただけないでしょうか!」
社員は頭に刻印されたバーコードを、相手の社長に見せつけ、額をカーペットに擦り付ける。
社会人が人生で一回は経験する土下座である。
すると、地面に握りこぶしほどの大きさの物体が数々と散らばる音がする。
「え!?」
あまりにも、その正体が気になった社員は、体を起こし辺りを確認する。
会社員「これは・・・さっき俺が言った言葉の・・・」
その物体を手に取り、強度や重量などを確認する。
会社員「これは・・・飴か?」
物体の正体はとてつもなく薄い飴で作られた文字だった。
中身には、黄色の謎の気体が充満していて、今にも外へ飛び出しそうだ。
その正体がわかって、社員はそっとその“必”の文字を床に置こうとした瞬間。
「うわ!?」
床に散らばった言葉たちは、一斉に破裂し、新鮮な空気を黄色に侵食していく。
「へっへっへ。結局、金さえ借りらればどうにでもなる」
気体から、機械で作ったような会社員の声が再生される。
大企業の社長「これは、どういうことだね」
会社員「い、いえ、私は何も」
「返す目途がたたなけりゃ、この会社との関係を断ってやればいい」
目が完全に泳いだ会社員は何も言えないでいた。
相手側の社長も、ゴミを見るような目でその会社員に視線を送る。
「世の中ちょろいぜ。頭地面に擦り付けりゃ。どうとでもなるんだからよ」
そう言い残した気体は、空気中から完全に消失した。
大企業の社長「で、何か言うことはあるかね」
会社員「・・・・・・」
この社長室にはしばらくの沈黙が続いた。
〇地球
この瞬間から、世界各地で本音の異なったことを発言すると、先ほどのような事例が発生するようになった。
これにより、政治家の何人かはひっそりと政治家を辞め。
犯罪者は、大幅に減少した。
これだけ見れば、この飴と気体は幸せを運んできたのかと思うかもしれない。
しかし、この気体は優しい嘘も、恋愛の駆け引きも、サプライズも奪っていったのだ。
そしてこれの厄介なところは、言葉であれば機械に打ち込んでも、紙に書き込んでも、発生してしまうことだ。
おかげさまで、何個かの契約書が破棄されたとかなんとか。
『はたして、あなたはこの世界で秘密を守ることが出来ますか?』
なるほど、焼き土下座みたいな感じでもいいかもしれません。
でも立場が上がれば上がるほど、言葉の責任って重いですよね。
どうしても下手なことが言えないから…ってのはなんとなく理解はできますが、上部だけでは世の中は上手く回せませんよね。
短いストーリーのなかにとても上手にお話しが展開されていて、集中して一気に読ませて頂きました。嘘には飴が、、、タイトルもいいと思います!
優しい嘘も恋愛の甘酸っぱい駆け引きも人生のスパイスとなるような嘘までもずる賢い嘘と一緒にされる世の中。初めに子供のついた嘘も土下座さえしていればと考える大人も人を馬鹿にしているけれどそうじゃないやさしい嘘も有るのになーちょっと切ない!