イメチェンの真実(脚本)
〇教室
丸木が教室の隅っこで
本を読んでいるのを、
俺はふっと見た
俺「最近、丸木のやつ雰囲気変わったよなー」
クラスメイト「そう? 眼鏡かけ始めたからじゃない?」
俺「それもあるけどさ、 元々あいつ明るいやつだったじゃん」
俺「なのに最近は 本読んでばっかりっていうか」
クラスメイト「あー、たしかに」
クラスメイト「てかさ、雰囲気変わったっていうなら 小野寺さんもじゃない?」
クラスメイト「最近お洒落になったっていうか、 あか抜けたっていうか」
そう言われてみれば、
小野寺さんも可愛くなった
雰囲気がちょっと変わったっていうか
性格が変わったっていうか
俺「そういえば雰囲気変わったのって 小野寺さんも眼鏡かけ始めた時ぐらいだよな、なんかの偶然か?」
クラスメイト「イメチェンでしょイメチェン 私、今の小野寺さんの方が 話しかけやすくっていいなぁ~」
クラスメイト「うん! よいイメチェン!」
キーンコーンカーンコーン
俺「あ、次体育の授業じゃん」
クラスメイト「男子はバスケでしょ? いいなぁ~!」
こうして俺達は着替えて
体育館に向かった
〇学校の体育館
俺「おい丸木! いくぜパス!」
丸木「わかった」
丸木が眼鏡の真ん中をくいっとあげながら流れるような動作で前傾する
――今までなら
「おう!」ってうるさい感じに
返事してたのに・・・・・・
丸木「うわあっ!」
バスケットボールが、
丸木の顔面に当たった!
丸木「ぐふっ」
俺「丸木―っ!」
倒れた丸木に、俺は急いで駆け寄った。
他の皆も丸木の傍に集まった。
俺「おーい、大丈夫か?」
俺はヒビの入った眼鏡が
危ないので、安全のために外してやった。
俺「丸木、丸木、大丈夫か?」
丸木「う・・・・・・ん? あれ、ここどこだ?」
クラスメイト「あ? これ大丈夫? 頭打ってやばいことなってない?」
丸木「あれ! 皆どうしたんだよ! なーにそんな心配そうな顔しちゃってんの!? なんかウケんだけど!」
このテンションの高さは
以前の丸木そのものだった
驚いている俺達の傍に、
隣で体育をやっていた小野寺さんが
走って丸木の傍にやってきた
小野寺「丸木くん大丈夫!? 保健室いくよ!」
丸木「え、なになに? 保健室いくほどじゃねーって! 大丈夫! あれ? てか小野寺さんなんか雰囲気変わった?」
小野寺「はいはいそうね変わりましたね! あ、茂部くん眼鏡ちょうだい」
俺「でもこれ割れてるんだけど」
小野寺「いいの! 割れてても、眼鏡かけてる人は眼鏡が本体だからなかったら困るの!」
俺「お、おう・・・・・・」
半ば強引な小野寺さんの言葉に
俺は眼鏡を渡す
そして小野寺さんは
彼女にしては珍しい強引さで
丸木を保健室に連れて行った
〇保健室
「ふう・・・・・・、何とか助かったよ」
ボクはホモ・サピエンス丸木翔の視界に
収まりふう、と息を吐いた
小野寺「神経接続は問題ない?」
丸木「大丈夫、もう丸木翔の意識はないよ」
小野寺「私たち寄生眼鏡は人間に掛けられてないと意識を乗っ取れないものね」
小野寺「今回は災難だったわ」
丸木「まったく、 バスケットボールは 恐ろしいな・・・・・・」
小野寺「夏に始まる水泳も考えものね・・・・・・」
ボクたち寄生眼鏡は
人間の意識を乗っ取ることで
細々と命を紡いでいた・・・・・・
ボクたちの存在は、
人間たちには秘密だ
もし知られてしまえば、
ボクたちの殺処分は免れ
寄生眼鏡一族は滅ぶだろう
ボクたちの命は、
常に危険に晒されていた
丸木「けど、大丈夫さ ボクたちなら生き残れるよ」
小野寺「ええ! 寄生眼鏡繁栄のために!」
丸木「眼鏡万歳!」
小野寺「眼鏡万歳!」
彼女を見ていると、
寄生眼鏡としてうまく立ち回ろうという
気持ちが込み上げてくる
丸木「頑張ろうね」
小野寺「ええ!」
ボクたちは寄生しているホモ・サピエンスの身体を使って硬く手を握った
面白い発想で思考転換させてもらいました! 眼鏡が主体となって人間を操る、これは洋服や靴等にも置き換えられますね。寄生されていい時と悪い時があるのも、やはし眼鏡主体だからか!
寄生虫でなく寄生眼鏡とは考えもしなかった。世間の眼鏡をかけた全ての人が性格が変わるのは、単なるイメージチェンジではなかったのですね。
鏡をかけたら性格が変わるって、そういうオチだったんですね!
まさか眼鏡の方が本体とは!
眼鏡をかけてクールなイメージに…とはよく聞く話ですが、まさか乗っ取られてるとは誰も思いませんよね。
一気に読めました!面白かったです!